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 HOME > 海外ニュース > 【IUCN】保全による生物多様性の衰退阻止への期待
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【IUCN】

保全による生物多様性の衰退阻止への期待

脊椎動物種の20%が絶滅の危機に瀕してはいるが、保全努力の成果は表れているという研究評価

ALIVE海外ニュース 2011.1-2 翻訳:宮路正子

 

脊椎動物種の5分の1が絶滅の危機に瀕しているが、生物多様性の衰退は、保全努力がなければ現状よりかなり悪化していただろうと、今日、発表された研究は示唆する。

サイエンス誌に掲載された研究は、2万5000頭以上の哺乳類、鳥類、両生類の現状をまとめ、名古屋でおこなわれている国連の生物多様性会議に合わせて発表された。名古屋での会議では、2020年までに世界の生物多様性の損失を食い止めるための目標を定めることになっている。

英ケンブリッジにある国際自然保護連合(IUCN)のマイケル・ホフマンは、「(この年までに種の損失を大幅に抑えるという)2010年までの目標は達成できませんでしたが、我々の研究の目的は保全が実際に効果を挙げていることを示すことです」と述べている。ホフマンは脊椎動物の研究を主導した。

同じ問題に関する別の研究は、これからの生物多様性の損失を推算するために現在使用されているコンピューターモデルは信頼性や一貫性がないことを指摘する。これは、名古屋で採択される政策決定が、世界の動植物にどのように影響するかを予測する試みを妨げることになるだろう。

損失の可能性範囲を絞り込んでいかなければならない、と、この研究を主導したポルトガル、リスボン大学のエンリケ・ペレイラはいう。「現時点では、2050年までに生物多様性の1%を失うのか、それとも40%から50%失うのか分かっていません。」

さらに悪化する?どうしたらこれ以上悪化するのか?

ホフマンのチームは、絶滅の怖れのある哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類、魚類を記載したIUCNのレッドリスト(なかには1980年から記載されている種もある)を元に作成した指標を用い、毎年平均52の脊椎動物種のレッドリストにおける保全状況が一段階悪化していることを示した。

両生類の絶滅危惧種が最も多く、42%が絶滅危惧種(threatened)に分類されている。これはほとんど解明されていないツボカビ症という伝染病が主な原因で、世界中で大量の両生類が犠牲になっている。 絶滅の危険性が悪化した種が最も多いのは東南アジアだが、アメリカやオーストラリアなどの、より豊かな国でも減少が進行している。

オックスフォード大学、保全科学のライス・グリーン教授は、この研究が‘あまり見た目の可愛くない種も含めて’異なる評価を組み合わせているので重要だという。

しかし、研究は、また、生息地の喪失を食い止める努力、狩りの制限、外来生物種対策が全く行われていなかったら、生物多様性の衰退が少なくとも5分の1は加速していただろうと推測する。「人々は人間がこの状況に対して何かできるとは思っていないのです。けれど、保全努力がなかったら、我々が目にした衰退は現状よりはるかにひどかったでしょう」とホフマンはいう。

そして、保全のほんとうの効果はもっと大きいかもしれない。ホフマンは、数字に表れて‘いるものは“ひどく過小”だという。ひとつには保全努力がなければ、そもそもIUCNのリストに取り上げられもしなかっただろう種を特定するのがむずかしいからだ。これまでのところ、外来生物種への取り組みが最も成果をあげているが、それはこの戦略が孤立した島への外来生物侵入の脅威を減らすことに特に有効だからにすぎない、とホフマンはいう。

保全努力が種を絶滅の縁から引き戻したケースもある。例えば、今だに絶滅危惧IB類(EN)であるクロアシイタチ(Mustela nigripes)を北米で野生へ再導入したし、30年がかりのプログラムでは、2003年に絶滅危惧IA類(CR)だったゴールデン・ライオン・タマリン(Leontopithecus rosalia)を絶滅危惧IB類(EN)へと危急度を引き下げることに成功した。

知られざる未知

しかし、ペレイラが主導する生物多様性のコンピューターモデルのレビューによると、推計に一貫性がないことと、現地からの確かなデータが不足していることが生物多様性が将来どう変化するかを予測することへの主な障害になっているという。

土地利用や気候の変化と生物多様性の損失のこれまでの相関関係から傾向を推測している研究もあるし、環境の変化に応じてある種が絶滅する過程を詳細に記述している研究もある。そのすべてが、生物多様性の危機に直面していることを示しているが、研究によって気候と土地利用変化について異なったシナリオを使用しているので、将来の損失の程度とそれを緩和する我々の能力についての予測はモデルによって大きな差がある。

「関係者にとって最大の挑戦は、生物多様性の変化に対応するより良い観測用ネットワークを開発することだと思います。同じシナリオに対する予測を比較することに関しては関係者はさらなる努力をする必要があります。それによって、結果の違いが異なったモデルを分析したことによるものなのか、あるいは異なったシナリオを分析したことによるものなのかを確認することができます」とペレイラはいう。

このレビューは、絶対に必要だった、とグリーンはペレイラの論文について語る。まだ多くの不確実性があるので、このレビューはいくらか暗い予想を描いている。

ペレイラもグリーンも、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)という、生物多様性において気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に準ずる機関の設立によって、生物多様性研究共同体が再集結し、モデルを改良し、結果が比較可能になるのを確実にし、より良い監視システムを確率されることを期待している。

名古屋における交渉は、現在、保全資金の詳細についてと生態学的に豊かな国の資源へのアクセスをめぐって難航しているが、ホフマンは依然として楽観的だ。 保全努力についての自らのレビューから結論づけるように、 「私たちは本当に物事をすっかり変えることができるし、強力なメッセージです。あなたは決して希望を捨てるべきではありません」

参考文献:
1. Hoffmann, M. et al. Science doi:10.1126/science.1194442 (2010).
2. Pereira, H. M. et al. Science doi:10.1226/science.1196624 (2010).

2010年10月26日 
Nature News
http://www.nature.com/news/2010/101026/full/news.2010.563.html



 
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