公園内松に着く松くい虫の駆除対策とのことでですが、住民への通知もないため、公園内を散歩したりジョギングする人々が農薬を吸い、さらに逃げようのない動物に農薬が直接降りかかるという状態でした。3年前の当会からの申し入れをきっかけに、公園の入り口に看板が出され、動物舎の天井にはビニールシ
ートがかけられるようになりましたが、依然として農薬散布自体は行われています。
また、「鹿のオリ」と「水鳥の池」の側には、農薬スプリンクラーが付いた松があり、ここには覆いもないため、動物は農薬の直撃を受けてしまいます。逃げられない場所で有無を言わせぬやり方は、暴力です。
■何が望まれるか
早朝に撒かれた農薬は気温の上昇とともに蒸発し、昼前後から再び大気中の濃度が高くなります。鼻の位置の低い動物はヒト以上に濃い気体を吸い込むことになります。また、体重の少ない小動物は少量の農薬でも、症状が現れる危険があります。公園に散歩にくる飼い犬も同様です。
また、体の小さい幼児や子供、体力の弱った人、お年寄りも抵抗力が弱いため、より強い影響を受けるかもしれません。
城趾公園の動物園には日常的に動物のケアを行う獣医師がおらず、また公園の管理者の方々も農薬の毒性や生物に与える影響について充分な知識があるわけではありません。
このような状況下の農薬散布は、人間と動物の健康と生命を脅かすものであり、公共施設のあり方として甚だ無責任ではないでしょうか。
■農薬の蒸発による危険性
逃げることのできない動物たちには、散布後も、飼育舎や体表面に付着した農薬の影響を受けるでしょう。特に、床や体毛をなめたり、毛づくろいをするなどの習性を持つ動物が、懸念されます。サル舎は屋根がなく、非常に狭い上に、寝室さえありません。クマ舎の水槽には農薬が混入します。餌はすべて床面に置かれるために、農薬が付着して体内に摂取される可能性があります。他に城内のカモとコイが泳ぐ池でも汚染の恐れがあります。
■散布後の危険性
市民や観光客に長年の間親しまれてきた城趾公園の動物園にはゾウ、ライオン、クマ、サル、アライグマ、シカ、鳥類などがいます。県の手引きは、散布中に「畜舎や養殖池等に薬剤が混入しないための措置として、覆い等をすること、また屋外への家畜の係留や放飼をしないこと」としています。しかし、市はこれまで、動物園の動物に農薬がかからないよう何ら対策を講じてきませんでした。
■動物園の動物への配慮のなさ
林野庁では、マツノマダラカミキリが羽化して成虫になる時期にあわせて散布しなければ効果がないとしています。これに基づき、県ではカミキリムシの発生の予測に関する情報を出しています。しかし、第1回の農薬散布日である5月16日には、県はまだこの情報を出していませんでした。根拠無く、効果のない農薬を散布していることは、公費の無駄使いです。
■効果のない農薬散布
城趾公園には市内外から不特定多数の人々が訪れます。このような場所ではみだりに農薬の散布を行うべきではありませんが、これまで公園に農薬散布の日時を記した張り紙さえ貼られたことはありません。しかも、市は第1回の散布を観光客の多い土曜日に行っています。スミチオンの急性中毒の症状は、めまい、吐き気、だるさ、頭痛、下痢などです。もし知らずに訪れた訪問者の体の具合が悪くなっても、原因がわからなければ手当もできないことになるのです。
■観光客への配慮もない農薬散布
県農政部林務課の「松くい虫防除安全対策の手引き」は、農薬散布の前に、「散布区域周辺の住民に散布の内容や日時をあらかじめ周知して協力を得ておくとともに、周知対象地域外から知らずに立ち入ろうとする者に対して標識等を用いて薬剤のかからない地域に迂回してもらうなどの措置を講ずる」ことを指示しています。そして、「1週間前に周知を完了しておくこと」としていますが、市はこれまで市民への周知をまったく行ってきませんでした。
■市民への周知がされていない
小田原城趾公園で、松食い虫防除のために農薬(有機リン系農薬スミチオン)が大量に散布されています。市はこれまで、散布にあたって周辺地域の住民や学校、幼稚園、観光客への周知をまったく行っておらず、逃げることのできない動物園の動物たちへの配慮も行ってきませんでした。
当会では、5月13日に市に散布の中止を要望しましたが、残念ながら5月16日(土)午前5時〜6時半ころに第1回目の散布が行われました。近日中にあと2回の散布が行われる予定です。
■動物園で大量の有機リン系農薬散布
市は、周辺住民ばかりでなく、市内外から訪れる観光客のためにも、農薬の散布については慎重に考慮し、安全性に配慮するべき責任があります。
また、史跡の限られた敷地に密集している狭い檻の動物達は、できるだけ自然に近い環境で飼育するという動物園のあり方から見ても、たいへんみじめな状態にあります。
市は、今いる動物たちが天寿を全うするまで、動物たちが少しでもよりよい環境で暮らせるよう、今回の農薬問題への対応を含め、愛情をもって取り扱ってほしいと思います。
関心のある皆さまは、ぜひ小田原市にお問い合わせ下さい。
●小田原市役所
TEL:0465−33−1302
●小澤良明市長 「市長への手紙」
FAX:0465−32−4640(市役所広報公聴室)
●小田原市役所観光課
TEL:0465−33−1521