ALIVE海外ニュース 2001.9-10 翻訳:宮路
動物虐待は、その加害者が、特にそれが児童である場合、他の凶悪犯罪に関与する可能性を示唆するものであり、そのような個人は家族、地域社会にとって危険な存在となり得る、と米国人道協会(HSUS)は報告している。
HSUSは1年かけてまとめたアメリカにおける動物虐待に関する調査報告をこのほど発表した。この調査はFirst
Strike Campaignという、HSUSが1997年から展開している動物虐待と人間に対する暴力との関連性について一般市民や専門家の認識を深め、その深刻さや社会に与える影響についての理解を広げる、というキャンペーンの一環としておこなわれたもの。HSUSは会員数700万を超すアメリカ最大の動物保護団体で、調査に使用された資料は、マスコミの報道レポートや地域動物保護団体からの提供による信頼のおけるもので、西暦2000年に全米で起こった1600件以上のケースをまとめている。
この調査によると、意図的動物虐待の加害者の94パーセントは男性で、31パーセントは18歳以下の青少年、4パーセントは12歳以下だった。また動物虐待事件の21パーセントは家庭内暴力に関連して起こっている。
HSUSのキャンペーン責任者は、社会における暴力を減らしたいと思う人は、このような10代男子による意図的動物虐待の割合の高さ、また動物虐待と家庭内暴力の複合暴力事件数の多さに注目すべきだ。動物虐待が、その加害者が他の凶悪な犯罪にも関わる、あるいは家族、そして地域社会にとって危険な存在となる可能性を示唆する危険信号であると認識するのは、動物が好きかどうかとは無関係だ、と述べている。
学校で銃の乱射事件を起こした若者から悪名高い連続殺人犯まで、多くの犯罪者は人間に対する暴力行為以前に動物虐待暦がある。
・1979年にサンディエゴの学校に放火し、2人の児童を死亡させ9人にけがを負わせたブレンダ・スペンサーはネコやイヌの尾に火を付けるという虐待行為を繰り返し行っていた。
・13人の女性を殺害した「ボストンの絞殺魔」アルバート・デサルボは若い頃、イヌやネコを木枠に入れ、それを標的に矢を射たというし、連続殺人犯ジェフリー・ダーマーはイヌ、ネコ、カエルなどの頭を切断し、、それを裏庭に突き立てた棒の先にさしていたという。
・さらに最近では、コロラド州コロンバン高校で銃の乱射事件を起こしたエリック・ハリス(18)とディラン・クレボルド(17)も動物を虐待していたことが調査で明らかになっている。
米連邦調査局(FBI)の行動科学班に所属するブラントレー特別調査官は、FBIが1970年後半から動物虐待とその他の暴力行為との関連性に注目し始め、連続殺人犯に関する研究を行った結果、その大半が児童・青少年期に動物を殺したり虐待していたことが明らかになったという。
現在、FBIは動物虐待を人間に暴力を加える可能性があることを示唆するひとつの指針としており、ブラントレー特別捜査官は、動物虐待は健全な個人の無害な感情のはけ口ではなく、この人物が精神的に病み、何らかの形の介入(intervention)が必要であるということを示している。動物虐待は暴力的感情を発散させるものではなく、助長するものだ、と述べている。