イギリスで法改正
動物が物ではなく生き物であることを認める
ALIVE海外ニュース 2003.7-8 翻訳:宮路
4月1日、スイスで家庭飼養動物に対する社会意識の変化を反映した改正法が施行された。
これまでペットには法律上の地位は認められていなかった。しかし、昨年、連邦議会が動物の権利活動家たちのキャンペーンを受けて、動物は単なる物ではなく、感情を持っている存在であることを認めた。
この法改正は主にペットに適用するもので実験動物のために特別な条項は設けられていないが、連邦法にはすでに実験動物に関する条項がある。
●長い戦い
この法改正は一部の動物の権利活動家にとっては長い戦いの終わりを意味する。動物の権利基金のボリンガー弁護士は、10年間も要求してきたことなので今回の結果には満足しているという。
しかし、この法改正は大きな変化をもたらすものではないと見る人もいる。
改正法は見た目が変わっただけで、規定を明確にし、法律を時代に適応させたにすぎない、と連邦法務省職員はいう。
改正法は動物の法的権利を認めるところまではいっておらず、例えば、動物は飼い主から何かを相続することはできない。
●所有権
改正法はペットの所有権について新たな規定を設けている。
遺産相続人は故人が飼養していた動物を引き取らなければならず、必要な場合には遺産の一部をその費用に当てることができる。
夫婦、カップルが別れる場合、動物の所有権は動物の世話をするのに最適と見なされる人物に与えられる。
また、これまで、行方が分からなくなったペットの所有権は5年間有効だったが、今回の改正で2ヶ月となった。各州は12ヶ月以内に所有者不明のペットの所有者を探すための特別ユニットを編成しなければならない。
さらに、改正法ではペットの所有者はペットを殺されたり、傷つけられた場合、加害者に「精神的」損害を請求できることになった。
●損害
これまで、損害賠償は動物の市場価値と同等額とされていた。所有者がどの程度の額を請求できるかはまだ定かでない。「法廷が損害の程度を評価しなければならないが、損害賠償がなされる前に個人の責任の程度が判断されなければならない」とボリンガーはいう。
スイス政府は現時点では、動物にこれ以上の権利を与える計画はない。政府はどちらかといえば動物保護の強化に専念したいのだという。
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