農業動物虐待防止法: まもなくオハイオ州にも到達か？

ALIVE海外ニュース 2009.9-10　翻訳：宮路正子

米オハイオ州は、再び政治問題の激戦区となるかもしれない。 米国人道協会（HSUS）が、オハイオ州を農業動物虐待法制定のための次の標的としているが、これは、州法によって農場における特定の家畜管理方法を禁止しようとする活動の一環だ。 これまでに、家畜の「残酷な」監禁を防ぐ農業動物虐待法案が、６つの州で提出され、５つの州で成立している。２００２年のフロリダを皮切りに、アリゾナ、オレゴン、コロラド、カリフォルニアが同様の州法を制定し、ネブラスカだけが否決した。

昨秋、カリフォルニアの有権者は、農業動物虐待防止法を成立させ、家畜福祉問題に関する最新の意思決定を行った。 新法は、住民投票という、選出された立法機関ではなく、すべての市民の投票によって決定される手順によって成立した。 有権者の６３％以上が、この法案と「農業動物が、自由に向きを変えたり、横たわったり、立ち上がったり、思い切り四肢を伸ばしたりできないような状態に置く残酷な監禁」を禁止するというその目的を支持したのだ。

カリフォルニアの新法は、子牛肉用に飼養される子牛、産卵雌鳥、妊娠中のブタなどの農業動物に適用される。産卵雌鳥とは、産卵のために飼養されているニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ホロホロ鳥を指す。ブタに関しては、出産予定日前の７日間は監禁禁止における例外を設けられている。 また、研究、獣医療、展示、屠畜についても例外が設けられているが、 それを除くと、農業動物虐待防止法は、何人も「農場において、子牛、産卵雌鳥、ブタを、横になったり、立ち上がったり、四肢を思い切り伸ばしたり、自由に体の向きを変えたりすることができないような状態で、一日中、あるいはその大半、つないだり、閉じ込めたりしてはならない」としている。

この法律では、いくつかの定義が重要な意味をなす。
・「農場」は、動物、あるいは動物由来製品を商業目的で生産するための土地、または建物を指すが、これには市場は含まれていない。
・「四肢を思い切り伸ばす」は、囲いの側面に触れずに四肢すべてを思い切り伸ばすことを意味する。
産卵雌鳥の場合、これは、囲いの側面、あるいは他の産卵雌鳥に触れずに両翼を完全に広げることを意味する。
・「自由に向きを変える」は、つなぎ鎖など、どのようなものにも邪魔されず、囲いの側面に触れることもなく、３６０度完全にぐるりと回れることを意味する。
・「囲い」はすべてのケージ、クレート、あるいは妊娠ブタ用クレート、子牛用クレート、バタリー・ケージなどの他のすべての構造物のことをいう。
この法律では、「一日中、あるいはその大半」つなぐ、あるいは監禁することを禁止しており、完全な禁止ではないことに留意する必要がある。

カリフォルニアの農業動物虐待防止法に違反した人間は、軽犯罪法で告訴されることもあり、有罪と認められた場合は、１０００ドル（約９５万円）の罰金と１８０日以下の懲役を言い渡される。 これは、カリフォルニアの他の動物福祉法による刑罰に加算される。

カリフォルニア法の取り決めで興味深いのは、発効日が２０１５年１月１日、制定から６年後だということだ。 提案者は、発効日を遅らせたのは、法律が適用する施設を新法に従って改善する経済的影響に配慮したためだというが、新法に反対する側は、その間に他の州で同様の法律を成立させ、カリフォルニア州で法的な異議申し立てや、感情的反発、あるいは施行に付随する問題が起こらないようにしたのだと主張する。

オハイオの農業動物虐待法案はオハイオの動物虐待法を改正するものとなるだろう。 オハイオ改正法９５９．１３は、現在、何人も、動物を虐待する；叩く；身体部分を切断する；命を奪う；食物や水を与えない；風、雨、雪、過剰な日光を避ける場所がないところに監禁する、非人道的な方法で運ぶ、あるいは移動させる；２８時間以上、食物と水を与えずに貨物車に閉じ込める、などの行為を行ってはならない、としている。また、ウシ、家禽、ブタ、ヒツジ、ヤギ以外の動物については、運動、そして空気の入れ替えを提供することなく、囲いに閉じ込めてはいけないとしている。

HSUSは、オハイオでの農場動物虐待法への取り組みをまもなく開始するという。HSUSは、また、「肉、卵、牛乳のために飼養されている動物の苦しみを減少させる」ことを目指して農業動物キャンペーンを開始し、ウェブサイト（http://www.hsus.org/farm/）も立ち上げている。

２００９年６月９日　cattlenetwork.com
http://www.cattlenetwork.com/Content.asp?ContentID=321347