捕鯨の支持を得るために莫大な金を使う日本
ALIVE海外ニュース 2002.5-6 翻訳:宮路
グリーンピースはこの1月、日本政府は1987年以来、商業捕鯨再開のために3億2000万ドル(約416億円)以上の資金をつぎ込んできたと発表した。結局、鯨の将来を決めるのは金なのかもしれない。
「日本政府はいかなる手段を使ってでも商業捕鯨を再開させようとしている。IWCでの投票権を買収し、つまるところ世界の鯨を買収しているのだ」とグリーンピースの活動家は語る。グリーンピースは、鯨の保全を支援する国が日本の投票権買収行為に対して何らかのアクションを取らなければ、1986年以来禁止されている商業捕鯨のモラトリウム(一時停止)がIWCの総会で覆させる可能性があるという。
1月に公表された書類には商業捕鯨再開のためにいくらの金が動いたかについて新しい数字が示されている。2001年には4700万ドル(約61億円)がアンティグア・バーブーダ、ドミニカ、セントクリストファ・ネビス、セント・ルーシア、セント・ビンセント、グレナダの6ヶ国の投票権買収のために費やされた。日本の水産庁はこれを水産業助成金と説明しているが、アンティグア・バーブーダのレスター・バード首相は、自国がIWCで日本に賛成票を投じる見返りとして与えられた金であることを認めた。
カリブ通信社はバード首相の「鯨が絶滅危惧種にならない限り、我々が日本に賛成票を投じてはいけない理由などないはずだ。その報酬として日本は支援を提供してくれる。私は偽善者ぶるつもりはない。我々が日本に賛成するのはその報酬がほしいからでもある」という発言を伝えている。
日本もまた商業捕鯨再開の賛成票を買収していることを公けに認めている。日本の途上国支援金(ODA)の額と日本鯨類研究所が発表している数字によると、水産助成金が2億1000万ドル(約273億円)を超え、調査捕鯨に対する助成金が1億1300万ドル(約147億円)。合計すると3億2000万ドル(約416億円)以上になる。
また、日本政府は国際ロビイスト、PR会社を雇い、宣伝活動の資金も提供しているという。「日本経済が落ち込む中、政府は捕鯨を再開させようと大金を湯水のように使っている。日本は目的を達成するためにこのような極端な手段を使うべきではない。日本の国民ひとりひとりがこれらの金を支払っているのだが、一般市民はそのような事実すら知らない」とグリーンピースの日本人活動家はいう。
日本は科学調査の名目で年間440頭という枠を独自に決め、南極海で捕鯨を行なってきた。また北西太平洋でもこれに近い数の鯨を捕獲している。2年前にはミンククジラに加え、マッコウクジラとニタリクジラを「科学調査」のリストに加え、アメリカをはじめとする世界各国の反発を招いた。
5月に山口県下関市で開かれるIWC総会では日本の率いる捕鯨賛成国と、オーストラリアとニュージーランドを中心とする南太平洋の反捕鯨国家が商業捕鯨再開をめぐって対決することになる。
Environment News Service