−健康のためには、年齢を問わずお勧め出来ない。
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ALIVE海外ニュース 2002.3 翻訳:竹内紀子
アメリカの医師たちの言葉「誰にとっても最良の食品」「完全な食品」「最も重要な食品」。 純粋さ、甘美さ、美味しさ、完璧さのシンボルであり、菜食主義のシンボルでさえあるミルク。
実際、大多数の菜食主義者は肉の代わりに同量の乳製品を摂取している。すべて間違いだ。牛乳はこれらの定義や賛辞には値しない。
地元産のミルク(我々が飲んでいるものの多くが北欧の製品だ)も混じりけのないミルクも同じだ。、それを飲む人間にとっても、生産する牛たちにとっても良くないのだ。我々人間は、大人になってからも異なる種の動物の乳を飲む唯一の種族だ。
ミルクが動物を殺す。
通常の集中飼育で生産されたミルクには、監禁されて過ごす牛の一生と、雌牛や子牛の屠殺が伴っている。粗放式飼育のミルクも、ましな生涯を過ごしたにしても、雌牛と子牛の屠殺を伴う。「でもどうして?ミルクは牛を殺さないわ!」菜食主義者たちからさえしばしば聞かれる言葉だ。
少し計算してみよう。雌牛はミルクの自動供給機ではない。ミルクを出すためには出産しなければならない。子牛は食用になることを運命付けられている。1年と少し後には、また出産しなければならない。最初の授乳期が終わってしまうからだ。不幸にも生まれる子牛の半分は牡なので、ミルクの生産には役立たない。
哀れな牡の子牛は、肉を白く保つために貧血状態にされ、囲いに隔離されて、数ヶ月後には屠殺される。
雌牛も永遠にもつわけではない。4〜5年後には生産量が低下してスクラップになる。畜産は1万リットルのミルクごとに1頭の牡の子牛を、4万リットルごとに1頭の雌牛を屠場へと送りこんでいるのだ。
1999年のイタリアのミルクの生産量は、牛乳1,168万トン、水牛の乳16万3千トン、羊の乳60万8千トン、山羊の乳7万7千トンにのぼる。40%が輸入されている。平均的イタリア人は年間60リットルのミルクを飲み、18kgのチーズやバターを食べている。
ミルクが象徴するものに多くの人がつなぎとめられている。それは次のようなよく耳にする言葉に要約される。「菜食主義もいいだろう。でも牛乳も摂らないのは身体に悪い。特に子供にとっては。」もっとも、数年前までは肉や魚の摂取が必要で健康的だとみなされていたことを思えば、大きな前進には違いない。
8つの驚くべき理由
だがもっと先へ進もうとする者もいる。アメリカ栄養学協会の栄養学者たちや、信頼のおける薬のための内科医委員会の医師たちの研究や発表は、ミルク神話の根拠の無さを証明しようとしている。(今がそれをすべき時だからだ。)医師たちは必要に応じての治療用にはもちろんのこと、ヴェージャンの食餌を最も健康的なものだと擁護している。(わが国の医師協会は、イタリアの伝統の一部でもあるミルクやチーズにあえて敵対しようとはしなかった。だがアメリカにはその伝統は無い。よって彼らは批判出来たのだ。)8つの章の中で、医師委員会は強固な信用をひっくり返している。
1.骨粗しょう症
ミルクは骨粗しょう症を防ぐと、一般的には考えられている。だが医学研究は逆の事を示している。研究センターは75,000人の女性の追跡調査を12年間行ない、ミルクの摂取の増加は、骨折の危険に対してなんら防御的効果がないことを証明した。さらに、乳製品を通してのカルシウムの多量の摂取は、危険でさえある。別の研究では、乳製品からのカルシウムは骨を強くしない事を発見した。骨粗しょう症の危険を減らすためにより良いのは、食餌からナトリウムや動物性蛋白質を減らし、野菜や果物を増やし、適切な量のカルシウムを緑の葉の野菜や豆類などの植物性蛋白質から摂取しながら、身体を動かすことだ。動物性蛋白質の過剰な摂取はカルシウムの損失をもたらす。
2.心臓脈管系の疾患
