【アメリカ】
精神疾患に関連する場合が多いアニマル・‘ホーディング’と呼ばれる劣悪多頭飼育
ALIVE海外ニュース 2011.7.1 翻訳:宮路
毎年、アメリカ国内で25万匹の動物が意図的ではない虐待や飼育怠慢の犠牲になっている、と専門家はいう。
数名の動物福祉職員が、10時間近くかかって、ノースカロライナ州の田舎にある家屋から、何百匹もの病気にかかった、あるいは死にかけている動物を救出した。これはアメリカでもかなり大きなアニマル・ホーディングの事件だった。
アヒルやウサギ、犬や猫など17種類の動物が400匹以上も、動物の救済者と名乗る中年のカップルと共に、悲惨な状況に置かれて暮らしていた。しかし、この自称救済者は、食料も水も医療も、ほとんど、あるいはまったく与えていなかった。
家の中は、どこに視線を移しても、それまで目にしていた場所より悲惨でおぞましい状態だったと、3年前のその日、現場にいた州の動物福祉検査官シェリー・スウェイムはいう。
国内で、毎年、数百、あるいは数千のホーディング事件が起こっていると考えられている。ホーダーと呼ばれる劣悪多頭飼育者には女性が多いが、適切にケアできる以上の数の動物を所有しようとする衝動は、年齢、性別、職業、経済的状況を超えて存在する。
これらのホーダーの中には深刻な精神衛生上の問題を抱えている人もおり、この現象はペットの問題であるのと同様に人間の問題でもある。
カリフォルニアを拠点とする動物の権利法団体、動物の法的擁護基金(ALDF)は、ホーディングが、今日、コンパニオン・アニマルが直面する最大の危機であると考えている。それは、犠牲になっている数(毎年およそ25万匹と推定される)と、動物が味わう苦痛の程度、そしてそれに耐えなければならない時間の長さが理由だ。
動物のホーディングが他の種類の虐待と異なるのは、通常、長期にわたる飼育怠慢(ネグレクト)が意図的でないということだ。大半のホーダーは動物好きで動物のケアをしようとするが、自分が抱える問題の性質や範囲について非常に限られた認識しか持っていないことが多い、とホーディング問題の専門家ゲイル・ステケッティー博士はいう。ステケッティー博士はボストン大学社会福祉学大学院の教授で学部長を務めている。
「問題を認識できないところが、ホーダーの行動のうちでも最も憂慮すべき局面のひとつです。彼らは、病気に罹った動物や栄養失調の動物を目の前にして、自分は動物の世話をきちんとしている、と言い張るのです」と博士はいう。
これは当局から動物を押収すると言われたことに対する防衛反応であるかもしれないが、それより深く根差した原因があるようだという。「いったん動物の数が、適切な食料、住居、獣医療を提供する彼らの能力を超えてしまうと、助けが必要だと認めることができなくなるのです。」
ステケッティー博士らは、最近、研究のためにアニマル・ホーダーにインタビューをし、その多くが幼年期を問題の多い環境で過ごし、彼らの人生における親の立場にあった人間との初期の愛情経験の上で問題があったことが分かった。また、成人してから、その他の精神衛生における問題や機能不全な人間関係もあった。
「これは残念な状況です。というのは、彼らは善意からそういうことを始め、それを実現することができなかったのですから。ホーダーは私たちの怒りではなく、関心を向けるべき存在です。意図的な虐待行為を動物に対して行うわずかな例外を除いてですが」とステケッティー博士はいう。
2013年5月に発行予定の“精神疾患の診断と統計マニュアル第5版”にホーディングについての項目が含まれることを期待するソーシャルワーカーや獣医師もいる。この参考書籍で疾患であることが明確に認識されれば、精神衛生に関わる分野において、ホーディングについてより良い理解を得られ、これまで以上の治療や対策が促進されるという。
国中には数え切れないほどの不要なペットが存在し、犬、猫、その他の知覚ある動物を収集するのは難しいことではない。専門家は、ホーダーの中には不要なペットを引き受けてくれる人として知られるようになる人もいるし、あるいは自分が飼っている動物が毎年繁殖するケースもあるという。また、印刷物、あるいはインターネットの案内広告や里親探しサイトなどを熟読して、シェルターや個人から動物を引き取るホーダーもいるという。
また、ホーダーの中には、動物を得るためにきちんとした動物保護団体を装ったウェブサイト作成する者もいる、と獣医師でボストン動物救助連盟の副会長ゲイリー・パトロネク博士はいう。
見た目には非常にきちんとした形を取り、手を広げ、飼養している動物のケアができていないのに、もっと多くの動物を引き受けようとどんどん動物を増やしていくケースもあり、このような傾向は気がかりだ、とパトロネク博士は付け加えた。
アニマル・ホーディング問題に対処するために、カリフォルニア州カーン郡やフロリダ州リー郡などでは、動物保護団体、児童福祉団体、法執行機関、行政の社会福祉部門や保健所など、必要な機関が合同で活動できるよう対策委員会を設立した。
訓練を受けた災害対応チームが、少なくとも4つの全国規模の動物福祉団体によって運営されており、動物の救出とリハビリテーションを支援するために、ホーディングの現場にたびたび派遣されている。
それでも、多くの地域社会が、これらの非常に複雑なケースを扱うのに四苦八苦しているという。
「子供が適切なケアを受けていないのではないかと思えば、実際に、まったく不潔な環境で暮らすとか、ひもじい思いをするとか、病気に罹るとか、死にかけるとかいった状況になるまで放置しないはずです」とパトロネク博士はいう。
しかし、動物の場合にはそのようなことになってしまうのだとパトロネク博士は指摘する。動物虐待防止法は犯した罪を処罰するために制定されているからだ。そのような理由で、ホーダーが協力的でなければ、当局は犯罪が行われるまで待たならない、つまり行動を起こすには、動物が虐待されるか、飼育怠慢(ネグレクト)されなければならないのだという。「どの法律も、このような、ケア能力を超える大量の動物を収集する人間の問題行動に根本から対処するためには書かれていないのです。」
ペットのケアに関するアドバイスについては、米国立医学図書館サイトを参照。
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/pethealth.html
2011年3月25日
U.S. News
http://health.usnews.com/health-news/family-health/brain-and-behavior/articles/2011/03/25/animal-hoarding-often-tied-to-mental-illness
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