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アニマル・シェルターのススメ(その1)

アメリカからのレポート

アニマル・シェルターのススメ(その1)

〜人とペットとのより良い関係のために〜  


角 恵美



あなたはどう思いますか

 動物が飼いたくなったり、飼っている動物が迷子になったりしたとき、あなたはど うしますか。

 何らかの理由で動物が飼えなくなったり、迷子や捨てられた動物を見つ けたりしたらどうしますか。

 自分にぴったりの動物を紹介してくれて、動物に関する 様々な情報を提供してくれる施設が身近にあったら良いとは思いませんか。

 迷ったり、 捨てられたり、飼えなくなったりした動物も保護してくれるところがあったら心強い と思いませんか。

 そのような施設の働きによって人と動物の絆が強められ、動物に対 する人間の残酷な行為や望ましくない対応が減少するとしたら、それは人と動物が共 存するところであればどこにでもあるべき存在だとは思いませんか。

 アニマル・シェルターは、このようなとき人と動物にとって心強い存在で、アメリカでは人々から親しまれるお馴染みの存在です。

 アニマル・シェルターの「アニマル」は、犬、猫、ウサギなど家庭でペットとして飼われている動物のことです。

 「シェルター」は、避難所または貧困者や家庭内暴力の被害者などのための一時的な宿泊施設のことで、保護や慈善的な意味合いを帯びた言葉です。

 アニマル・シェルターとは、迷子や飼育放棄などで行 き場のない動物や不適切な飼育環境にある動物の保護と人道的な処置を行うところで、言わば動物保護施設です。

 人と動物に関わる様々な問題や相談にも対応し、動物がシェルターに収容されざるを得なくなる原因の発生防止もアニマル・シェルターの重要な役目です。

様々な収容動物とその理由

 アメリカでは何百万という世帯でペットが飼われ、ペット関連市場は年間数十億ドルにも達します。しかし、捨てられる犬猫は跡を絶たず、米国人道協会(HSUS)の推定では、把握されているだけでも毎年6〜800万もの犬猫がシェルターに持ち込まれ、その半数が殺処分されていますが、実際の数はその倍とも言われます。アニマル・シェルターに保護される動物の大半は犬猫ですが、ウサギやモルモットなど小
動物も少なくなく、馬、インコ、オウム、イグアナ、フェレットなども収容されます。

 シェルターに持ち込まれる理由は、迷子、遺棄、飼い主からの引き取り依頼のほか、飼い主が病気や災害で死亡したり、飼い主から暴行や飼育怠慢などの虐待を受けたりしたためです。妊娠中のメスが保護されることも多く、シェルター内で生まれた子犬や子猫もいます。ペットショップやパピー・ミル(子犬繁殖場)と呼ばれる劣悪なブリーダーで「不要」となったものや、闘犬やドッグレースなどギャンブル産業を「引退した」ものなども送られてきます。

 飼い主持ち込みの理由は、引越し、他にもたくさん飼っている、相性が悪い、飼育費、住宅事情、子犬/子猫の処置に困った、などが一般的なものです。

 猫については、アレルギー、家を汚す、同居の犬/猫と仲が悪い、犬については、世話をする時間がない、しつけできない、問題行動、などもよくあります。子犬/子猫が好き、大きくなり過ぎた、(ペットが)年老いた、病気になった、怪我をした、子どもが生まれて世話ができない、子どもになつかない、結婚・離婚する、子どもが(プレゼントに)欲しくて飼ったペットだけど、(約束した)世話をしない、なども耳にします。

 実際にはこれらは全て、無責任な飼い主によって動物が行き場を失う羽目になったからなのです。

アニマルシェルターの今昔

 アニマルシェルターの原形はドッグ・パウンドという劣悪な環境のものです。そこは狂犬病が蔓延していた時代に、アニマル・コントロールが公衆衛生対策の一環として放し飼いの犬などを収容したところです。辺鄙な場所にある水道も電気もない古小屋というのが一般的で、収容された犬は餓死、ガス殺、溺殺、撲殺など残酷な方法で殺処分されるのみでした。

 狂犬病予防接種が義務付けられ、狂犬病の発生が終息した後は、迷子や遺棄で捕獲された犬や「不要」となったペットが収容動物の主流となりました。

 この頃からパウンドは、身元の分からない犬猫を数日間保管するようになり、アニマル・シェルターと呼ばれるようになります。しかし、返還のない犬猫や見捨てられたペットは、実験用として研究機関に売られるか、希望者に無料で引き渡されるか、非人道的に殺処分されるかと言うずさんなものでした。行政施設は資金不足で、人道的な保護や処分は軽視されていました。

 1960年から1970年にかけて動物福祉運動が活発化すると、アニマル・シェルターは公衆衛生のみならず動物の福祉に重点を置くように圧力をかけられます。施設の改善と収容動物への人道的な措置が求められ、シェルターでは動物保護を強調するようになりました。シェルターの運営を地元の民間動物保護団体に委託する地方行政も次々とでてきました。しかし、どこのシェルターでも引き取り手のないペットの数が増え続け、大量の犬猫が安楽死されていました。

