家庭動物等の飼養及び保管に関する基準改正案に関する意見
<該当箇所>
「第1 一般原則
4 特に、家畜化されていない野生動物等については、本来その飼養及び保管のためには当該野生動物等の生態、習性及び生理に即した特別の飼養及び保管のための諸条件を整備し、及び維持する必要があること、譲渡しが難しく飼養の中止が容易ではないこと、人に危害を加えるおそれのある種が含まれていること等から限定的であるべきこと、適正な飼養には十分な経費等が必要であることを認識し、その飼養に先立ち慎重に検討すること。」
<意見内容>
「4 特に、家畜化されていない野生動物等については、本来その飼養及び保管のためには当該野生動物等の生態、習性及び生理に即した特別の飼養及び保管のための諸条件を整備し、及び維持する必要があること、譲渡しが難しく飼養の中止が容易ではないこと、人に危害を加えるおそれのある種<又は原産地において生息数が少なくなっている種が存在すること、逸走した場合は人への危害及び環境保全上の問題等が発生するおそれが大きい事>等から<その飼養については、基本的に家庭動物等として飼養すべきでないことを前提として>限定的であるべきこと<を勘案しつつ>、適正な飼養には<当該野生動物等に関する十分な知識及び相当の経費>等が必要であることを認識し、その飼養に先立ち慎重に検討すること。」
該当箇所を< >内のように修正・加筆してください。
<理由>
該当箇所に記載されている懸念事項もさることながら、改正動物愛護管理法において種の保存法や外来生物法等の関連法違反が動物取扱業登録の取消事由として新たに追加されたこと、種の保存法が改正されたことにより個人に対する罰則も大幅に強化されたこと、展示動物飼養保管基準では既に野生個体の導入に関して種の保存に関する事項が明記さていること等に鑑み、種の保全の観点からの課題も追記されるべきです。
また近年、特定動物又は野生由来の家庭動物等が逸走する事案も散見されています。特定動物や野生由来の家庭動物等が逸走し人に危害を加えた場合、人の生命、身体又は財産への侵害が危惧されると同時に、生態系への多大な影響も認められることから、飼養を限定的とする懸念事項に記載すべきです。
野生動物等の飼養にあたっては、家庭動物等として飼養されていた希少種が動物園等に捨てられる事案が後を絶たない問題や、野生動物等のそれぞれの種に関する知見の乏しさから、飼養が不可能となり第三者や動物取扱業者に引き取りを求める問題、野生由来の個体が保持する人獣共通感染症の問題、野生動物種の病気治療が行える獣医師等が少ない問題、特定動物において対象となる動物の生理・生態を知らない獣医師が不適切な判断を下してマイクロチップの猶予・免除許可書等が発行されている問題、予期し得ぬ事態が発生したときに折衝・提言できる学術研究団体及び動物保護団体等が少ないなど問題、さらに相当な経費とともに野生動物に関して十分な知識を持っていなければ適正な飼養を行うことはできない等、多くの条件不整備があることを踏まえ、「基本的に飼養すべきではない」とする記載も検討してください。
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<該当箇所>
「第3共通原則
1 健康及び安全の保持
(1)家庭動物等の種類、発育状況等に応じて適正に餌及び水を給与すること。」
<意見内容>
「(1)家庭動物等の種類<、数>、発育状況<及び健康状態>等に応じて適正<な質及び量の>餌<を与え、常に新鮮な>水を給与すること。<また、みだりに、給餌又は給水をやめることは虐待となることを十分に認識すること。>」
該当箇所を< >内のように修正・加筆してください。
<理由>
既に展示動物飼養保管基準においては、種類、数、発育状況、健康状態等に応じた給餌や給水が定められていますが、本基準においては該当箇所のように簡素な記述となっています。しかし、動物の生活の質を保障し、健康を保持するためには、家庭動物等においても種類や発育状況に加えて数や健康状態に応じた給餌や給水を定めるべきであることは明白です。本基準においても「等」とまとめてしまうのではなく、意見内容のように細やかな内容を記載がなされることを求めます。
また家庭動物等の健康や安全を確保するためには、法を補完する本基準において何が「適正」なのかを明記すべきであり、少なくとも意見内容のような修正が望まれます。
そして、動物愛護管理法の目的のひとつには動物虐待の防止があること、改正動物愛護管理法では虐待罪が大幅に強化されたこと、虐待の定義に給水に加え給餌を中止することが加わったという状況や、正当な理由がないにも関わらず給餌や給水をやめることは真っ先に家庭動物の健康に影響し、深刻なダメージを及ぼすこと等に鑑み、普及啓発の意味も込めて該当箇所への追記を行うべきです。
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<該当箇所>
「第3 共通原則
6 人と動物の共通感染症に係る知識の習得等
