ＥＵ動物福祉５カ年行動計画 2006-2010年 動物の保護及び福祉に関する 欧州共同体行動計画 2006年10月1日発行　46ページ　800円

この資料集の制作にあたって

　日本では、動物の保護と福祉に関する関心が注がれる動物は、主として犬や猫などのペット動物です。そのために動物の保護に関する法律も、理念はすべての飼育動物を対象としているものの、実態はペット動物が主たる対象として制定されています。

　一方、ヨーロッパの法制度では、畜産動物を対象とする法律が最も数も多く内容も充実しています。ヨーロッパ諸国では、家畜の飼育を近代的な工場的産業として促進してきた結果、ＢＳＥや鳥インフルエンザなど、数々の恐ろしい人と動物の感染症を引き起こしてしまいました。そのことに対する深刻な反省から、家畜の健康を維持するためには動物の福祉が必要不可欠だということに気がついたのです。動物の福祉とは、それぞれの動物が種としてもつ固有の生理、習性、生態についての科学的根拠にもとづく飼育方法を知る事でもあります。

　動物福祉は科学的根拠をもつものとして、ＥＵでは、この動物福祉５カ年行動計画の実行にあたり多額の資金を動物福祉研究に投入するとしています。

　国際的には、動物福祉を使命とするのは獣医師であると認識されていますが、日本では残念ながら獣医大学の教育科目の中で動物福祉や生命倫理を必須としている大学も、動物福祉研究を行っている研究室もほとんどありません。この分野でも日本が大きな遅れをとらないように、関係機関の前向きな取り組みを願いたいものです。

　本資料集を読むことによって、国際レベルでの動物福祉政策が何を目的とし、そのためにどのような行動をしているかがよりよく理解されるものと思います。

⇒　「EU動物福祉５カ年計画」の抜粋は、こちらへ

◆ALIVE資料集：海外の動物保護法シリーズ

No.2　英国・動物保護法（個別法）　800円　　ALIVE資料集　No.8

No.3　米国・動物福祉法　　　　　　1300円　　ALIVE資料集　No.9

No.4　ＥＵ/英国・動物園法　　　 　1000円　　ALIVE資料集　No.14

No.5　ＥＵ畜産動物福祉法　　　 　1200円　　ALIVE資料集　No.19

No.6　ＥＵ実験動物福祉法　　　 　600円　　ALIVE資料集　No.21

No.7　英国・新動物福祉法　　 　　800円　　ALIVE資料集　No.26