政府はダイオキシン削減対策を、と検討委員会が提言
ALIVE海外ニュース 2003.9-10 翻訳：宮路
米国医学研究所検討委員会によると、政府は健康的な食生活を奨励するなどして、市民のダイオキシン暴露を減少させるよう努力し、また、畜産動物の体内に蓄積されるダイオキシンや飼料・穀物に含まれるダイオキシンの量を制限・検査する必要があるという。
ダイオキシンは数多くの産業副産物に含まれており、ホルモン分泌を攪乱し、ガンその他の健康障害を引き起こす。1970年代にこのような健康への影響が発見されて以来、ダイオキシンの生産は激減したが、環境内にとどまり続け、脂肪組織や脂肪製品内に蓄積される。つまり、一生、体内にとどまるという意味だ。
ダイオキシンは、汚染された飼料や草を食べたり、汚染された水を飲んだりした家畜の体内に蓄積されるため、肉や脂肪分の多い牛乳(Full fat milk)のような脂肪分の多い食品は高濃度のダイオキシンを含んでいる。このような潜在的に危険な化学物質を人々が摂取する危険性を減らすために、米国政府はもっと努力すべきであると検討委員会委員はいう。
胎児や幼児は特に有毒合成物の影響を受けやすいので、政府の行動計画に女性が出産可能年齢になる数年前から食品を通して摂取するダイオキシンの量を減らすこと、女性の体内に蓄積され、胎盤や母乳を通して子供へ与えられるダイオキシンの量を減らすことを盛り込むべきであり、すべての子供、特に少女、のダイオキシン暴露を減らすためには、全国学校ランチ・プログラムのような政府が援助する食物プログラムで、動物性脂肪の供給率の低い食事を増やすことだと、報告書は述べている。
国立科学アカデミーのひとつである研究所は、医学問題に関して連邦政府に助言をおこない、報告書作成のために専門家による独立した検討委員会委員を任命する。研究所によれば、１９７０年代以来環境中のダイオキシン濃度は７６パーセントも減少したという測定結果も出ており、食品中の含有濃度も下がっている。
食品に含まれるダイオキシンの量によってどの程度の危険があるのか、まだ基準が定められておらず、危険性を明確にするデータを集める一方で、ダイオキシン暴露をさらに減らすための対策を取るよう委員会は勧めている。
対策としては、飼料に含まれるダイオキシンの検査や、化学薬品の基準量の設定、農業における動物副産物の使用の制限などがある。政府は、食品、栄養補助食品、母乳などの人間の食物供給におけるダイオキシンの基準量を定め、検査するべきであり、また、市民に脂肪や肉の摂取を減らすことを奨励すべきだとしている。
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