(1) 所有者等は、その所有し、又は占有する家庭動物等と人に共通する感染性の疾病について、動物販売業者が提供する情報その他の情報をもとに、獣医師等十分な知識を有する者の指導を得ることなどにより、正しい知識を持ち、その飼養及び保管に当たっては、感染の可能性に留意し、適度な接触にとどめるなどの予防のために必要な注意を払うことにより、自らの感染のみならず、他の者への感染の防止にも努めること。」
<意見内容>
「(1)所有者等は、その所有し、又は占有する家庭動物等と人に共通する感染性の疾病について、<家庭動物等の入手先である動物販売業者又は地方公共団体若しくは動物愛護団体等>が提供する情報その他の情報をもとに、獣医師等十分な知識を有する者の指導を得ること<、動物の種によっては家畜伝染病予防法(昭和26年5月31日法律第166号)又は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年10月2日法律第114号)等の関連法令を参照すること>などにより、正しい知識を持ち、その飼養及び保管に当たっては、感染の可能性に留意し、適度な接触にとどめるなどの予防のために必要な注意を払うことにより、自らの感染のみならず、他の者への感染の防止にも努めること。」
該当箇所を< >内のように修正・加筆してください。
<理由>
本基準が制定された平成14年とは状況が異なり、家庭動物等の入手先は動物取扱業者だけではなく、地方公共団体(動物愛護管理行政、保健所等)や動物愛護団体等による譲渡しの割合も増えています。人獣共通感染症についての情報は、動物販売業者に説明が義務づけられていますが(動愛法施行令第8条第5項ト)、地方公共団体、動物愛護団体等による譲渡し時においても、人獣共通感染症について情報提供を行っているところもあり、また関係省庁、動物愛護管理行政等も冊子等を発行し積極的に情報発信を行っていることから、それらを有効に活用するためにも、実態に合わせた記載にしてください。
所有者等の知識をさらに深め、感染症を予防するためには、関連法令を参照することも肝要です。特に家畜伝染病予防法の対象動物種を飼養する所有者等は、たとえペットとして飼養している場合であっても、法律上は同じ扱いをされるため、確認しておく必要があります。また動物を飼養する者として、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における感染症の8分類等は知っておくべき事項であり、知識を得るように努めるべきであるので、本基準に追記を求めます。
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<該当箇所>
「第3共通基準
1 健康及び安全の保持
(3)所有者等は、適正な飼養及び保管に必要なときは、家庭動物等の種類、生態、習性及び生理を考慮した飼養及び保管のための施設(以下「飼養施設」という。)を設けること。飼養施設の設置に当たっては、適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持等適切な飼養環境を確保するとともに、適切な衛生状態の維持に配慮すること。」
<意見内容>
「(3)所有者等は、適正な飼養及び保管に必要なときは、家庭動物等の種類<、数>、生態、習性及び生理を考慮した飼養及び保管のための施設(以下「飼養施設」という。)を設けること。飼養施設の設置に当たっては、<十分な広さ、>適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持等適切な飼養環境を確保するとともに、適切な衛生状態の維持に配慮すること。」
該当箇所を< >内のように加筆してください。
<理由>
改正動物愛護管理法の第9条において条例で多頭飼育者に対して飼養や保管に係る届出等の措置を講ずることができること、第25条1項においては公衆衛生上の問題を起こした多頭飼育者に対して勧告又は命令が可能になったこと、第25条3項では多頭飼育によって動物が衰弱する等の虐待を受けるおそれのある事態が生じている場合に、多頭飼育者に対して勧告又は命令することができようになり、多頭飼育の適正化が図られました。こうした現状に鑑み、飼養施設を設けるにあたり、適正な飼養を行い、動物への福祉を担保するためには動物の種類や生態、習性及び生理を検討することにあわせて、数も考慮に入れるよう本基準に明記することを求めます。
また改正動物愛護法第2条に定められた環境の確保を行うためには、飼養施設の設置を行う際に、日照や通風の確保を行うことにあわせて、動物の種類等に応じた十分な広さを確保する必要があり、展示動物飼養保管基準においても同様の規定がなされていることから、本基準においても盛り込むべきです。
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<該当箇所>
「第3 共通基準
7 逸走防止等
(3) 逸走した場合に所有者の発見を容易にするためマイクロチップを装着する等の所有明示をすること。」