ミルク、チーズ、バター、アイスクリーム、ヨーグルトなどの乳製品は、大量のコレステロールと飽和脂肪を供給する。これは、多くの慢性の病気、特に心臓脈管系病気の危険を増大させる食餌だ。乳製品を摂らない菜食の食餌は飽和脂肪が少ない。これに運動と非喫煙とストレスの管理とが組み合わされば、心臓の病気は予防できるし、治療も可能だ。
3.ガン
多くの種類のガン、たとえば卵巣ガンが乳製品の消費と関係がある。体内に入ったラクトース(乳糖)は酵素の働きによってガラクトースになる。ハーヴァード大学の医師たちによれば、乳製品の消費が酵素によるガラクトースの介在能力を超えると、余った分は血液の中で高まり、卵巣を襲う。酵素のレベルが非常に低い女性もいる。彼女が日常的に乳製品を摂取すると、卵巣ガンに罹る危険は他の女性に比べて3倍にもなる。乳ガンや前立腺ガンも乳製品の摂取と関係がある。
4.糖尿病
インシュリンに依存する糖尿病が、乳製品の消費と関連している事は、様々な国での研究が示している。1992年には、ミルクの特殊な蛋白質が自己免疫反応を引き起こし、インシュリンを製造するすい臓の細胞を破壊するに至ることがわかった。
5.ラクトース(乳糖)不耐性
ラクトース不耐性は多くの民族に一般的にみられる。アメリカ人についての調査では、アジア系アメリカ人の95%、ネイティヴアメリカンの74%、アフロアメリカンの70%、メキシコ系アメリカ人の53%、コーカサス人の15%がこれにあたる。胃腸にガスが溜まったり下痢をしたりという症状は、その人がラクトースを消化する酵素を持っていない事を示している。
6.ビタミンD
ミルクはビタミンDの供給源として信頼できるものではない。幾つかの例では、表示されている量の500倍もが検出された。別のサンプルでは全くないか、ほんの僅かだった。過度のビタミンDは有害である。血液や尿の中に過剰なカルシウムを供給し、体内へのアルミニウム吸収を増加させ、柔らかな組織にカルシウムを蓄積させる。
7.汚染
乳製品はしばしば汚染されている。飼料に使われた寄生動物駆除剤の残留物や抗生物質はもちろん、牛に投与された他の薬品によって。さらにアメリカでは通常、成長を促進するホルモンが雌牛に注射されている。
8. 年代を問わない危険
ミルクの蛋白質と糖分、酪農製品の飽和脂肪は、子供の健康にとっても危険である。肥満、糖尿病、心臓病を伴う動脈硬化の斑点の形成などの慢性の病気につながる恐れがある。
子供へのミルクの害
アメリカ小児科医アカデミーは、1歳未満の子供には牛乳を与えないように勧めている。ミルクの豊富な食事は、鉄分の欠乏を伴う恐れがあるからだ。乳製品は鉄分の含有量が非常に低い。乳製品が食事の重要な部分を占めれば、鉄分の不足の可能性はもっと高くなる。5人に1人の赤ん坊が仙痛に苦しんでいる。以前から小児科医は牛乳が1番の原因であることを知っていた。母乳で育てられた赤ん坊でさえ、母親が大量の牛乳を摂取すれば仙痛を患う。雌牛の抗体は母親から子供へミルクを通じて伝わるのだ。さらに、ミルクへのアレルギーも子供の間に非常によく見られる。最近の研究は、ミルクの摂取が子供の慢性の便秘にも関係があるとしている。
ミルクや乳製品は不必要な食べ物であるばかりでなく、我々の健康に有害なのだ。穀物と野菜と果物の豊富な、健康的な食餌がお勧めだ。これらの食品は必要な量のカルシウム、カリウム、リボフラビン、ビタミンDを容易に安全に供給してくれる。
ペットフードのための拷問と死
翻訳:竹内紀子
「動物のための食事は私たちのライフワークです。でもそれがコンパニオンアニマルの福祉に貢献するひとつの要因ではありません。そのために我々はアイムス・テクニカルケア機関を設立しました。これはペットの肉体的心理的要求を理解するために私たちを助けてくれる犬や猫たちの家です。ここでは彼らはとても大切に扱われています。家で飼われているペットたちと同じように名前で呼ばれ、毎日世話をして一緒に遊んでくれる人がいます。(中略)私たちは自社のセンター以外での研究にも資金援助をしています。アイムスの出資は栄養、皮膚病学、老人病学、腎不全、アレルギー、その他多くの研究を支えています。」
