ALIVE資料集 No.２５
動物保護政策シリーズ No,４
ＥＵ動物福祉５カ年行動計画
2006-2010年動物の保護及び福祉に関する
欧州共同体行動計画 |
（抜粋）
＜目標＞
・動物の保護及び福祉に関する今後の共同体政策の方向性をより明瞭に規定する。
・高い動物福祉基準をEU及び国際レベルで推進する。
・将来のニーズを特定しつつ、既存資源の一層の調整をはかる。
・動物試験の代替的アプローチである３Ｒ原則（置換え、数の削減、洗練（苦痛の軽減））を支持し続ける。
・委員会の各政策分野にまたがる、動物の保護及び福祉のより一貫して調整のとれた取組みを保証しつつ、新たな措置を講じる場合は社会経済的影響等の側面にも配慮する
＜５つの主要な分野の行動＞
1. 新たな科学的証拠と社会経済的評価に沿って、既存の動物の保護及び福祉のための最低基準を引上げるとともに、EUの現法規がふれていない種や問題についても可能な限り具体的な最低基準を作成。効率的な執行を確保し、国際貿易ルールに配慮したEUルールの策定をとくに優先する。
2. 動物の保護及び福祉と3R原則の適用に関する政策志向型の研究推進に高い優先度を与える：動物試験代替法の開発、実施及び監視を強化すると同時に、これらの政策の形成と実施においてEC条約議定書の義務を尊重し動物福祉に十分な配慮をするためである。
3. 標準化した動物福祉指標の導入：動物福祉が改善された生産・飼養方式の開発を支援し、EU及び国際レベルでそれらの適用を促すため、適用する動物福祉基準を階層化する（最低基準から高基準まで）。
4. 動物飼養者／取扱者と一般市民が動物の保護及び福祉の現行基準に一層の関心と情報をもつようにし、彼らが動物の保護及び福祉の推進に果たす役割を十分に評価する。農用動物を例にとると、小売業者、生産者との共同作業により消費者の信用及び現在の農業基準への意識向上を促し、より情報を得た購買決定を助けること、動物福祉分野での共同の取組みを展開して情報交換と優良事例の応用を促すこと等があげられる。
5. 動物福祉についての意識向上と合意拡大のため、国際的な取組みを支援するとともに、一層の発議を行う。福祉的な生産方式に基づいた貿易機会を探るために途上国とも協働する。共同体はまた、伴侶動物、農用動物、野生動物等の国境をこえた動物福祉問題も積極的に取り上げ、よりタイムリーで効率的かつ一貫性のある対処機構を整えるべきである。
＜動物の保護及び福祉分野における行動計画1 ＞
| 具体的行動 |
予定時期 |
| 農業目的で飼養される動物の保護に関する指令98/58/ECの施行に関する報告書を、理事会及び欧州議会に提出 |
|
| 農場検査に関する決定2000/50/ECの修正案準備 |
|
| 動物試験の代替法促進のための委員会・業界間の「欧州パートナーシップ」推進 |
|
| 採卵鶏の各種飼養方式に関する報告書を、理事会及び欧州議会に提出 |
|
| 農用その他の動物の保護及び福祉に対する消費者の態度についての追跡調査 |
|
| 猫・犬の毛皮及び派生品貿易に関する市民の懸念への対処を求める提案 |
|
| 動物福祉に関する欧州会議を理事会議長国オーストリアと共催 |
|
| 既存の協議機構（GIR 2）の活用を高め、動物福祉研究に関連した政策を優先的に実施 |
|
| 化粧品部門の動物試験代替法の開発、及び規制の受容に関する報告書を、理事会及び欧州議会に提出 |
|
| 動物福祉、農産物貿易、農産物のラベリング義務についてのECからWTOへの提案を裏付け推進する作業 |
|
| 有効な科学的助言及び国際的に合意された指針（欧州評議会勧告等）に基づき、七面鳥、乳牛等、他の農用動物種の福祉における一層のハーモナイゼーションの必要性を検討 |
|
| 「動物の保護及び福祉のための欧州センター－研究所」及び「代替試験法」の創設に向けた準備作業 |
|
| 特定的な「動物の保護及び福祉に関する情報プラットフォーム」設置に向けた計画 |
|
| 欧州理事会協定ETS123（実験その他の科学目的で使用される脊椎動物の保護）のもとで定められている飼育舎及びケアの指針の改定案の採択、及び、実験その他の科学目的で使用される動物の保護に関する指令86/609を改定する委員会提案に対する共同体の見解の調整 |
|
| 防疫目的の殺処分を含む、屠殺及び殺処分時の動物の保護に関する共同体法規の改定案の準備 |
|
| 動物の保護及び福祉に関する問題を社会、とりわけ子供向けに十分情報提供するためのオンライン教育ツールの開発等、動物の保護及び福祉に関する具体的なコミュニケーション戦略を、共同体が既にアグリフード部門で開発した他のコミュニケーション形式と統合 |
|
| 相互に合意された動物福祉基準の実施について共通理解の構築に向け、国際貿易パートナーと共同作業を行うための特別な通信手段の創設 |
|
| 動物福祉ルールの執行に責任を負う加盟国の関係当局の職員向け教育コースを開催し、第三国、とりわけ途上国からの参加を受け入れる。たとえば加盟候補国からの参加に対しては特別な配慮を行う |
|
| 農業目的で飼養される子牛の保護に関する報告書を、理事会及び欧州議会に提出 |
|
| 動物福祉基準を遵守した鶏肉及び加工製品のラベリング義務化の可能性についての報告書を、理事会及び欧州議会に提出 |
|
| 農業目的で飼養される豚の保護についての報告書を、理事会及び欧州議会に提出 |
|
| 2014年までにEUで実施することを目指した人道的ワナ猟識別基準 |
|
| ブロイラー種鶏及びブロイラーの福祉に遺伝的パラメータが及ぼす影響についての報告書を、理事会及び欧州議会に提出 |
|
| 共同体の動物福祉法規に関する情報を収集・蓄積するデータベースの設置、及びこれらの情報の関係当局、生産者、消費者への提供 |
|
| 共同体の動物福祉法規における測定可能な指標の一層の適用についての報告書（福祉品質研究プロジェクトの2009年の成果に基づく）を、理事会及び議会に提出 |
|
| 適用される法令より高水準の福祉基準による農業方式を認証する法制度の創設 |
|
| 高動物福祉基準の生産方式による製品の欧州品質基準の設定及びそれらの技術開発と欧州内外での販売に向け、欧州レベルで高福祉基準の適用を推進する具体的な技術・金融システムの創設の可能性 |
|
1 ＊は共同体法規のもとで既に進行中、告知済み、もしくは具体的な見通しが立っている行動。
2 Group Interservice do Recherche
ＡＬＩＶＥ資料集 No.25 「ＥＵ動物福祉５カ年計画」
|
ALIVEの紹介 