<意見内容>
「(3) 逸走した場合に所有者の発見を容易にするためマイクロチップ<に加えて迷子札等>を装着する等の所有明示をすること。」
該当箇所に< >内を追加してください。
<理由> 逸走時対策としてマイクロチップ装着は有効ではありますが、体内に埋め込むというマイクロチップの特性により所有者の明示が一目瞭然ではないという問題があります。逸走動物が保護された先に必ずしもマイクロチップリーダーがあるとは限らないことから、どのような場所であっても所有者の発見を容易に行うためには、マイクロチップに加えて、一目で所有者明示がなされていると分かる迷子札等も装着を行うことを本基準の文言に盛り込むべきです。
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<該当箇所>
「第3 共通基準
8 危害防止
(7)所有者等は、特定動物の飼養又は保管が困難になった場合における措置として譲渡先又は譲渡先を探すための体制を確保すること。」
<意見内容>
「(7)所有者等は、特定動物の飼養又は保管が<やむをえない事情により>困難になった合における措置として譲渡先又は譲渡先を探すための体制を<その飼養に先立ち>確保すること。<また、特定動物以外の人に危害を加えるおそれのある家庭動物についても、終生飼養の確保のために、飼養又は保管が困難になった場合における措置として譲渡又は譲渡先を探すための体制をその飼養に先立ち確保するように努めること。>」
該当箇所を< >内のように修正・加筆してください。
<理由>
特定動物の飼養を行うにおいては、その危険性から、人の生命、身体又は財産への侵害のおそれがあることを踏まえ、飼養又は保管が困難となる場合においては「やむを得ない」事情があるときだけであると限定的に解釈すべきであり、そのことを本基準にも明記すべきです。
しかし、将来的に予期しえない「やむを得ない事情」が発生し、飼養が困難になる可能性も考えられることから、譲渡先又は譲渡先を探すための体制を確保する必要はありますが、問題が発生してから対策をとるのでは譲渡先を探すのに苦慮し、遺棄されてしまう等の特定動物の福祉が損なわれる結果となる可能性があります。こうしたことから、特定動物の飼養に先立って体制の確保を行う必要があり、本基準に記載を求めます。
なお、特定動物以外の人に危害を加えるおそれのある動物についても、人への危険性や動物福祉の保障という観点から特定動物と同様に扱われるべきであり、飼養又は保管が困難になった場合における譲渡や譲渡先を探すための措置を、あらかじめ講じておくように努力義務を課すべきです。
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<該当箇所>
「第4 犬の飼養及び保管に関する基準
2 犬の所有者等は、犬をけい留する場合には、けい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意するとともに、犬の健康の保持に必要な運動量を確保するよう努めること。また、みだりに健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させることは虐待に該当することを十分認識すること。」
<意見内容>
「2 犬の所有者等は、<やむを得ない事情により>犬をけい留する場合には、けい留されている犬の行動範囲が道路又は通路に接しないように留意するとともに、<犬種ごとの生理、生態及び年齢等を考慮し>犬の健康の保持に必要な運動量を確保するよう努めること。また、みだりに健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させることは虐待に該当することを十分認識すること。」
該当箇所に< >内の文言を加筆してください。
<理由>
犬を鎖につなぐことを禁止している国や、犬の「けい留」を屋外で行う際に厳しい制限を課している国がある中で、「けい留」が犬の標準的な飼養管理方法であるかのような書きぶりは普及啓発の観点からも問題があります。鎖又はリード等が短ければ運動の妨げになり、長ければ体に絡まり犬が怪我を負う可能性もあり、現行の表記では犬の飼養保管に適しているとは考えられません。犬の生活環境等の質を保障し、健康や安全を保持するためには、基本的に室内飼育又は動物福祉に配慮された犬舎等における飼育が好ましいことが伝わるよう、「やむを得ない事情により」等の記載がなされるよう求めます。
また、犬の「けい留」を行うにあたっては、犬の安全や身体的・精神的な健康を守るためにも、犬種ごとの生理生態及び年齢等を考慮した配慮を行い、怪我やストレス等が発生しないよう本基準に記載してください。
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<該当箇所>
「第4 犬の飼養及び保管に関する基準
5 (4)特に大きさ及び闘争本能にかんがみ、危害を加えるおそれがおおい犬(以下「危険犬」という)を運動させる場合には、人の多い場所及び時間帯を避けるよう努めること。