これはアイムスのホームページから抜き出した文章だ。ペットフード・メーカーの中で最も有名な会社のひとつである。(エウカヌーバ・シリーズはとりわけ多くの獣医から推奨されている。)だがホームページに書かれていないことがある。アイムスは1991年から2000年までに、少なくとも460匹の犬や猫にぞっとするような実験を直接実施し、または資金援助したということだ。
専門家の間にだけ流布している雑誌に隠されていた実験の詳細は、イギリスの動物保護グループ「アンケージドUncaged」によって明るみに出された。彼らはイギリスの最もポピュラーな日刊紙サンデー・エクスプレスの興味をひくことに成功した。2001年5月27日、第1面に掲載された「ペットフードにおける残酷さが暴露された。トップブランドが犬や猫を実験で苦しめている。」という記事の中で、次のような実験が紹介された。
− 24頭の若い犬が右の腎臓を摘出されたうえ、左の腎臓にひどい損害を与えられた。蛋白質が腎不全の犬に与える効果を確認するためだ。手術は腎臓の機能を通常の8分の1に落とすものだった。腎機能の低下は、人間の場合と同様、動物にも激しい苦痛をもたらす。腎臓がしかるべく機能しないと、尿を通して除かれるべき毒素が循環してしまう。この血液中の毒素は、抑鬱状態、嘔吐、ケイレン、口中の潰瘍、食欲減退、癒されない喉の渇きをもたらし、最終的には死に至る。犬たちは2つのグループに分けられ、7ヶ月及び14ヶ月の間観察された。実験の結果に影響を与えないために、犬たちの症状を軽減する処置は何もとられなかった。
− 2〜5歳の28匹の猫の胃が、2時間に及ぶ外科手術の間、露出させられた。繊維の豊富な食物の効果を調べる実験だった。実験後、すべての猫は殺された。
− 24匹の雌猫が不妊処置の後、80日間故意に栄養過多の食事を与えられた。これ以上は太れないほど太り過ぎにさせられた後、非常に厳しいダイエットをさせられ、体重の3分の1を失った。研究の間、肝臓の生体組織検査が3回なされ、最後には殺されて肝臓を調べられた。体重の減少と肝機能不全との間の関連を示すために。
− ハスキーの子犬14頭に、皮下や胃壁への注射によって、ワクチンや他のアレルギー抗原物質が繰り返し投与された。アレルギー反応の危険性を調べるためだ。当然の事ながら子犬たちは、痒み、皮膚のひび割れ、腫れ物などの症状を示した。
− 12頭のハスキー犬、12頭のミニプードル、12頭のラブラドールの胸に傷を与え、毛の再成長に与える食餌の影響を調べた。実験はこのような見解で正当化された。「犬を見たり触ったりすることは心地よいことだ。毛皮に問題のある犬は他の犬ほど可愛がられない。」
− 18頭のグレートデーンの子犬が2種類の食餌を与えられた。18ヶ月になったときに右の前足と後足の骨が露出させられ、無理に骨折させられた。似たような実験が豚にも行なわれている。
これらの恐怖のリストは果てしなく続くが、主な考察を示したほうが有益であろう。何よりもまず、これらの実験は、人間以外の動物に対する尊敬の念が専門家に属する人々に本質的に不足していることから生じている。たとえば獣医のように動物の生命の保護と救済を使命としてもつ人々に。腎不全や肝機能不全についての医学研究は、人間の健康同様、動物の健康にとっても明らかに非常に重要だ。だが、アイムスが動物に実施したような実験を人間に行なおうとは、決して誰も考えないだろう。人間に対する治療研究は明確なガイドラインで律されている。このガイドラインを動物の病気に関する研究へも適用することは可能だ。また、そうされるべきだろう。獣医の研究などを通じてペットの飼い主に接触し、病気を特定し、動物の健康や肉体的な元の状態を尊重した研究プログラムを医者と患者を交えて行なうのだ。アイムスにとってはそれで十分に、より信頼できる結果が得られるであろう。
