絶滅危惧種の密輸へと商売替えする麻薬密輸業者たち
ALIVE海外ニュース 2002.11-12 翻訳:宮路
環境法の専門家によると、国際的な麻薬密輸業者は絶滅危惧種や有害廃棄物の取引で巨額な利益を上げているという。麻薬取引に対する法の取り締まりが厳しくなったため、既存の麻薬密輸ルートを利用して絶滅危惧種、希少鉱物、有害廃棄物の取引を行なっているのだ。
今年8月に南アフリカで開催された環境法会議2002の議長、フランソワ・ジュベール弁護士によれば、絶滅危惧種取引額は年間60から100億ドルにものぼるという。また、違法漁業は年間40から50億ドル、有害廃棄物の不法投棄は年間20億ドルほどの利益を上げている。違法な環境犯罪で上げられる利益は国際的な麻薬密輸取引額に匹敵する可能性もあるとジュベール弁護士はいう。
環境法会議は、ヨハネスブルグでの国連地球サミット開催に伴って行われた催しのひとつで、8月22日から25日まで開催された。
会議では、法規性を強化し、違法伐採、絶滅危惧種およびその身体部分の違法取引といった環境犯罪に対抗する方法を探った。会議には、元ノルウェー首相で世界保健機構事務局長ブルントラント氏、元南アフリカ大統領マンデラ氏なども参加した。
ジュベール弁護士によれば、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アフリカ、中国で犯罪組織は違法伐採によって年間80億ドル以上の収益を手にしているという。多くの国、特に発展途上国では、この成長する違法環境取引を防ぐインフラ、法、そして強力な腐敗防止措置を欠いている。アフリカの象の個体数は、密猟によって10分の1に減少した。その背景には1989年に禁止された国際的な象牙取引がある。現在、中央アフリカと西アフリカで横行している違法なブッシュミート取引と森林伐採はゴリラやチンパンジーを含む多数の霊長類を絶滅の縁に追い込んでいる。
ロイター
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