【中国】
中国、初の動物福祉法を策定中
ALIVE海外ニュース 2009.9-10 翻訳:宮路正子
中国、初の動物福祉法を策定中
狂犬病感染拡大防止のために多数の犬を殺処分したことに国民が反発
中国では法律の専門家が、同国初の動物福祉法案を策定している。これにより、犬の残酷な殺処分やペットに対する他の虐待行為が刑事犯罪になる可能性もある。
法案は、狂犬病感染拡大防止のために犬を殺処分した当局に対する国民の反感が高まった後に提出され、年末までに政府に提出される予定。
中国社会科学院の法学者たちは、昨年12月から、イギリスの王立動物虐待防止協会(RSPCA)やアメリカの動物福祉国際基金(IFAW)と法案についての議論を続けてきた。
法案には、不妊・去勢プログラムやコンピューターチップの埋め込みに関するイギリスの法律も取り入れているが、焦点となっているのは動物虐待防止だ。
現在、法律で保護されているのは絶滅危惧種だけで、食用動物やペットを傷つけたり、殺したりしても、それに対する罰則は何もない。中国では、狂犬病は人間の主な死亡原因のひとつで、地方自治体は、狂犬病蔓延防止のために、生き埋めや、撲殺などの措置による、犬の大量殺処分を行ってきた。
このひと月だけでも、8人が狂犬病で死亡したことを受けて、陜西省、漢中の当局は、22、000頭の犬を捕獲・殺処分した。また、黒竜江省ヘイホーでも、狂犬病の流行防止対策として、町中の犬の殺処分を決定したため、動物愛好家が反発している。
法案では、犬の飼い主に登録と予防接種が義務付けられている。 また、ペットを虐待して捕まると、警告を受けるか、罰金を言い渡されるか、最悪の場合、懲役が課せられる。
法案策定チームの責任者、中国社会科学院法学所の常紀文教授は、一般市民や政府の間で動物の権利に対する支持が高まってきているという。
常教授は、法案成立の可能性について聞かれ、「中国は動物福祉の重要性を認識し始めています。というのは、動物福祉が経済、貿易、宗教、倫理に関わる問題だからです。見通しは明るいですが、道のりは険しいでしょう」、と答えている。
香港に拠点を置く動物虐待防止協会は、動物の権利に関する法案ができたのは進展であり、それが制定されればさらなる進歩だという。「まだ詳細は見ていませんが、どんな動物福祉法も歓迎です。中国本土では、多くの動物が虐待されています。動物にも人にも同情します。善悪についての指針が全くないのですから。だから、新しい法律が必要なのです」
協会も、効力のある規則があれば、多数の犬を殺処分することなしに狂犬病を予防できると考えている。 「法律に、動物頭数管理と責任あるペットの飼育も含まれるべきです。つまり、飼い主が狂犬病や他の伝染病の予防注射をしなければならないということです」
2009年6月16日 guardian.co.uk
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jun/16/china-plans-animal-welfare-law
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