この結果の信頼性そのものが、より深い考察に値する問題なのだ。倫理的側面を全く考慮に入れなくても、あらゆる病気の実験モデルの製造作業は科学的に良識を欠いている。若くてとても健康な犬が、ある日腎臓を1つと4分の3摘出されたとしても、犬の腎不全の良いモデルにはならない。理由は単純だ。
腎不全は他の幾つかの要因から起きるからだ。それらの要因は他の組織にも影響を与える。さらに診断される前に、様々な組織や器官の体系的な作用が始まっている。これらの全体の効果が本物の病気を構築するのであり、実験モデルには対比できるものはない。従って、外科的に腎不全を引き起こされた犬の状態を改善出来る治療法が、組織から由来する腎不全に罹った犬に適用可能だという保証は何も無い。
人間への臨床実験についての規制である現在のガイドラインが、ナチの収容所の中で行なわれた実験の結果、導入された事実を覚えておく事は無駄ではないだろう。世界で1番進んだ国の輝かしい医師たちによって何年もの間、より完全な自由の中で行なわれた実験。だがそれらは、医学に役立つ結果をなんらもたらさなかった。あいにく動物用の薬品は、収容所での実験をそそのかす間違った方法論に支配され続けている。
この精神状態がもたらす狂気のとりわけグロテスクな例は、心肺蘇生術に関するある傑出した大論文の序章にみられる。筆者は2つの方法で得られたデータに言及している。1つは彼の動物病院の患者たちに蘇生術を施して得られたデータ、もう1つは、同じ種の動物に実験目的で蘇生術を施して得られたものだ。筆者は驚きをもって、前者のグループでは成功率は非常に低かったが、後者のグループではより勇気付けられる結果が得られたと述べている。この問題の権威である彼は、納得するに至らなかったのだ。寿命を長引かせる最後の絶望的な試みのために救急病院に連れてこられた病んだ老犬と、残酷な外傷を負わされても生き延びるほどに若くて健康な実験用の犬との共通点は何もないということを。たとえどちらも同じ種に属するとしても。
この光景は一般的なものであり、アイムスだけでなく、。動物用医薬品のすべての会社が関わっている問題だ。我々に何が出来るだろう?
1.何よりもまず、出来るだけ多くのメッセージを記事を載せた新聞社やアイムスに送る事だ。
2.普段買物をしている店やスーパーマーケットで、動物実験に対する我々の意見を表明する事も非常に重要だ。残念ながらアイムスは、動物実験に頼っている唯一のペットフードメーカーではない。アンケージドのサイトでは多くの血塗られたブランドのリストを見る事が出来る。(Uncagedhttp://www.uncaged.co.uk;)(訳注:アルポ、ペディグリー、ヒルズサイエンスダイエット、フリスキー、シーザー、シーバ等などおなじみのメーカーが載っています。)幾つかのスーパーマーケットは、自社ブランドのペットフードを生産している。それらを購入する前に、動物実験に対する彼らの姿勢について調べてみよう。
3.かかり付けの獣医と実験モデルの馬鹿馬鹿しさについて話してみよう。彼に動物実験に反対する科学委員会に加盟するように勧めよう。
4.ペット愛好家のための夥しい数の雑誌が大衆向けに出版されているが、このテーマについては全く紙面が割かれていない。食品業界における動物実験のスキャンダルや動物実験の非合理性についての我々の声を、手紙をどんどん送って知らせよう。
5.飼っている動物の食事を、家で調理した新鮮なものだけにすることを真剣に検討しよう。出費も手間も大したことは無いかわりに、彼らの健康や寿命には大きな違いをもたらすだろう。工業生産のすべてのペットフードは有害な物質を含んでいるうえ、人間用の食品製造基準を満たさない方法や原材料で作られている。あいにく獣医は、怠慢または無知のために、しばしば市販のペットフードの熱心な支持者だ。幸いインターネットでこの問題についての非常に有用な情報を得る事が出来る。特に英語を解する者は。