6 危険犬の所有者等は、当該犬の行動を制御できなくなった場合に重大な事故を起こさないよう、道路等屋外で運動させる場合には、必要に応じて口輪の装着等の措置を講ずること。」
<意見内容>
1)「5 (4)特に大きさ及び<身体能力又は闘争本能>にかんがみ、<行動の制御ができなくなった場合に人の生命、身体及び財産>危害を加えるおそれがおおい犬」
該当箇所を< >内のように修正・加筆してください。
2)「危険犬」という表現は適切ではないと考えます。「特定犬」(茨城県条例)等、別の表現に変更してください。
<理由>
1) 人の生命、身体に危害を加える深刻な咬傷事故が発生した事件においては、意図的に闘争心を高めるために交配・生育されている特定犬種、護衛目的で飼養されている犬等が、何らかの原因で興奮状態に陥り行動を制御できなくなった場合が多いとされており、闘争本能によるものだけではないことから、実態にあわせた表記を行うためにも、意見内容のような修正を検討してください。また、人が所有している犬等の動物を死傷させるような危害を加える咬傷事故も発生しており、人の生命や身体だけではなく、所有している犬等の動物、つまり財産に対しても侵害がおよぶ可能性があることを注意喚起のためにも明記してください。
また、環境省が調査した「犬による咬傷事故件数/咬傷事故発生時における被害者の状況」によると、人の生命に危害が生じた事故件数よりもそれ以外の咬傷事故が多いことから、犬種も大きさも発生状況も様々であると思われます。そのため、「行動の制御ができなくなった場合に」を追記し、この条項の意図する「危害を加えるおそれがおおい犬」をより明確にし、当該犬の飼養者に対し一層の注意を促す必要があります。
犬による咬傷事故件数(全国計:昭和49年度~平成21年度)
2)犬を交配や訓練等によって口輪の装着等を講じなければならないような気質に生育するのは人であり、犬の性質がもともと危険であるかのように受け取られかねない「危険犬」という表記は、動物愛護管理法の趣旨に照らしても、また人に危害を加える恐れのある危険な動物については法令等で「特定動物」と名付けられている現状を鑑みても、適切でないと考えられます。そのため、茨城県条例で称されている「特定犬」等の他の名称に変更を行うべきです。
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<該当箇所>
「第5猫の飼養及び保管に関する基準
6 飼い主のいない猫を管理する場合には、不妊去勢手術を施して周辺地域の住民の合意の下に給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数削減に配慮した管理を実施するよう努めること。」
<意見内容>
1)「6 飼い主のいない猫を管理する場合には、<将来的に飼い主のいない猫をなくしていくために>不妊去勢手術を施して周辺地域の住民の合意の下に給餌及び給水、排せつ物の適正な処理等を行う地域猫対策など、周辺の生活環境及び引取り数削減に配慮した管理を実施するよう努めること。」
該当箇所に< >内の文言を加筆してください。
2) 地域猫対策の取組みの推進にあたっては、環境省作成「住宅密集地における犬猫の適正飼養のガイドライン」の活用推奨を本基準中に明記してください。
<理由>
1) 近年、地域猫対策に取り組む自治体、動物愛護団体、個人活動者等の尽力により「地域猫」への理解が浸透しつつあります。しかし一般社会における理解度はまだ高いとは言い難く、当該活動に関心が高い層にあっても、「あくまでも将来的に飼い主のいない猫をなくしていくための施策」という認識が共有されていない場合があること等から、「飼い主のいない猫を管理する場合」における前提を明確にしておく必要があります。
2)また、殺処分数の多くを占めるのは飼い主のいない猫が出産する子猫であり、地域猫対策(TNR活動を含む)の推進に注力せずして殺処分をなくしていくことは容易ではなく、実践者にかかる負担も減りません。地域猫対策は体系的理解のもとに効果的に推進していくべきであることから、環境省作成の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」の活用推奨を本基準に明記することも検討してください。
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<該当箇所>
「第4 犬の飼養及び保管に関する基準
7 犬の所有者は、やむを得ず犬を継続して飼養することができなくなった場合には、適正に飼養することのできる者に当該犬を譲渡するように努めること。
8 犬の所有者は、子犬の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないよう努めるとともに、法第22条の5の規定の趣旨を考慮し、適切な時期に譲渡するよう努めること。」
「第5 ねこの飼養及び保管に関する基準
