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全ての生物が平和に生存できる世の中の実現に向けて

動物への思いやりと共感をはぐくむ
ヒューメイン・エデュケーション(Humane Education)について(その2)


角 恵美 (アメリカ在住 教育学/建築学)

「もし人が正しい道を望むなら、最初に自らに禁じなければならないことは動物たちを傷つけることである。」 トルストイ

「全ての生きものに対して慈しみの輪を広げるまでは、人は心の平和を得ることはできないだろう。」 シュバイツァー

■教育の内容

 小学生向け学級新聞(HSUS)

 一般的な学習内容の例としては、次のようなものが挙げられます。

【思いやりの輪】
 思いやりの輪とは何でしょう?
 この地球を共有する生き物の価値について考えや信念を話し合います。より良い世界を実現するためにはどのような行動をとればよいのかを考究しながら、同種もしくは類似する種に対する不平等な取り扱いをめぐる倫理的課題に迫ります。

【地球に優しいライフスタイル】
 「フレンドリー」の日とはどのような日のことでしょう?
 地球に優しい暮らしをする人と出会い、私たちの日常の単純な選択が人間や他の生き物、それに地球環境にどのような影響を与えているのか、その事実を追究します。

【我々の食事と世界】
 朝食、昼食、夕食、それがどうしたって言うの?
 どのように毎回の食事が森林、河川、他の生き物、それに世界の人々に影響を及ぼすのかを学びます。私たちの食の選択が自分のからだと環境に与える大きな影響を、医学と環境学の視点から明らかにします。

【鏡よ、鏡】
 世界で一番美しいのは、人類?
 どのようにしてトマス・アクィナスやプルタルコスのような哲学者は人類とその他の種との関係についての真理をまとめたのでしょう? 現代の哲学者や思想家がこれらの真理にどのように挑戦しているのかを学び、私たち一人一人が自分の哲学を見出し、それを自らの生活に取り入れる方法を探します。

【地球共有】
 子供たちを豊かにする前代未聞のお話の時間です。
 小学校5年生以下の子供たちが、非暴力、思いやりの心、尊敬の念、それに生命との深い絆を称えるお話と出会う機会です。その後ディスカッションの時間を設け、今聞いたお話の中のテーマを追究し、生活のしかたについて新しい考えを奨励します。

【一生の友だち】
 人間以外の仲間たちの行動とニーズを理解することにより、彼らにより良い生活をさせてあげることができます。私たちに頼って生きている大切な存在の「飼い主」ではなく「保護者」となるためにはどうしたらよいのかを追究しながら、ペット産業、パピー・ミル(子犬生産工場)、ペット数過剰の問題などについて学びます。

【我が家と呼べる場所】
 宣伝広告には「畜産動物」の真相は描かれず、それとは全く異なる実態があるというのが事実です。国内最古で最大の畜産動物の保護施設ファーム・サンクチュアリーで暮らす動物たちと出会い、彼らの身の上話を聞き、今日の飼育の事実を追究し、どうすれば事態を改善できるのかを学びます。

【野生動物とともに去りぬ】
 野生の世界を冒険し、様々な野生の生き物が生き残りをかけてどのような苦難に挑んでいるのかを考えます。地域社会やこの世に存在する命あるものたちが、我々人間の行動によってどのように傷つけられているのかを学びます。全ての生き物にとって安全で優しい世界を築くために、自分たちの生活において何ができるのかを学習します。

【実験室に送られて】
 動物実験における倫理的・社会的問題と公衆衛生上の課題を探ります。動物を使わない効果的な研究方法について学びます。

【それってエンターティメント?】
 動物園や水族館、それにサーカスでは、ゾウ、ライオン、クジラ、イルカなどが観客を盛り上げます。それら動物の感情、特性、生態系に対する認識は、エンターティメント業界の倫理的価値観における激しい討論の的です。エンターテインメント業界の動物について学び、舞台裏に迫り、動物たちが苦しまずにすむ代案や方法を追究します。

【奴隷から自由へ】
 法が定める所有物とは、車や家など物質だけではありません。女性も以前は夫の不動産の一部でした。アフリカ人奴隷はアメリカ全土で自由売買されていました。人間に対する財産法の適用は廃止されましたが、動物の法的地位は改善されていません。所有物という概念を分析し、過去の女性の抑圧や黒人奴隷制度と今なお引き続く動物からの搾取との類似性を明らかにします。
Healing Earth http://www.healingeartheducation.org/programs.htmより

■教育の効果

 以下は、小学生対象のヒューメイン・エデュケーションのプログラムにおいて、実施前と後とで子供たちの意識に見られる変化を調査するために行われたアンケート結果の一部です。子供の意識には明らかに肯定的な変化が見られ、ヒューメイン・エデュケーションの有効性が示唆されます。

▼問い「犬をいつも鎖につないでいるのはよいことか」 実施前 21%賛成、実施後 5%賛成
▼問い「野生動物をペットとして飼ってもよいか」     実施前 34%反対、実施後 90%反対
▼問い「犬や猫が家族とともに家の中に入って来られることは大切なことか」
                                   実施前 58%賛成、実施後 72%賛成
▼問い「犬や猫に虚勢・避妊処置をするべきか」     実施前 14%賛成、実施後 80%賛成

the Progressive Animal Welfare Society(PAWS)
http://www.paws.org/outreach/humane_ed/ より

■人材育成の重要性

 教育は即効性のないものと思われがちで、一見無駄な活動のようにも見えますが、教えなければわからないのが人間で、わからなければ変えられないのが世の中です。病気になれば薬を飲んで治療をするように、現実の問題への直接的対応はもちろん大切です。しかし、忘れてはならないのは、再発防止や新たな病にかからないように知恵と体力を蓄えたり予防接種を受けたりするように、知的基盤の整備や問題の原因を断つ行為といった予防的対策をしなければ、よくて悪循環という浪費をし続け、悪ければ地球には未来は訪れないような結果となるかもしれません。

 人材育成は短期間では不可能な活動です。特に成人への教育では、問題意識は高まったが自分を改善するとなると長い時間と困難を要することがよくあります。他の教育と同様、ヒューメイン・エデュケーションも早い時期から行われることが大切です。また、子供はおとなの態度や行動を見ながら成長します。

 家庭動物の扱いから隣人とのやり取りの仕方までおとなのあらゆる行為が子供に影響します。子供たちに道徳的態度を教えるためには、まず周囲のおとな自身が望ましい行動をとり、子供のよい模範となって示すことが重要です。また、子供の偏差値や成績ばかりが気になる親も少なくありません。周囲のおとなにヒューメイン・エデュケーションへの深い理解をもってもらうためにも、親と子が共に学べるようなプログラムの開発が期待されます。

 全世界に蔓延する無数の問題は、私たちが考えるより遥かに深刻で、その影響は私たちを含む地球上のあらゆる生き物とその生息地の隅々にまで及んでいます。 それらの問題を作り出した原因は、他ならぬ私たち人間の利己主義的な生き方にあります。

 ヒューメイン・エデュケーションは、生命や環境の尊厳を尊重し、思いやりと責任感のある新しい生き方に私たちを目覚めさせてくれます。国や民族の枠を超えて私たち人間一人一人に共通して行われるべき革新的な教育といえるでしょう。

 

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