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 HOME > 動物実験 > 特定胚指針改正パブリック・コメントに対する当会の意見〜ヒト−動物キメラ作成にNOの声を!(締切6/28)〜
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特定胚指針改正パブリック・コメントに対する当会の意見
〜 ヒト−動物キメラ作成にNOの声を!(締切6/28)〜




以前からお伝えしてきた、動物性集合胚(ヒトの細胞を混ぜ合わせた動物胚)の規制緩和(動物胎内への移植や個体産生の解禁等)に関するパブリック・コメント(意見公募手続)が始まりました(締切6月28日)。

意見公募内容や意見の出し方などについては以下をご覧ください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/05/1405617.htm

当会の意見を掲載しますので、参考にして、ぜひ皆様の声を文部科学省へ届けてください。

※内容が難しいと思われる箇所は無理をしないで結構です。
※できるだけ自分の言葉で率直に書いてみてください。難しい言葉を使う必要はありません。



<今回のパブリック・コメントのポイント>

・「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律施行規則」の改正案と「特定胚の取扱いに関する指針」の改正案が意見募集の対象です。
・改正内容のポイントは、「特定胚の取扱いに関する指針」において、動物性集合胚(ヒトの細胞を混ぜ合わせた動物胚)の取扱期間(現行では受精胚発生のごく初期、作成から最大14日以内)の制限を取り払うこと、そして、現在禁止されている動物胎内への移植を解禁して、(ヒトの細胞や組織、臓器を持つ)胎児や動物個体の作成を認めることです。
・現在、特定胚(※)は全て、法律又は指針で、人又は動物の胎内に移植することを禁じられており、今回、もし改正案通りに指針が改正されれば、特定胚から個体が生じ得る初のケースになります。
・文部科学省のこれまでの検討結果をとりまとめ、改正に際しての考え方を示した「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」(平成30年3月30日 特定胚等研究専門委員会)が出されています。
・改正指針案の中で「交雑個体」とされるのは、ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律において、「人と動物のいずれであるかが明らかでない個体」を指し、上記の文部科学省とりまとめ資料では、「人と動物との境界が曖昧となる個体」と表現されています。

(※)特定胚:クローン技術その他の特殊な技術を用いて人や動物の胚を操作して作られた特殊な胚で、人又は動物の胎内に移植された場合に、人と動物のいずれであるかが明らかでない個体等を生成する恐れがあり、それにより人の尊厳の保持等に与える影響が大きいと考えられている。「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」で9種類が定義されており、動物性集合胚はそのうちの一種。

本件に関する詳しい解説は以下の記事をご覧ください。

臓器工場、異種移植、異種間キメラ動物・・・生命操作はどこまで許されるか?
〜 動物性集合胚の規制緩和を問う 〜
http://alive-net.net/animal-experiments/animal-human-chimeric-embryo_alive119/index.html

また、最近の文部科学省の審議状況や当会の要望書、質問書などについては、当会HPの動物実験ページ生命操作の項をご覧ください。

当会の意見中に出てくる各種審議会等資料については、文部科学省ライフサイエンスの広場 生命倫理・安全対策に対する取組 特定胚研究のページ の審議会等情報などをご覧ください。



a.  意見対象箇所
現行の「特定胚の取扱いに関する指針」第五条(特定胚の取扱期間)および第七条(特定胚の胎内移植の禁止)

b.  意見内容
以下の理由により、現行の「特定胚の取扱いに関する指針」第五条(特定胚の取扱期間)および第七条(特定胚の胎内移植の禁止)を削除すること(動物性集合胚の取扱い期間の制限の撤廃および胎内移植の禁止の撤廃)に反対します。

※以下、「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」(平成30年3月30日 特定胚等研究専門委員会)を「文部科学省の取りまとめ資料」と呼ぶ。


理由1:動物にも尊厳がある。
 動物性集合胚から胎児や個体を生み出すことは、生命に対する重大な改変です。文部科学省の関連審議会等では、「動物の尊厳」について全く議論に上りませんでしたが、人間に尊厳があるように、動物にも尊厳があります。動物愛護法にもうたわれているように、動物は物ではなく、それぞれの個体が交換不可能な唯一の存在であり、生命の神聖性を持っています。数十億年もかけて多様に進化/分化してきた自然な有り様はそれ自体が尊重され、敬意を払われるべきものであり、地球上の生命種の一種に過ぎない人間が目先の利益や知的好奇心でそれを破壊することは生命への冒涜です。さらに、研究目的の一つとして想定されている人への臓器移植のように、動物を人間の身体の補充部品として扱うことは、動物を物や道具化することであり、動物愛護法の精神にも反しています。


