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変わりゆく動物園と昔ながらのサーカス
動物の犠牲の上に成り立つサーカス

ALIVE海外ニュース 2003.3-4  翻訳:宮路

 動物園とサーカスは、100年ほど前に、双子のようにほとんど同時に誕生した。たった30年前には、動物が常に移動する生活からくる著しいストレスに晒されているほかは、動物園とサーカスの間には大きな違いはなく、両方とも動物を使った娯楽施設だった。

 幸いなことに動物園業界は時と共に、娯楽を第一の目的とする場所から動物の保全や福祉、そして環境教育を重視する組織へと変わった。

 デトロイト動物園では日々、動物は何を思っているのだろうかという問いかけを怠らない。本来は野生である動物を飼育する者はみなこういったことを考慮すべきだ。飼育者が自分のところの動物には物理的にも社会環境の面においても相当なものを提供できると確信していないのであれば、動物園も含めて動物を飼養すべきではない。

 つい数年前、デトロイト動物園は動物福祉問題に関して様々な方面からその姿勢を問われたが、この中にはチンパンジーをショーに使うこと、象を鎖につなぐこと、動物を実験施設に譲渡すること、健康な「余剰」動物を殺処分することが含まれていた。絶滅危惧種が余剰と見なされるのも考えてみると奇妙なことではあるが。残念なことに、今日でも、このような行為をなくすためには、すべての動物園がその姿勢を問われる必要がある。

 基本的かつ明白な前提は、もともと野生であるはずの動物を飼養する者は人道的な扱いをする責任があるということだ。動物のクオリティー・オブ・ライフー生活の質―はふたつの重要な要素によって決定される。それは物理的環境と心理的・社会的環境だが、常に移動生活をしているサーカスの動物は、物理的あるいは社会的に適切な環境に身を置くことができない。

 トラックや列車での移動、長時間に渡る日常化した拘束―鎖につながれたり、狭い何もないケージに閉じ込められるーそして厳しいトレーニングやしつけはすべて非常なストレスとなる。

 専門知識を持ち、広いスペースその他を提供することができる現代の動物園でさえ、動物のニーズに充分にこたえることは非常に困難であり、巡業サーカスは当然、自然に近い、安定した環境を動物に提供することができない。そこにいる動物は自由に動き回るスペース、適切な生活環境、その他を与えられていない。

 また、サーカスの動物は、曲芸に必要なトレーニングを始めるために、生まれてまもなく母親から引き離されることが多い。入場客にかわいい動物の赤ん坊を見せるために、同じ事をする動物園もある。いずれの場合も、実の親から引き離された子供は大変な痛手を受ける。残念なことに、サーカスは動物を使うことによって、人間の娯楽のために動物を使ってもかまわないというメッセージを一般に伝えている。

 何年も動物について勉強し、また動物の世話をしてきた、そして動物学を教えている人間として、動物はその存在を軽んじるような方法で使用されてはならないと信じている。象が曲芸を強いられる場合、彼らは本来の姿をこっけいに模倣するものにすぎなくなり、このようなことは動物に対する偏った見方、価値観、姿勢を継続させる原因にしかならないし、個人的には、象(あるいは他の動物)を打つような人間は動物虐待で訴えられるべきだと思う。

 動物は曲芸を通して自然な振る舞いを表現していると主張する人々は間違っている。私は何頭もの野生の象を見てきたが、逆立ちをする象など一頭もいなかった。このような素晴らしい生き物を人間が道化役者に変えてしまったのは嘆かわしいことだ。このような方法で動物の個性を示すことが教育になると多くのサーカスが主張するが、これも誤りである。

 デトロイト動物園の使命は「野生生物を尊重し、保全する」ことである。数十年間、私たちもチンパンジーや象のショーを行なうことで「尊重していた」が、幸い、時と共に、理解や価値観も変化した。デトロイト動物園では入場者が体験する娯楽が動物の犠牲の上に成り立っていることを認識し、20年前にショーは廃止した。

 しかし、サーカスの中にもショーに動物を使用しないところがあり、デトロイト動物園はそういうサーカスを支持している。たとえば、シルク・ドゥ・ソレイユは動物を使わず、素晴らしい興行を行なっている。

 デトロイト動物園は最近、世界初の試みを始めた。入場客が動物の目を通して世界を見るという驚くべき体験ができるものだ。人間が動物と同じ体験をする。鎖につながれ、棒でつつかれて曲芸を強要される象になるのはどのような感じするものか体験することができたらどうだろう。

 野生での生活は生存への戦いであるため、このような考え方は感傷的だと思う人もいるだろうが、我々は、数多くの種の中のひとつである種としての責任として、人間だけでなくすべての動物に思いやりを持ち、助けることに熱意を持つべきだ。我々は、ある部分において、他の人間だけでなく、すべての動物をどのように扱うかによって人間という種を定義するのではないかと思う。

デトロイト動物園園長、ロン・ケイガン

Detroit Free Press


 
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