4 猫の所有者は、やむを得ず猫を継続して飼養することができなくなった場合には、適正に飼養することのできる者に当該猫を譲渡するように努めること。
5 猫の所有者は、子猫の譲渡に当たっては、特別の場合を除き、離乳前に譲渡しないよう努めるとともに、法第22条の5の規定の趣旨を考慮し、適切な時期に譲渡するよう努めること。」
<意見内容>
該当箇所の趣旨は、犬猫以外の動物についても犬猫に準じた考慮の必要があることを、「第8 準用」等、適所に記載することを強く求めます。
<理由>
該当箇所は改正動物愛護管理法第22条の5の幼齢の犬又は猫に係る販売等の規制の趣旨を考慮し、新設された条項です。しかし、離乳前に親から引き離して譲渡しないよう努めることや、やむを得ず継続して飼養することができない場合の対応については犬猫に限定して行われるべきものではなく、本来は本基準に定義される動物(離乳については哺乳類のみ)に共通して考慮されるべきものです。この点について誤解を招かぬよう、犬猫以外の動物も犬猫に準じて考慮する必要があることについて「第8 準用」など適切な箇所に記載する必要があります。
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<該当箇所>
「第6 学校、福祉施設等における飼養及び保管
4 管理者は、動物の所有者等としての責務を十分に自覚し、動物の飼養及び保管が、獣医師等十分な知識と飼養経験を有する者の指導の下に行われるよう努め、本基準の各項に基づく適切な動物の飼養及び保管並びに動物による事故の防止に努めること。」
<意見内容>
「4 管理者は、動物の所有者等としての責務を十分に自覚し、動物の飼養及び保管が、獣医師等十分な知識と飼養経験を有する者の指導の下に行われるよう努め、本基準の各項に基づく適切な動物の飼養及び保管並びに<法第二十五条第三項の環境省令で定める虐待のおそれがある事態について周知を行うとともに、>動物による事故の防止に努めること。」
該当箇所に< >内の文言を加筆・修正してください。
<理由>
第22回動物愛護管理のあり方検討小委員会にて、学校飼育動物が議題に上げられた経緯があり、同委員会の専門委員を務めた当会前代表が、配布資料をもとに多様な視点から学校での動物飼育における問題点を指摘しています。また、他の専門委員からは「学校飼育を進める側の問題」の本質を突く的確な指摘がなされており、パブリックコメントの結果では学校飼育を規制すべきとする意見が多数集計されていたこと等に鑑み、今改正で実効性のある基準に改訂するとともに、学校、福祉施設等における同法の周知徹底を図ることを強く求めます。
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<該当箇所>
「第6 学校、福祉施設等における飼養及び保管
5 管理者は、学校、福祉施設等の休日等においても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮すること。」
<意見内容>
「5 管理者は、学校、福祉施設等の休日等においても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮し、<環境の変化及び移動等により、当該動物への負担がかからない方法をとること。>」
該当箇所を< >内のように修正・加筆してください。
<理由>
学校飼育動物を週末ごとに持ち回りで自宅に持ち帰らせる学校が増えていますが、飼育に不慣れな子ども達がケースなどにいれて持ち帰ることは環境変化に弱い動物にとって大きなストレスになります。児童宅における繁殖事故、死亡例もあることから、動物に負担をかけない方法をとるべきであることを明記してください。
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<該当箇所>
「第6 学校、福祉施設等における飼養及び保管
7 管理者は、地震、火災等の非常災害に際しても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう配慮すること。」
<意見内容>
「7 管理者は、地震、火災<、暴風、豪雨>等の非常災害に際しても、動物の飼養及び保管が適切に行われるよう<その飼養に先立ち予め検討>すること。」
該当箇所に< >内の文言を加筆・修正してください。
<理由>
東日本大震災において一部の地域で学校飼育動物が全滅していたとの報告もありますが、未曾有の災害や火災だけでなく、飼育動物が影響を受ける頻度が高い「暴風、豪雨」等についても明記しておくべきであり、悪天候下に飼育動物を放置してはいけないことを管理者に理解させる必要があります。(各都道府県が策定した動物愛護管理推進計画では、44都道府県で学校飼育動物に関する施策についての記載がみられますが、災害時対応を明記している都道府県はありません。)
以上
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