【欧州連合】
アザラシ・オットセイ由来製品の輸入・流通を禁止
ALIVE海外ニュース 2009.7-8 翻訳:宮路
欧州委員会は、欧州議会と欧州理事会が合意に達していた、アザラシ・オットセイ由来製品の欧州連合(EU)内における取引、および領域内への輸入禁止を、議会が第一読会での採決で確認
したことに歓迎の意を表した。
新法は、加盟国によって異なる国レベルの現行法を撤廃し、アザラシ・オットセイ由来製品に関するEU内市場規制を統一化するもので、加盟国は禁止違反に対し有効な罰則を課さなければならない。イヌイットなどの先住民共同体が、その生活維持のために行う伝統的なアザラシ・オットセイ猟からの製品についてはこの規制から除外される。世界で流通するアザラシ・オットセイ由来製品のおよそ3分の1が、EU市場を経由、あるいは市場内で流通している。
世界のアザラシ・オットセイ猟
現在、極・亜極地帯の海岸沿いを中心に、30種ほどのアザラシ・オットセイなどが生息しており、これらの海洋哺乳類の合計生息数は1500から1600万頭と推計される。このうち、15種ほどが捕獲対象になっているが、絶滅危惧種は含まれていない。主に捕獲されているのはタテゴトアザラシ、ワモンアザラシ、ハイイロアザラシ、ズキンアザラシ、ミナミアフリカオットセイの5種だ。
アザラシ・オットセイ猟は年間を通して行われ、毎年、約90万頭が世界各地で捕獲されているが、地域や捕獲対象種によって猟の時期は異なる。カナダ、グリーンランド、ナミビアでの商業捕獲がその60%を占め、また、ロシアやノルウェーでも行われている。
カナダ、セント・ローセンス湾におけるアザラシ・オットセイ猟は3月末がピークで、ハカピック(hakapik)という先端に金属が付いた棒で撲殺する。狩猟者は、素早く殺せて、毛皮を痛めないからだという。同じカナダのニューファンドランドでは、4月初旬の2週間にライフルを使って射殺する。昨年、カナダ政府は27万5000頭の殺処分を許可したが、今年は28万頭に増えている。カナダ政府は、同国領域内には550万ほどのアザラシ・オットセイ類が生息しており、猟対象種は絶滅危惧種ではないと猟を擁護している。
アザラシ・オットセイは主にその皮や脂肪、肉のために捕獲されるが、最近、オメガ-3を含むその油脂の需要も高まっている。アザラシ・オットセイの殺処分方法はさまざまであり、射殺、撲殺、ワナや網による捕獲などの方法がある。このような殺処分方法に対してEU市民は、動物福祉の観点から強い憂慮を表明してきた。
EU内では、1980年代頃からアザラシ・オットセイ由来製品の規制を求める動きがあり、2008年7月、欧州委員会が、イヌイットなどの先住民共同体による猟からのものを除く、アザラシ・オットセイ由来製品のEU内における売買とEU内への輸入を禁止する法案を提出した。
世界中でアザラシ・オットセイ猟はさまざまな規則や必要条件で管理されているが、生産と動物福祉との葛藤を最小限に抑えるための包括的なシステムを導入している国もあれば、それほど規制の厳しくない国もある。EU内では、生息地指令による保護指定区域では禁止されている捕獲方法や殺処分方法がある。加盟国の中には、すでにアザラシ・オットセイ由来製品の輸入や使用の禁止を定めている国や、現在、検討中の国もある。
この禁止法にはセイウチやアシカ由来製品も含まれる。
2009年5月5日
euronews.net
http://www.euronews.net/2009/05/05/eu-bans-seal-products/
http://www.euronews.net/2009/05/05/cruelty-is-issue-in-eu-seal-ban/
Europa (Gateway to the European Union)
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/09/698&format=HTML&aged=0&language
=EN&guiLanguage=en
http://ec.europa.eu/environment/biodiversity/animal_welfare/seals/seal_hunting.htm
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