理由2:動物の健康、福祉に重大な懸念がある。
 胚発生段階から作る異種間のキメラ個体については作成事例が少なく、動物の健康・福祉上の知見が十分得られていません。混ぜ合わせる種の組み合わせやドナー細胞の種類・性質によっては、何らかの免疫学的、生理学的異常から、胎児や親動物に大きな苦痛やストレスが発生する懸念が排除できません。遺伝子改変動物やクローン動物と同様、キメラ個体も作成条件によって一個体ずつ動物の健康状態が異なることが予想されますが、如何に注意深く観察しても、動物の苦痛やストレスが外見から判断できる保証はありません。
 また、生命倫理専門調査会の取りまとめ資料「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」(平成25年8月1日)における見解「動物性集合胚の動物胎内への移植の是非の検討においては、動物愛護の観点からの必要な配慮をすることが適当である。」や、特定胚等研究専門委員会作成による「動物性集合胚の取扱いに係る倫理的・法的・社会的観点からの整理」(平成29年1月25日)での以下(※)の記載、また、これを踏まえ、特定胚等研究専門委員会(第98回)配布資料(平成29年4月12日)「今後の検討課題(たたき台)」で「動物福祉の観点から、胎仔及び母体等の経時的観察の必要性について。」が検討課題に挙げられているにも関わらず、改正指針案にも文部科学省の取りまとめ資料にもこれらが全く反映されていません。

(※)「動物福祉の観点では、動物胚に異種の細胞を移入するため、動物性集合胚の胎内移植に当たっては、通常の胚発生・個体発生と比較して、以下のような懸念が考えられる。
・動物性集合胚の発生に伴い、胎仔自体あるいは特定の臓器が物理的に増大して、胎仔及び母胎が苦痛やストレスを生じる可能性は低いものの、否定はできない。
・胎仔あるいは母体に何らかの免疫学的な異常や、生理学的な異常が起きる可能性を否定できない。 
このため、動物性集合胚の胎内移植後、着床までの胚、妊娠期間中の胎仔及び母体の状態を経時的に観察しながら、研究を進める必要がある。」


理由3:動物保護の法整備の欠如
 海外では動物性集合胚に対する規制がないということが規制緩和の理由に挙げられていますが、日本以外の先進諸国では動物実験そのものに対する厳しい規制があり、胎児や新生児を使った実験も規制対象になります。動物実験に対する実質的な規制が全くない日本とは雲泥の差があり、それを無視して安易に動物性集合胚の規制状況だけを比較して結論を出すのは間違っています。


理由4:坂道を転がり落ちる危険性/社会的議論の未成熟
 昨今、遺伝子工学や発生工学を始めとする生命操作技術が急速に進んでおり、それに対する社会の議論が全く追いついていない状況です。これらの技術は一旦道を開けば、連鎖的に他のもっと重大な技術にも道を開く恐れがあり、そのうちに取り返しのつかない事態を招きかねません。我々人類は自然界が長年かけて作り上げてきた生命のシステムや自然の有り様をもっと謙虚に受け止めるべきであり、短期間で手にした生命に重大な改変を加える技術を目先の利益や浅い思慮で行使することに慎重になるべきです。少なくとも一般市民の知識や思考が技術に追いついて社会的な議論が成熟するのを待つべきであり、有識者と呼ばれる一部の人たちだけで決めてよいことではありません。関連審議会等で行われた審議を見ても、時間だけはかけているものの、とても倫理的な議論を尽くしたと呼べるような内容ではありません。


理由5:市民の理解が得られていない。
 一般市民の意識調査では、ほとんどの調査で約半数の市民が人の臓器を持つ動物を作り出すことについて反対しており、賛成意見を上回っています。(なお、文部科学省の取りまとめ資料に挙げられている平成28年の意識調査は、臓器を膵臓、動物をブタに限定して聞いたもので、人の臓器を持つ動物の作成一般についての調査ではありません。さらに同調査では、脳や生殖細胞にヒトの細胞が含まれることについて7割以上の一般市民が、心臓や血液についても、5割以上の一般市民が「受け入れられない」と回答しています。)一般市民の理解は得られていないと見るべきです。


理由6:殺人の危険性
 人の臓器や細胞を持った生物を殺処分することの倫理性について、関連審議会等では全く検討されていません。動物性集合胚から生まれる生物の種類によっては、安易に殺すことが倫理的に問題になり得ることも考えられます。生かすことも殺すこともできないような生命を万一にも作り出す可能性のある行為に道を開くことは厳に慎むべきです。