オンラインの大きな本屋「アマゾン」のサイトでは食事の問題を扱っているパット・ラザルスの「自然な方法であなたの猫を健康に保つために(Keepyour
cat healthy the natural way - Pat Lazarus)」を読むことが出来る。」
http://www.amazon.com/exec/obidos/tg/stores/detail/books/0449005135/excerpt/
ref=pm_dp_ln_b_3/104-9406334-5450357
動物保護機関(Animal Protection Institute)のサイトには工業生産のペットフードについての血も凍るような素晴らしいペ−ジがある。
http://www.api4animals.ord/doc.asp?ID=79
都会のハトたちを救おう
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衛生的危険は偏見だという、獣医師の意見
翻訳:竹内紀子
ハトの数を制限しようという動きが、ますます多くの町で広まっている。
しかも常に穏やかとは限らない手段で。理由は主に公衆衛生と病気への恐れの2つだ。実際には衛生問題へのこれらの懸念は、数の制限への同意を容易に得るため、また、思いきった措置に反対する声を黙らせるために大げさにされていることは、科学的研究によっても明らかだ。一般的にハトのせいにされがちな病気の伝染について、ハトの責任を立証した論文はない。
例えばサルモネラ症は、特に玉子などの食品や、人間同士の接触を介して人に伝染する。ハトがこの病気を伝染させるのは、食べ物がハトの糞に汚染された場合のみありうる。ダニの存在も非常に恐れられているが、科学的文献は、これが人間の衛生に問題を起こす原因とは認めていない。他のいろいろな病気についても、ハトから人間へ伝染する深刻な危険はない。衛生的危険を強調する事は、ハトに対する偏見に満ちた態度を表わしている。
公衆衛生に結び付いた批判はしばしば狂信的なものだ。だが、国内の都市を汚染し続けているのは企業だ。特に最も大規模で最も危険なのは、交通や産業や暖房装置に結び付いた化学物質だ。残念ながら、糞の存在のように肉眼で見える物の方が、見えない物よりもっと恐れられるのだ。見えない物こそが、ガンやアレルギーのような、多くの深刻な病気の原因であるのに。
万一起こるかもしれない問題を大げさに言うよりは、むしろハトの存在の良い面を見出すべきだろう。ハトは、消えつつある自然を再び見せてくれる。さらに、動物との共生に慣れることは、人々に、寛容と共存という面における自省を促す。
先入観にとらわれなければ、ハトとの最良の付き合い方は寛容の関係であるという当然の結論に達する。有効な、ただし残酷ではない方策をとりながら、衛生面のリスクを広場から一掃するのだ。公衆衛生に関しては、道路や公共の場所の清掃作業を手配したり、特に保護が必要な建築物にハトが群がることを規制するような措置が可能だ。これらの実施には経済的資源が必要である。だが、市民が動物のために公共的義務を引き受けてはならないという理由はない。
ハトは多くの人にとっての仲間であり、反自然的環境の中に再び自然を呼び込んでくれるのだから。また、次章で述べるように、ハトに餌を与える人達の責任管理と共に、市民への啓発活動も必要だろう。間違った懸念を増大させず、形は違っても創造的で好ましい生を受け入れ、容易に共生するために。
君に出来ること。
− 食物の量の管理。動物行動学の研究によると、巣を作る場所と共に、食べ物の供給が、ハトを町に定住させる主要な要素だ。同時に、ハトの増加を促す重要な要因でもある。従って、食べ物の量の制限が必要だ。これを残酷な措置と思わないように。日々の適正な必要量を保証しながら、ハトの数をコントロールし、場合によっては反繁殖作用のある薬の使用も可能だ。ハトは1日に約30グラムの穀物を摂取することを覚えておこう。
