【スペイン】
スペイン議会、大型類人猿へも権利を拡大
ALIVE海外ニュース 2008.11-12 翻訳:宮路
スペイン議会は、本日、大型類人猿の生命と自由に対する権利への支持を表明した。一国の議会が、人間以外の生物に関してそのような権利を求めるのは、おそらくこれが初めてだろう。
議会の環境委員会は、スペインがGreat Apes Project(GAP:大型類人猿プロジェクト)の理念に応じることを促す決議を可決した。GAPの理念は、人間に遺伝的に最も近い親戚である類人猿は、これまで人間のみに限定されていた権利に値すると主張する科学者や哲学者が考案したものだ。
動物の権利と、人間の進化における仲間である類人猿の擁護のための戦いにとって、今日は歴史的な日だと、GAPのスペインにおける責任者ペドロ・ポサスはいう。
スペインは、海外では、動物の権利よりは闘牛でよく知られているかもしれないが、新しい法案は、かつては保守的だったスペインを革新的な先駆者へと変える最新の動向だ。
スペインでは、1980年代まで、離婚は法律で認められていなかったが、ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相率いる社会労働党政府は、同性愛者間の結婚を合法化し、教育の場におけるカトリック教会の影響を減らし、差別対策省(Equality Ministry
)を設立した。
新しい決議は、党派を越えて、大多数の支持を得ており、法として成立すると予想されている。そして、政府は現在、スペインにおける類人猿の侵襲的実験使用を禁止するために法令集を1年以内に改定しようと全力を尽くしている。
スペインで、大型類人猿を実験に使用している例はないと認識しているが、今のところ、そのような実験を阻止する法律はないと、ポサスはいう。
また、類人猿をサーカス、テレビコマーシャル、映画のための飼養も禁止されることになり、新法に違反するとスペインの刑法に基づく犯罪となる。
スペインの動物園にいる315頭ほどの類人猿の飼養は違法にはならないが、新法に従うには、70パーセントの施設が飼養状態を大幅に改善しなければならないだろうと、法案の支持者はいう。
GAPは、1993年に、哲学者のピーター・シンガーとパオラ・キャヴァリエリが創設し、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、ボノボという「人間以外のヒト科動物」は、生命、自由、そして拷問されない権利を享受する権利があると主張している。
Reuters 2008年6月25日
http://www.reuters.com/article/scienceNews/idUSL256586320080625?feedType=RSS
&feedName=scienceNews&rpc=22&sp=true
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