理由7:「交雑個体又は交雑個体に類する個体」の定義がない。
 改正指針案の第十五条(作成後又は譲受後の動物性集合胚の取扱いの要件)の四で、「動物性集合胚を動物の胎内に移植する場合には、当該動物性集合胚から交雑個体又は交雑個体に類する個体の生成を防止するための必要な措置を講じること。」などとされていますが、特定胚のうちで、人または動物の胎内への移植や個体産生が認められているものは未だなく、仮に今回、動物性集合胚の動物胎内への移植や個体産生が認められれば、特定胚から個体が生じ得る初めての状況となります。それにも関わらず、「交雑個体(※)又は交雑個体に類する個体」の明確な定義がなければ、そのような個体の生成を事前に予見、予防したり、あるいは事後に判別することすら、個々の機関内の倫理審査委員会においても、国の委員会においても行うのは難しいと思われます。なお、文部科学省の取りまとめ資料では、人と動物との境界が曖昧となる個体の例として、「ヒトと動物の特徴が混ざった外見の生物」、「人のような高次脳機能を持つ等の生物」、「ヒト動物交雑胚等に由来する生物」の3つを挙げていますが、必ずしもこれらだけが人の尊厳の保持に重大な影響を与える「交雑個体又は交雑個体に類する個体」であるとする保証や根拠はどこにもありません。

※ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律において、「人と動物のいずれであるかが明らかでない個体」を指す。


理由8:「交雑個体又は交雑個体に類する個体」が産生しないことを事前に予見する方法がない。
 仮に「交雑個体又は交雑個体に類する個体」の定義があったとしても、そのような個体が産生されないことを具体的にどのように確認するのでしょうか?文部科学省の取りまとめ資料では、「このような個体が産生されないようにするため、各研究計画の審査等において、改めて国内外の先行研究等の知見も踏まえ確認し、」などとされていますが、先行研究等の状況を参考にしたとしても、それらは条件の異なる限られた事例であり、そのような個体が産生しないことを保証するものではありません。また、研究は常に新しい分野を開拓していくものですから、必ず先行研究にない未知の生物が生まれる可能性が出てきます。「交雑個体又は交雑個体に類する個体」が産生しないことを事前に確実に予見する方法はありません。


理由9:人と動物との境界が曖昧となる個体が産生する可能性が低いとする科学的根拠が明らかでない。
 文部科学省の取りまとめ資料では、動物性集合胚から生まれた動物が、「脳にヒト細胞由来の脳神経細胞が多く混在したとしても、人のような高次脳機能を持つ可能性は極めて低いと考えられる。」とされていますが、科学的根拠が曖昧です。「脳の大きさ、大脳皮質の容量及び機能はヒトと異なること」などが根拠に挙げられていますが、なぜたったそれだけのことから「可能性は極めて低い」と言えるのか、「脳の大きさ、大脳皮質の容量及び機能」がどの程度、どのように異なれば「可能性は極めて低い」と言えるのかが全く示されていません。同様に、「動物性集合胚が成長して個体が産生した場合、細胞など部分的にヒトの特徴を持つ可能性は否定できないものの、ヒトの手足や顔の一部など体の構造単位でヒトの特徴が混ざった生物が生じる可能性は極めて低い」とされていますが、動物性集合胚作成目的の一つとして想定されている人の臓器を持った動物は「体の構造単位でヒトの特徴が混ざった生物」ではないのでしょうか?
 生命倫理専門調査会の取りまとめ資料「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」(平成25年8月1日)における見解「動物性集合胚は、動物胚の性質を有するものであるが、その動物への胎内移植により、人の尊厳の保持等に影響を与えるおそれが皆無でない。」にも矛盾しており、同資料の「動物性集合胚の動物胎内への移植を認めるためには、発生する個体が人にならない、またはヒト性が大きくならず、人の種としてのアイデンティティを侵害するおそれがないことを科学的に説明する必要がある。」にも関わらず、科学的に説明されていません。さらに、特定胚等研究専門委員会作成による「動物性集合胚の取扱いに係る倫理的・法的・社会的観点からの整理」(平成29年1月25日)によれば、英国の意識調査結果と考察として、「意識調査を受けて脳にヒト由来細胞をもつ動物の認知能力や行動について検討した結果、・・・・・ヒトの細胞を霊長類に移植することで、英国では実験使用が禁止されている大型類人猿の能力を獲得する可能性もある。」とされています。