− 不適切な餌を与えてはならない。通常与えられるパンやパスタはハトには適さない。様々な必要栄養素に欠けており、ビタミン欠乏症、栄養不足が現れ、病気にかかりやすくなるからだ。
− トウモロコシだけを与えてはいけない。穀物と混ぜるように。
− 環境に配慮しよう。問題が起きにくいように、密集地ではない地域の複数の場所に餌を置こう。
− 残った餌は集めよう。歩道や公共の場所に残りを放置してはいけない。
− 食虫性の小さい鳥にも餌をあげよう。彼らもまた消えつつある。種の多様性がバランスを作りだし、ハトを満足させることになる。
ハト虐殺処分に対する地方行政裁判所の意義深い判決
2001年4月26日、エミリア・ロマーニャ州の地方行政裁判所は、カルデラーラ・ディ・レーノ市長による、市内のハトの火器による殺処分を認める布告を無効とした。この判決は間違いなく異議ある前例になった。ハト増加の問題を駆除で解決しようとする市町村から頻繁に発布され続けるハト虐殺命令に対抗するために。
現在のイタリアには、市内に生息するハトに関する法的規定は何もない。従ってハトは、野生動物として、国内に自然な状態で自由に定住しているすべての鳥を保護する法律57/92の第2条と、ハトを狩猟の対象としていない第18条とによって守られているとみなされるべきである。したがって、生息数の管理という目的では殺戮の布告を出すわけにはいかず、唯一の可能性は衛生管理という目的だということを、各市町村は十分に知っている。
実際今日まで、サルモネラ症や寄生虫症などの推定される伝染病のために必要な措置として、虐殺は常に認可され正当化されてきた。(非常にしばしば、とるに足らない問題が大げさにされているとしても。)
エミリア・ロマーニャの判決は、ハトを殺戮するためだけに出された命令であるとして、これを却下した。衛生面の理由は、根拠がないということが考慮されたのだ。
裁判所によれば、たとえば深刻な伝染病の汚染が立証された場合のような、一時的な限定的措置としてのみ、命令は発布されねばならない。数年前にヴェネツィアでサルモネラ症の深刻な流行があり、大量のハトが死にそうになっていた際、地方衛生局は病気に冒された個体だけを捕獲して処分したことが思い出される。虐殺に走ることなく、その措置は数週間で終わり、普段の状態に戻った。残念ながら最近ではヴェネツィアも、裕福な市民達に権力を示すために殺戮を行なった。
病気伝播におけるハトの責任を立証する科学的なデータは全くないにもかかわらず、残酷な措置に反対する声を黙らせるためだけに、衛生的危険はしばしば誇張される。残酷な措置は地方行政側にとっては、ハト増加の問題の早急な解決における彼らの勇敢さを示し、市民の同意と信用を得るために役に立つ。しかしこれらの措置は倫理的に容認出来ないだけでなく、効果もない。ハトの捕獲や処分作業に関わる会社を喜ばせるために役立つだけだ。
国立野生動物研究所も認めているように、殺戮によるハトの減少の試みは、一時的な効果しかもたらさない。増加の勢いは著しく、たとえ年間に50〜60%のハトを駆除しても、通常の繁殖と、周辺地域から移動してくるハトによって、自然に元の数に戻るのだ。たとえばバルセロナでは、1986年〜1990年に11万羽近くのハトが捕獲された。だが1983年と1991年のハトの生息密度を比べると、なんら変化がなかったのだ。
ハトの問題に対して非暴力的な解決法を選んだ市町村には、たとえばコモ市がある。コモ市は、特定の場所でだけ(つまりその他の場所での餌やりは禁止)適量の食物を与えること、別の場所にハトが定住するための建物を作ること、歴史的な建造物には巣作りを出来ないようにすることなどを規定した。
ペルージア市はハトの数を23%減らす事に成功したが、彼らは単にコモ市が規定したような方策をとっただけだ。
したがって、こう結論付ける事ができる。残酷な処置は、常にその効果のなさが示されており、行政にとってのコストは高くしかも継続する。しかし、科学的データをもってすれば、低コストで、人間とハトとの平和的共存のための効果をあげられるのだ。