欧州理事会、屠畜時の動物の扱いを改善する委員会案を採択

ALIVE海外ニュース 2009.9-10　翻訳：宮路正子

今日、欧州理事会は、動物の人道的な扱いを確実にする一連の実施方法に関する法案を採択した。この法律が発効する２０１３年１月１日以降、屠畜時の動物の扱いが、著しく向上されることになった。

法案では、現行法を簡素化し、食品衛生法と整合させるために、福祉への配慮を屠畜場の設計に取り入れ、スタニング（電気ショックなどで動物を気絶させる方法）の効率性を定期的にチェックすることを義務付けている。

毎年、欧州連合（EU）内の屠畜場では、およそ３億６０００万のブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、そして数十億の家禽が食肉用に殺され、それ以外にも、約２５００万の動物が毛皮用に殺されている。 また、他にも多くの動物が、感染症管理のために殺処分されなければならないこともある。

バシリウEU保健・消費者保護担当委員は、「私たちには、動物を大切に扱う義務があります。 また、動物の福祉は、倫理的な理由だけでなく、動物の健康と食品の質を確実にするためにも重要です。今日、理事会が採択した法案によって、動物が屠畜されるときに受ける扱いは根本的に違ってきます。これは、屠畜の全過程において、動物のストレスを最小限に抑え、痛みを与えないようにすることも含むもので、また、技術革新を促進し、従事者に平等な条件を提供するものです」と述べている。

新法は、屠畜場が、動物福祉責任者を任命し、また、従事者に適切な訓練･認定を受けさせなければならないとしている。 各屠畜場は、適切な福祉基準を確実に実施するための標準業務手順書を作成し、実行しなければならないが、屠殺場にとって、そのような方法は目新しいものではない。食品の安全に関しては、いわゆる「危害要因分析に基づく必須管理点」（HACCP)システムと呼ばれる管理手法がすでに義務付けられ、取り入れられているからだ。

新法の革新的なところは、動物福祉に関する標準化手順を義務付けていることだ。これは、従事者が、動物種に基づく指標によって、スタニング方法の効率性を評価することを義務付けており、動物を気絶させた後、屠畜前に意識を回復しないのを確かめるために定期的にチェックしなければならない。

スタニング装置の製造メーカーは、適切な動物福祉を確実にするための使用説明書を提供しなければならない。また、多くの技術基準が科学の進歩によって改定されている。加盟国は、公式検査に永続的かつ適切に協力できるよう、科学的な支援体制を整えなければならない。 また、当局は、感染症が発生し、動物を大量に処分しなければならない場合、一般市民により詳細な説明の責任を負うことになる。

２００９年６月２２日　EUROPA (portal site of the European Union)
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