理由10:意図しない個体発生・産生が起こった場合の対応措置がない
 特定胚のうちで、人または動物の胎内への移植や個体産生が認められているものは未だなく、仮に今回、動物性集合胚の動物胎内への移植や個体産生が認められれば、特定胚から個体が生じ得る初めての状況となります。それにも関わらず、改正指針案、改正施行規則案では、意図しない個体が産生した場合の対応措置について全く規定がありません。また、現行のクローン技術規制法では、「届出に係る特定胚から別の特定胚が生じたとき」の届け出義務がうたわれていますが、意図しない個体が産生した場合の届け出義務や対応措置の規定はありません。特定胚等研究専門委員会(第105回)では、文部科学省から、そのような事態については「想定していない」旨の驚くべき発言がありましたが、あまりにも楽観的過ぎます。万一、意図しない個体発生・産生が起こった場合、当該研究機関はどのように対処すべきなのでしょうか?
 生命倫理専門調査会の取りまとめ資料「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」(平成25年8月1日)では、「意図しない個体発生が起こった場合の対応について検討することが必要である。」とされ、さらに特定胚等研究専門委員会(第98回)配布資料(平成29年4月12日)「今後の検討課題(たたき台)」には、「個体産生まで認める場合、意図しない個体産生があった場合の対応について。」が検討課題に挙げられていますが、この問題が検討された形跡がありません。どうなっているのでしょうか?


理由11:動物胎内への移植、個体産生、脳神経細胞や生殖細胞の作成、霊長類の使用について、過去の審議会等の見解や意見に反している。
 改正指針案、改正施行規則案は、動物胎内への移植、個体産生、脳神経細胞や生殖細胞の作成、霊長類の使用について、以下の審議会等の見解や意見に反しており、また、特定胚等研究専門委員会の議事録を読んでも、これらについて検討された形跡が見られません。

「動物性集合胚に係る研究において、ヒト細胞由来の脳を作成すること及びそれに関する研究には、個体産生に至らない段階でも規制すべき研究がある。」
「動物性集合胚を霊長類の胎内へ移植する研究については、特に慎重な配慮が必要である。」
(「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」(平成25年8月1日 生命倫理専門調査会))

「動物性集合胚の胎内移植を認めたとしても、すぐに個体産生まで認めるのではなく、取扱期間を段階的に拡大していくのが適当ではないか。」
(「動物性集合胚の取扱いに関する作業部会における調査・検討状況について」(平成26年5月29日 動物性集合胚の取扱いに関する作業部会))

「動物性集合胚を通じて動物の体内で脳神経系を作成することは、倫理面、社会面から問題が大きい。」
「脳神経細胞や生殖細胞については、他の方法によることが安全面、倫理面、社会面からは妥当と考えられる。」(※他の方法とは動物性集合胚に拠らない方法を指す。)
(「動物性集合胚の取扱いに係る科学的観点からの調査・検討の結果について」(平成28年1月19日 動物性集合胚の取扱いに関する作業部会))

「諸外国の規制等を踏まえ、いずれの研究目的についても、脳や生殖細胞の作成を対象とする研究や、取り扱う動物胚や移植先の動物の種類を霊長類とする研究については、当面の間禁止することも含めて慎重に検討していく必要がある。」
(「動物性集合胚の取扱いに係る倫理的・法的・社会的観点からの整理」(平成29年1月25日  特定胚等研究専門委員会))


理由12:科学的合理性、社会的妥当性に係る一定の要件が定められていない。
 生命倫理専門調査会の取りまとめ資料「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」(平成25年8月1日)では、「人と動物との境界が曖昧となる個体を産生することによって人の尊厳を損なうおそれのないよう、科学的合理性、社会的妥当性に係る一定の要件を定め、それを満たす場合に限って、動物胎内への移植を認めることが適当である。」とされています。しかし改正指針案にも改正施行規則案にも、動物性集合胚の動物胎内への移植を認めるための「科学的合理性、社会的妥当性に係る一定の要件」が定められていません。


理由13:禁止又は一定の制限を設けるべき動物胚の種類、移植先の動物の種類、ヒトの細胞の種類、動物胎内移植後の期間の範囲について検討されていない。
 生命倫理専門調査会の取りまとめ資料「動物性集合胚を用いた研究の取扱いについて」(平成25年8月1日)では、
「動物性集合胚の動物胎内への移植を認めるための要件の検討に当たっては、次のような点について、慎重に検討することが必要である。
@ 禁止又は一定の制限を設けるべき動物胚の種類、移植先の動物の種類。特に霊長類の扱い
A 禁止又は一定の制限を設けるべき、集合させるヒトの細胞の種類又は作成目的とするヒトの細胞・臓器の種類。特にヒトの脳神経細胞・生殖細胞を作成対象とすることの扱い
B 移植した動物性集合胚を特定のヒト組織・臓器に分化させる技術の精度
C 動物胎内移植後の研究に必要な期間の範囲」
とされていますが、特定胚等研究専門委員会の議事録を読んでも、禁止又は一定の制限を設けるべき動物胚の種類、移植先の動物の種類、ヒトの細胞の種類、動物胎内移植後の期間の範囲について、検討された形跡が見られません。