 その後、数多くの民間シェルターが組織されるようになり、ようやく予防的対策にも重点が置かれるようになり、安楽死の数は大幅に減少しました。従来のドッグ・パウンドは姿を消していき、現在のアニマル・シェルターやアニマル・ケア・アンド・コントロールに発展していきました。アニマルシェルターは今、適切な終生飼養のできる飼い主を育てて無責任な飼い方をする人をなくし、人と動物とのよい関係が持続
するように、地域社会における人と動物の拠り所となって活動を続けています。

犬の運動場:屋外にアクセスできる施設

猫の部屋:家庭の雰囲気を作る

アニマル・シェルターの種類

 アメリカ全土に存在するアニマル・シェルターの数は4〜6000カ所と言われ(HSUS)、それぞれが地域の法律に沿った独自の方針で運営と管理を行っています。全てのシェルターに一律の規定を設けるのは現実的でなく、それらを監視・監督する中心的な組織はありませんが、HSUSやASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)などの動物福祉団体がシェルターの運営や管理に関するガイドライン、研修会、相談窓口などを設けてサポートを行っています。

<行政シェルター>

 シェルターには行政が運営するものと民間の非営利団体が運営するものがあり、各地で協調し協力し合っているのが一般的です。郡や市の財源(一部、寄付あり)で運営される行政シェルターは、アニマル・コントロール・シェルターといってアニマル・ケア・アンド・コントロール(ACC)付属の施設で、時には
パウンドとも呼ばれます。

  ACCは、動物に関する条例や取締りの執行に当たる部局で、いわゆる「動物警察」です。郡または市に最低でも1カ所は設けられ、アニマル・コントロール・オフィサー(ACO)が迷子や遺棄された動物の捕獲や野生動物の保護のほか、動物虐待、ペット窃盗、闘犬など犯罪行為の調査や緊急災害時における動物の救助を行います。
  行政シェルターは、地域社会からの動物をほぼ無制限に受け入れる義務があり、オープン・ドア制度(全入制)を実施しているのが一般的です。

  迷子と見なされる飼い主不明の犬猫には行政シェルターにおいて法定期間の収容が義務付けられているため、犬猫を拾得した一般市民は原則としてACCへ届け出なければなりません。

 行政シェルターでは、返還あるいは譲渡先のない動物は殺処分の対象となります。行政シェルターから研究機関や教育機関に実験用として犬猫を払い下げること(pound seizure)については、州法により3州で義務付け、10州で許可されているほかは、13州で禁止され、条例のない残りの州でも郡や市によって禁止されているところが大半です。

<民間シェルター>   

 民間シェルターは規模も活動内容も様々です。各地に見られるヒューメイン・ソサエティやSPCAと称する施設は、それぞれが独立して管理や運営を行う民間組織です。民間シェルターの財源は、行政からアニマル・コントロールの委託を受けて迷子動物管理業務や動物虐待取締りを行うところを除き、寄付とボランティアによるもので、スタッフは全てボランティアというところもあります。

 民間シェルターは、オープン・ドア制度のところもありますが、多くはリミテッド・アドミッション制度(受け入れ制限制)を採っています。
 受け入れ制限シェルターは、ノー・キル(no-kill)とロー・キル(low-kill)に大きく分けられます。ノー・キルとは殺処分を行わないという意味で、ロー・キルとは死が動物にとって最善の措置であると判断した場合に限り安楽死を施すという意味です。そのような場合とは、重度の病気や障害、あるいは危険な性格や問題行動のために譲渡困難とされるときで、ノー・キル・シェルターでも重度の疾患が見られた場合は安楽死を施します。

 ノー・キルやロー・キルという施設運営が実現する理由は、「心身共に健康で譲渡可能なペットのみ」「スペースと財源に見合うだけ」「他の施設からの転送のみ」「飼い犬/猫のみ」など、受け入れを制限することで、収容状況の調整を行うことができるからです。

 ノー・キル団体の中には、アニマル・レスキュー・グループやアニマル・サンクチュアリーと呼ばれるものがあります。レスキュー団体の多くは、特定犬種の救済を目的に組織されたり、収容施設を持たずに新しい飼い主が見つかるまで家庭で親代わりをする(フォスター・ケア)ボランティアによって構成されたりしています。ペット用品店の一角を間借りしたり、ペット関連のイベントに参加したりして譲渡活動を行う団体もあります。

 アニマル・サンクチュアリーとは、病気、障害、虐待などで特別なケアが必要な動物や、フェラル・キャット(飼い猫が野生化したもの)など譲渡困難または不適な動物を終生飼養する施設のことで、必ずしも譲渡目的ではありません。広大な敷地に設けられていることが多く、牛、馬、やぎ、羊、ロバ、豚、アヒル、鶏などを収容するところもあります。


<その2>
⇒アメリカのアニマル・シェルターの活動内容へ



 
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