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【アメリカ】

赤身肉の摂取により、人間のものでない分子が人体内に吸収される

ALIVE海外ニュース 2004.1-2  翻訳:宮路

 カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)医科大学院の研究者は、赤身肉や乳製品を摂取することにより、本来、人間のものでない細胞や分子が人間の組織へ吸収される、という研究結果をProceedings of the National Academy of Sciences(米国国立科学アカデミーの論文誌)に発表した。研究は、また、この分子が人間の組織の炎症の潜在的な原因となる可能性のある免疫反応を引き起こすことも示している。

 赤身肉の摂取と、癌や心臓病、そして炎症を伴ういくつかの病気を結び付けた研究がこれまでにもいくつかあったが、これらは、基本的に赤身肉に含まれる飽和脂肪の役割や調理から発生する物質に注目していた。UCSDの研究は、人間以外の哺乳動物で発現するN-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)と呼ばれる生体膜糖脂質の摂取による吸収について調査した初めてのものだ。人体内では発現しないNeu5Gcは、いわゆる赤身肉といわれる子羊肉、豚肉、牛肉に含まれており、果物、野菜、鶏卵、鶏肉、魚においては非常に低いか検出できない。

 この研究では、ヒト組織での実験後、3人の成人ボランティアによる実験を行い、人間がNeu5Gcを摂取した場合、そのうちのいくらかを細胞が吸収するということ、さらに、身体が侵入した異物と見なすこの分子に対して多くの人間が免疫反応を起こすことを初めて証明した。

 UCSDの医学および細胞分子医学教授、糖鎖生物学研究トレーニング・センター副所長のヴァルキ医師は、Neu5Gcの摂取がそれのみで特定の疾病の主な原因となる可能性は低いが、生涯にわたり、Neu5Gcが徐々に身体の細胞に組み込まれていき、その結果、免疫反応としてNeu5Gcへの循環抗体が結合し、様々な疾病に関わる炎症を引き起こす原因とも考えられるし、また、臓器移植の際、Neu5Gcに関連して、別の医学的障害が生じる可能性もある、という。

 過去十年間に、臓器移植を待つ患者の数は3倍以上に増えたが、臓器提供者の数はほとんど増えていないため、異種間臓器移植といわれる、動物臓器の人間への移植が模索されている。しかし、臓器提供動物として有望視されているブタは体内にNeu5Gcを有する。今回の研究は、Neu5Gcに対する人間の抗体がブタ臓器中のNeu5Gcを認識し、拒絶反応を引き起こす可能性があることを示している。
 人間にはその発現に必要な遺伝子がないので、Neu5Gcは人間の体内では発現しないが、人間の癌組織中に少量のNeu5Gcが存在することが報告されている。この研究では、人間の癌組織中のNeu5Gcの存在を確認するために、組織サンプル内でNeu5Gcに結合する抗体を開発した。この結果、抗体が人間のガン組織だけでなく健康な組織をも損傷すること、また、少量のNeu5Gcが血管や粘
膜のような分泌細胞内に存在することもわかった。その後、さらに化学分析が行われ、Neu5Gcが人間の組織内に存在することが確認された。

 一方で健康なヒト組織の分析の結果、ほとんどの人間の血液中に存在する循環抗体はNeu5Gcを認識することがわかり、これが炎症を伴う免疫反応を引き起こす可能性がある。

 人体内ではNeu5Gcを発現させる分子メカニズムは見つかっていないため、研究チームはヒト組織内で見つかった少量のNeu5Gcは食物から摂取されたものだと推論している。培養されたヒト細胞がNeu5Gcと接触したとき、ヒト細胞はNeu5Gcを容易く吸収し、その表面に組み入れた。

 しかし、食物からの吸収の可能性を調べるためには、健常者における食物摂取実験を行なうことは必要だったが、人間にとって潜在的に有害な物質を投与するには躊躇があったため、ヴァルキ医師をはじめとする研究チームのメンバー3人がボランティアとなった。

 3人のボランティアが豚肉由来のNeu5Gc水溶液を飲んだ直後には何の影響も出なかったが、Neu5Gc摂取前と摂取後、数日間定期的に、ボランティアの尿、血液、漿液、毛髪、唾液の分析を行った結果、人体は摂取したNeu5Gcのほとんどを排泄するが、異物の糖質を少量、体内に保持し、代謝的に吸収することがわかった。Neu5Gc摂取後およそ2日目にはNeu5Gcレベルが摂取前と比較して2倍から3倍となったが、摂取後4日から8日には、ほとんど摂取以前のレベルまでもどった。

 研究チームによれば、ヒト組織内のNeu5Gc発現を人間の疾病と結びつけるのは時期尚早であり、科学的推測の域を出るものではないという。今回の発見は、ヒト組織内のNeu5Gcの存在と疾病の発生との関連性、人体がこの糖質を吸収するメカニズムや免疫反応のメカニズムについての人口群レベルにおける分析が必要であることを指摘しているという。

カリフォルニア大学サンディエゴ校ホームページ(2003年9月29日)
http://ucsdnews.ucsd.edu/newsrel/health/09_29_Varki.htm


 
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