【アメリカ】
米議会、ペットフードの安全基準を強化
ALIVE海外ニュース 2008.1-2 翻訳:宮路
9月、米議会は、食品医薬品局(FDA)がペットフードの原料と製造についての基準を設定しなければならないとする、食品の安全性に関する条項を含む法案を可決した。新法は人間用の食品にも適用され、危険なペットフードについて一般市民に知らせる早期警告システムを設立するものだ。
議会は、製品のリコールを行う際、情報の提示や、検索可能で操作し易いリコールリストのFDAホームページへの掲載など、一般市民、企業、専門家団体とのコミュニケーションの改善をFDAに指示した。FDAは、報告義務のある食品登録表を設け、人間や動物に害を及ぼす可能性のある食品についての警告を掲載しなければならず、また、食品検査に関するより詳細な報告書を議会に提供しなければならない。
新法の下では、州と連邦当局は、食品安全プログラムを改善するために協力して働かなければならない。また、食品会社は、問題があると断定した後、自社製品の汚染について迅速に報告し、汚染された食品を遅滞なくトレース(追跡)できるよう記録を公表することが義務付けられている。
この法律が成立したことによって、企業は、発見から24時間以内に食品汚染を報告しなければ法により罰せられる、と、食品医薬品局修正法案を提出したイリノイ州選出のダービン上院議員はいう。
法案の食品安全に関する条項により、供給ルートを通してのより迅速なリコール、警告、通知が行われるという。汚染食品は追跡され、より早い段階で供給ルートから迅速に取り除かれ、リコールは汚染された製品の特定なロットやバッチを対象とするようになる。全体的に見て、これにより食品由来の疾患から
人間の健康を保護するFDAの能力がかなり改善されるはずだという。
議会は、世間の関心を呼んだ、汚染された人間用食品とペットフードの事件に対応する形でこの法律を成立させた。今年3月、多数のペットがいくつかのメーカーのフードを食べて具合が悪くなったり死亡したりしたことを受けて、大規模なペットフードリコールが開始された。その後の検査で回収されたフードにはメラミンとシアヌル酸が混入されていることが分かった。
後の上院・下院に傍聴会では、食品の安全性に関する規制を強化する必要がある領域が指摘された。
傍聴会後、ダービン上院議員はコネチカット州選出のデローロ下院議員と共に、食品・ペットフード安全法案を提出した。この法案の作成には米獣医師会(AVMA)も関わっている。この法案は修正されてFDA法となり、9月19日に下院で、その翌日、上院で可決された。
「今年のペットフードリコール騒動は、利害関係者間のコミュニケーションと協力が、ペットフードの安全性を確実にするために重要であることを印象付けた。この法律は正しい方向への重要な一歩だが、動物と人間の食料供給を完全に守るためには、更なる努力が必要だろう」とハマーAVMA会長はいう。
その目標を達成するための重要な要素のひとつは、獣医療公衆衛生要員増加法の成立とそれに対する十分な予算割り当てだという。この法案は公衆衛生関連業務における獣医師の不足問題に取り組もうとするものだ。
食品安全に関する新たな規制を考えると、FDAの任務遂行を支援するために議会が追加予算を提供することが重要だという。
また、アメリカのペットフード業界団体ペットフード研究所は、法の分析を行い、その解釈についてFDA獣医療センターと共同で作業を行っているという。
2007年11月1日
アメリカ獣医師会会報ニュース
http://www.avma.org/onlnews/javma/nov07/071101a.asp
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