【国際】
動物福祉の国際基準設定を提言
ALIVE海外ニュース 2004.8-9 翻訳:宮路
動物福祉における地域差を埋めるために尽力する国際獣疫事務局(OIE);米農務省(USDA)、米獣医師会(AVMA)などは提言を
今年2月、世界70カ国から450人を越える科学者、政治家、動物福祉活動家などがパリに集まった。OIEが作成しようとしている動物福祉の国際基準のためにその意見や専門知識を提供するためだ。
OIEは現在、加盟国が動物福祉基準の向上を求めて高まりつつある一般市民の声に対応する手助けとして、科学に基づく基準作りを行っている。パリの会議はOIEによる動物福祉関連の情報収集の第一歩だ。
透明性と公開性がOIE政策の重要な要素であり、OIEは、これらの原則を動物福祉問題に関しても適用していくことに専心している、とOIE事務局長バラット博士は、声明で述べている。
会議には、世界獣医師会前会長ジム・エドワーズ博士、国際農用動物福祉連合代表デイビッド・ウィルキンズ博士、食品市場研究所(FMI)上級副会長カレンH.ブラウン、動物福祉理論を教えているデイビッド・フレーザー教授などがスピーカーとして出席し、動物福祉における獣医の役割、動物福祉の科学、動物福祉に関連する文化的、宗教的、倫理的問題などが話し合われた。
また、OIE加盟国である120の開発途上国が直面している問題についても特別な配慮がなされた。これらの国々が国際社会に適用する動物福祉の基準を受け入れるを可能にするためには、技術的、経済的援助を提供することが大切だとバラット博士はいう。
AVMAからはコミュニケーション部門の副部長 ゲイル・ゴーラブ博士が米国代表団のメンバーとして参加した。会議は、科学に基づく動物福祉の国際基準設定に獣医師が参加する良い機会であり、AVMAの役割は、基準設定の過程で、できるだけ多くの有益な提案を行うようにすることだと、博士はいう。
AVMA役員会は、最近、獣医師会としてのOIE動物福祉イニシアチブへの継続的な参加を承認し、プロジェクト・コーディネーターとしてゴーラブ博士を任命した。また、USDAの動植物衛生検査局(APHIS)から会議に出席した局長代理のチェスター・ギプソン博士が、米国代表団のイニシアチブへの参加をコーディネートしているが、博士は、様々な業界団体、学術団体、動物福祉団体の代表から成る代表団のメンバーへOIEからの情報を送り、USDAの公式な見解を作成するためにメンバーからの意見を求めていく。
アメリカからは非常に多岐に渡る分野からの代表が参加し、ひとつのグループとして共同で働くことに合意した。また、OIEにはアメリカの動物福祉における専門家のリストを提供する予定だとギプソン博士はいう。
動物福祉問題におけるリーダーシップを取るのは、国際的動物衛生組織であるOIEが最適であると加盟国が決定したことを受け、OIEは、2001年に動物福祉基準制定に乗り出し、2002年5月には常置の動物福祉ワーキンググループを設けた。その最優先事項は農業と水産養殖における動物福祉、特に輸送、人道的屠殺、疾病管理のための殺処分、に取り組むことだ。時間と資源に応じて、OIEはその活動の範囲を広げ、研究、娯楽、展示に使用される動物や伴侶動物の福祉についても取り組んでいく予定だ。
また、最優先分野それぞれの問題に取り組む特別グループが設けられ、各分野でガイドラインを作成する。その後、利害関係者はガイドラインに関してコメントする機会を与えられ、それをもとに修正が加えられる。さらに、OIEは調査が必要な分野を見極めるための作業をおこない、研究所間の共同作業を奨励し、福祉問題についての専門知識を提供していく。
2004年6月15日
American Veterinary Medical Association
(http://www.avma.org/onlnews/javma/jun04/040615a.asp)
|