理由14:ヒトの臓器や細胞を持った動物を作成すること自体の、人の尊厳の保持や社会秩序の維持への影響が検討・考慮されていない。
 ヒトの臓器や細胞を持った動物を作成することは、(人のような高次脳機能を持つ生物の産生やヒト動物交雑個体の産生、ヒトと動物の特徴が混ざった外見の生物の産生などの)具体的懸念以前の問題として、作成すること自体に漠然とした嫌悪感や不安を生じさせるものがあり、実際に数々の市民の意識調査の結果に表れています。これはつまるところ、ヒトの臓器や細胞を持った動物を作成すること自体に(クローン技術規制法が懸念するところの)人の尊厳の保持や社会秩序の維持への影響があるということです。ところが文部科学省においてこの点が検討された形跡は見られず、文部科学省の取りまとめ資料にも一切触れられていません。


理由15:動物性集合胚を霊長類の胎内へ移植する研究について規制や配慮がされていない。
 進化生物学上、ヒトに近い霊長類を動物性集合胚の移植先とする研究については、人の尊厳の保持の問題の他に、霊長類の権利や福祉、霊長類自身の尊厳の問題など様々な倫理的課題があります。ところが、改正指針案、改正施行規則案、文部科学省の取りまとめ資料のいずれにおいても、移植先の動物を霊長類とすることについて、特段の配慮や規制がなく、文部科学省においても、(諸外国との比較を除き)これらの点についてほとんど検討がされていません。


理由16:研究の透明性の確保、科学コミュニケーションなどによる丁寧な説明の実施や国民との議論等による合意形成がなされていない。
 特定胚等研究専門委員会作成の「動物性集合胚の取扱いに係る倫理的・法的・社会的観点からの整理」(平成29年1月25日)では、「研究目的等の見直しについては、研究者による研究の透明性の確保、科学コミュニケーションなどによる丁寧な説明の実施、国による規制の実施・検討などの取組が必要である。」とされています。ところが、今回の見直しに際して、研究者による研究の透明性の確保、科学コミュニケーションなどによる丁寧な説明の実施、国による規制の実施・検討などの取組のいずれも全く行われていません。また、同じ資料で、「研究や技術の可能性の全体像を示した上で、今、何をどこまで進めようとしているのかをわかりやすく説明することが求められる。全体像と現状を共通認識として踏まえた上で、国民との議論を重ねたり、国民の意見を募ったりして、合意形成に努める必要があるのではないか。」との意見も記されています。しかし、今回の見直しに際しては、限られた人数の審議会等委員のみで審議が行われただけで、幅広い国民との議論や合意形成などは全く行われていません。


理由17:まともな審議・議論がされていない。
 生命倫理専門調査会を含む、本件に関する6年以上にわたる審議会等の議事録を見ても、また、何度か傍聴をしても、本件の倫理的な側面についてまともな議論がされた回は一回もなかったと言っても過言ではありません。委員の多数を占める生命科学系の研究者は研究推進の発言ばかりで倫理的な側面の発言をすることはほとんどありませんし、倫理や法学の専門家からも専門を活かした問題提起などはほとんどありませんでした。そもそも「審議」とは名ばかりで、どの回も文部科学省が作成した資料の説明を受けたり、外部の関係者のヒアリングで話を聞いていくつか質問をする程度で、委員たちが自らこの問題、特に倫理的な側面について議論をして結論を出したなどという痕跡はほとんど見受けられません。最初から規制緩和ありきで、基本となる方向性は全て文部科学省が作成し、委員は基本的にそれを追認するだけ、意見はせいぜい細かな文言の修正程度で、大筋の方向性について議論が対立したり、反対意見が出されることなどはほとんどありませんでした。ほとんど発言しない委員や何度も欠席する委員、また、議論の前提をよく理解していない委員もいます。きわめて大事な事項を審議する真剣味や責任感がほとんど感じられませんでした。数少ない良心的な意見も、結局は最後のとりまとめの段階で文部科学省が自身のシナリオに沿うように、無視したり、削除したり、表現を改変したりして勝手に結論を作ってしまっています。これでは審議会制度は名ばかりで、文部科学省のアリバイ作りとして機能しているに過ぎません。民主的に適正な手続きを踏まずに出した結論を認めることはできません。




 
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