犬猫の業者からの引取り殺処分をなくすには
2009.12.15 地球生物会議 ALIVE News
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左記は、 尼崎市の犬の繁殖販売業者が書いた、行政に引取りを求める「犬猫の引き取り申請書」の一部。
この日は、一気に25頭が持ち込まれた。 犬の性別、年齢、体格も記入されていないのは、すぐに殺処分するためか。
犬の登録、注射もしていない違法状態でありながら、これを引き取ること自体に問題がある。
⇒尼崎市の問題
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地球生物会議ALIVEでは、毎年全国の動物行政を所轄する自治体にアンケートを実施、動物行政の現状を報告集として発行しています。
平成19年度のアンケートでは、調査項目の一つに、犬猫の引取りの際に、飼い主の身元を確認しているか、および動物取扱業者からの引取りの確認と指導をしているかをあげていますが、そのデータから判明したことは、多くの行政が業者からの引取りに関して問題意識を有していないことでした。
引取りの際の身元確認
安易な引取りを防止するためには、引取りの現場における指導がもっとも有効です。しかし、繁殖制限を行わず繰り返し持ち込む飼い主が自分の身元を偽って持ち込んだり、所有者不明であるとして持ち込む場合もあります。そのような行為を野放しにしないためには、飼い主の身元確認をする必要があります。
しかし残念ながら、公的な身分証の提示を求めている自治体はわずか11(10%)にすぎませんでした。
引取りの際の業者確認
特にペットの販売・繁殖業者が、繁殖力の衰えた母犬などを「不用」になったとして行政に持ち込む例が多いため、業者であるかどうかを確認することが重要です。しかし、これも確認をしている自治体は41にすぎず、前年度比では減少しています(前年度49)。
業者からの引取りをしている(する)自治体は48(前年度38)です。これは、実際に事例はないが引き取らないという決まりはないという自治体や、業者であるかどうかの確認をしていないので引取っていないとは言えないという自治体が含まれます。他に原則として引き取らないが、どうしてもやむを得ない場合には引き取るとしているところが5ありました。
引取りの際の身分証明書提示を
ここで問題となるのは、業者であっても引取依頼書の記入は個人名で行うことになっていることや、住所氏名等を偽って持ち込むことが容易にできるという現状です。悪質な持ち込みを防止するためにも、引取りの際には住民票や運転免許証など身元を確認できるものの提示を求めていく必要があります。
動物取扱業者の持ち込みの場合は、純血種で数頭まとめていっしょに持ち込むことが多いので、そのような場合には動物業者の疑いが濃厚です。
せっかく個人の飼い主のモラルが向上して引取り数が減少しつつある中で、動物業者による持ち込みが減少しなければ、殺処分数の大幅減少は達成できません。
動物取扱業の遵守基準においては、自らの責任で譲渡をする等の措置を求めています。
業者のモラルを問う意味でも、身元及び業者かどうかの確認を行い、業者からの持ち込みの規制を行う必要があります。
行政の姿勢を明確に
業者からの引き取りは、ある意味、業者の「不良在庫処分」を行政が税金を使って行っていることにほかなりません。持込みの業者に対して、もうけをあてこんでの過剰な繁殖をしないこと、繁殖犬であっても終生飼養の義務があること、劣悪な多頭飼育をしないこと、さらに狂犬病予防法を含め関係法令を遵守するべきこと等を、行政は業者に対して厳しく指導監視する必要があります。
また、法令の動物取扱業者の遵守すべき事項に従わない場合は、勧告、命令、刑事告発を行い、営業の取消しを行うといった基本姿勢を明確にするべきです。
⇒尼崎市による業者からの犬の引取りと殺処分に対して
動物取扱業に対する監視強化及び動物行政の改善を求める要望書 (2009.12.14)
⇒犬繁殖業者が無許可飼育、老犬は市が殺処分
NNNニュース 2009年12月10日
⇒犬200匹を違法飼育、「売れ残り」は尼崎市が処分
朝日新聞 2009年12月10日
⇒犬ビジネスの「闇」−流通システムが犬を殺す
AERA 2008年11月30日
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