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 HOME > 海外ニュース > <多頭飼育>医師が中心となって解決できる公衆衛生問題
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<多頭飼育>
医師が中心となって解決できる公衆衛生問題

ALIVE海外ニュース 2003.1-2 翻訳:宮路

 床は尿が染み込み、糞に被われ、生きている犬や猫と死骸が混在し、多くの動物は栄養状態が極端に悪い、あるいは病気であるために安楽死させなければならない。このような話は悲惨ではあるが、意外に多い。

 専門家はアメリカ国内で毎年最低700件の多頭飼育−収集と呼ばれることもある−のケースが新たに起こっていると見ている。多頭飼育の原因についてはよく理解されないが、飼育される動物、飼育者が共に悲惨な状態になるという事態は未然に防ぐことができると、タフツ大学、動物と公共政策センター所長、および多頭飼育研究協会(HARC)の創立者であるゲイリー・パトロネク博士はいう。

問題への理解

 HARCは1997年に、獣医師、医師、心理学者、ソーシャル・ワーカー、動物福祉団体役員などを含む学際的グループによって作られ、多頭飼育の問題について学び、精神衛生や社会福祉の専門家、そして自治体行政の認識を深め、より効果的な介入方法を開発することを目的としている。

 HARCは多頭飼育者を次のように定義している:

・栄養面、衛生面、医療面において最低限のケアを提供する能力以上の数の動物を抱え込む

・動物の状態 (疾病、飢餓、死亡などを含む) や居住環境 (著しい過密状態、非常に不衛生な状態) が悪化していくことを認識することができない

・多頭飼育によって自身、および家族の健康と福利が損なわれていることを認識できない

 多頭飼育者を「収集者」と呼ぶことは、多頭飼育者の行動を正確に表すものでなく、多頭飼育が重大な公衆衛生問題であるという認識を得ようとする努力の妨げとなる。HARCによれば、多頭飼育は病理学的状態を意味する。

 多頭飼育者は、自分が動物にたいへん愛情を持ち、動物のことを非常に気にかけていると主張するが、多頭飼育が単に動物を救おうとする見当違いな努力ではないことを獣医師その他の専門家が認識することが非常に重要である、とパトロネク博士はいう。「多頭飼育は動物に住居を提供することや動物を助けることとは関わりがなく、実は動物にも関わりがない。人間のニーズを満たすための行為なのです」

 実際、多くの専門家は多頭飼育の原因として何か心理的問題があるのではないかと考えている。専門誌に掲載された記事は、多頭飼育が痴呆、依存症、あるいは強迫障害のような心理的障害の兆候ではないかと示唆している。

 さらに、多頭飼育は、飼育者本人、その家族や飼育される側の動物の健康を著しく損なうこともある。

 住環境は、電気器具は壊れ、電気・ガス・水道は止められ、まともな食事を用意する、あるいは基本的な衛生状態を保つことが不可能になるほどひどい状態になっていることもしばしばある。また、齧歯動物や昆虫が住み着いていたり、火災が発生しやすい状態であったり、身体に害になるほど強いアンモニア臭がする場合もある。

 「このような状態では、人間や動物は生活できないし、とても人道的な環境といえるものではありません」と同博士はいう。

 多頭飼育者の多くは「常習者」だ。しかし、起訴に持ち込むのはむずかしく、刑罰は軽く、事後の監督が行き届かないため、多頭飼育者は以前に飼っていた動物を没収されてまもなく、また動物を集め出す。同博士によれば、この心理的動因は非常に強く、常習率はほとんど100パーセントだという。

インターベンション(介入)を成功させる方法と予防

 家の状態を人に見られると恥ずかしいという気持ちと、非難されるのではないかという恐れが、多頭飼育者を友人や家族から遠ざけていく。このような状態では、獣医師が命綱となる場合もある。個人が問題を抱えている場合、それを認識することが第一歩となる。「猫おばさん」のようなステレオタイプの見方は役に立たないだろう。多頭飼育者の経歴は一様ではなく、年齢もさまざまだ。社会的・経済的に恵まれない立場の人間が多い傾向はあるが、これまでにも飼育者が大学教授、看護師、銀行家などいわゆる専門職に携る人間だったケースもあり、獣医師が多頭飼育をしていたこともある。

 猫と犬が最も一般的に犠牲となる種だが、多頭飼育者は何種類かの動物を飼育する場合が多い。多頭飼育者の65パーセントが猫を、60パーセントが犬を飼っている。

 個人の振る舞いとその個人が連れてくる動物の状態が最良の情報源だと博士はいう。例えば、多頭飼育者が、獣医師のところに動物を連れてきて、ひどい状態でいるのをたった今見つけた、あるいは救い出したばかりだというかもしれないが、強い尿臭、伸びすぎた爪、筋肉の萎縮などの状態は、外をうろついていたというより、劣悪な状態で室内に飼われている可能性を示しているかもしれない。

 獣医師は、多頭飼育者へのインターベンションを行なう際、公衆衛生、建物、衛生規定、動物管理、高齢者・児童虐待に関する地元自治体の条例が役に立つ可能性があることを知っている必要がある。また、州によっては、獣医師は、動物虐待その他の違法行為を通報することを義務付けられている。

 動物虐待や飼育怠慢(ネグレクト)に関する米獣医師会(AVMA)の方針は、獣医師が動物虐待や飼育怠慢を通報することを奨励している。獣医師は連邦法、州法、地元自治体の定義するところの動物虐待や飼育怠慢の事例を見つける可能性があり、このような状況が教育によって解決することができない場合、そのような事例を担当行政に報告することが獣医師の義務であるとAVMAは考えている。動物と人間の健康や福祉を守るためには状況を公けにすることが必要な場合もある。獣医師は、正確な記録をつけること、このような事例を書き記しておくことが非常に重要であることを認識しなければならない。

 また、インターベンションはチームによるアプローチが必要なため、地元の社会福祉事業、公衆衛生、法執行などの機関との関係を作っておくことも重要である。獣医師は地元の諸機関へのトレーニングをボランティアで行なうことにより、多頭飼育に対する予防措置を推進しインターベンションの方法を向上させることができる。

●多頭飼育に関するより詳細な情報は以下のタフツ大学のホームページへ

   www.tufts.edu/vet/cfa/hoarding.html

Journal of the American Veterinary Medicine Association


 
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