特定動物(危険動物)の飼育許可に対する
規制強化についての要望
本年4月に、茨城県と秋田県で相次いで特定動物による死亡事故が発生し、3名が死亡しました。過去には、無許可飼育のトラによる死亡事故も発生しています。
当会では、特定動物の飼育許可に対する規制強化を求め、動物愛護管理法改正に関わる国会議員の方々に要望書を提出しました。
特定動物(危険動物)の飼育許可に対する規制強化の要望
NPO法人地球生物会議(ALIVE)
本年4月に、茨城県と秋田県で相次いで特定動物による死亡事故が発生し、3名が死亡しました。特定動物の全国一律規制は2005年の法改正で初めて導入されたものですが、この場合も、無許可飼育のトラが人を噛み殺した事件を踏まえての改正でした。その後も事故が続いていることから、今回の「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正において、以下の規制強化が行われることを要望いたします。
1.市町村との連携による危機管理対策の強化
過失、事故又は災害等における動物の逸走等に対して、都道府県は施設の所在する市町村に情報を提供し、対策の協力を求める。
2.飼育許可を毎年更新制とし行政の立入、指導権限を強化する
動愛法では許可の有効期間の一律の規定はなく、都道府県等が条例で定めている(ほぼ5年)が、これを毎年更新制とし、全国一律の規制とする。
3.飼育許可条件を強化する
許可申請時に、動物を逸走させた場合の緊急対策、飼育困難となった場合の措置、繁殖制限措置、飼育の財源等について、事前の提出を義務付ける。
4.生理・習性・生態に配慮した適正な飼育を義務づける
特定動物の飼養保管基準に、動物の生理、習性、生態に適う飼育方法と施設の管理についての条項を明記すること、および飼育責任者に、当該動物の生理、習性、生態についての知識や経験を有すること
の証明を義務付ける。
5.罰則の強化
- 特定動物を遺棄または逸走させた者、特定動物によって人の生命、身体、財産等に侵害を与えた者に対する罰則を設ける。
- 動物取扱業の場合は、営業停止又は業の登録取消しを行えるものとする。
- 動物を逸走させ人身事故等を起こした場合、あるいは動物の取扱いに関する関連法違反の場合にも、許可の取り消しを行えるようにする。
6.廃業時及び廃業後の実態把握
動物取扱業者に対しては、廃業に伴う動物の行き先などの把握や追跡調査を行うなどの監視体制が必要である。
<要望趣旨の説明>
1.市町村との連携による危機管理対策の強化
特定動物の逸走等が発生した場合の、市町村との協力関係については、条文上規定がない。
危険動物の逸走や人身事故、災害時の緊急対策等にあたっては、地元の市町村と迅速に情報共有をはかり、協力、連携しての取り組みが必要であるため、条文上に明記するべきである。
ちなみに、多頭飼育や悪質動物業者の問題においても、地元住民はまず市町村に苦情を言い、対処を求めるが、市町村には担当窓口さえないところが多い。3.11直後の福島では、県から市町村への情報伝達がなかったために、動物の救護に大きな混乱が起きた。
【参考】 動愛法で市町村の役割を定めているのは、以下の2か所のみ。
・ 第6条: 都道府県が動物愛護管理推進計画を定めるときには市町村の意見を聴かなければならない、
・ 第35条: 都道府県等は犬猫の引取りについて市町村に必要な協力を求めることができる。
2.飼育許可の毎年更新制
特定動物の飼育は許可制でありながら、条文に許可の有効期間の一律の規定がなく、動愛法施行規則に基づき5年を超えない範囲内で都道府県等が条例で定めている。有効期間はほぼ5年間であり、行政の立入は通常、許可申請時の1回のみである。
動愛法第33条において、「特定飼養施設の点検を定期的に行うこと」が定められているが、多くの自治体は5年に1度の許可申請または許可の更新時にしか立入検査を行っていない。
旧定山渓クマ牧場(札幌市)では、5年間でクマの数が26頭から13頭も半減していたが、同牧場はこれの届出を行わず(30日以内に届け出なければ施行規則違反)、行政も5年間立ち入り検査をしていなかった。
八幡平クマ牧場では、施設の老朽化が進んでいるが、経営者に施設改善の資金力がなく、今後の改修は困難と思われる。
5年間に1回の立入では施設の老朽化等に対応できない。最低でも1年に1度の行政による立ち入り検査を法律で義務づけるべきである。その際には、行政の担当職員が、対象動物種についての科学的・獣医学的知見を有していないことが多いため、獣医師や専門家などに協力を要請して同伴視察が可能にできるような体制を構築するべきである
3.飼育許可条件の強化
八幡平クマ牧場では、経営者がひんぱんに変わったのみならず、いずれの経営者(管理責任者)もクマの生理、習性、生態に関しての知識がなかった。許可申請時に、管理責任者が飼育に関する経験や専門知識を有していることの証明を必要とするべきである。
また、動物を逸走させた場合の緊急対策、飼育困難となった場合の措置、繁殖制限措置等について、事前の提出を義務付けるべきである。
特定動物の飼育は公益目的に限定し、飼養の財源に問題がある場合、娯楽や愛玩目的である場合は、原則禁止あるいは厳しい制限を設けるべきである。
4.生理・習性・生態に配慮した適正な飼育の義務づけ
特定動物の場合は、とりわけ動物の生理、習性、生態に適う適切な飼育がなされるべきであるが、現行の特定動物の飼養保管の規準には、これに関する条項がないので、新たに定めるべきである。
管理責任者は、当該特定動物について知識や経験を有すること、および獣医師、動物学に詳しい専門家等、助言者の関与を義務付けるべきである。
5.罰則の強化
現行法では、特定動物に関する罰則は、無許可飼養や虚偽の申請に対するもののみで、特定動物を遺棄または逸走させることによって、人の生命、身体、財産等に侵害を与えた者に対する罰則規定がないので、新たに設けるべきである。
また、特定動物の飼養者が動物取扱業の場合は、営業停止又は業の登録取消しを行えるものとする。
対象動物が動物関連法(種の保存法、鳥獣保護法等)にも該当する種であって、関連法違反で有罪となった者については、飼養の許可を取り消すものとする。
6.廃業時及び廃業後の実態把握
特定動物を展示・販売等する動物取扱業者が廃業を届け出た際には、廃業時の動物の種類・数・年齢などのデータを併せて提出させること、廃業に伴う動物の行き先などの把握や追跡調査を行うなどの監視体制が必要である。
かつて和歌山県で展示飼育されていたタイワンザル(特定外来生物指定)が逸走して野生化し、農作物被害や生態系への悪影響を引き起こした例がある。また2001年に廃業した行川アイランド(千葉県)という展示施設では飼養していたキョン(特定外来生物指定)が多数逸走して野外で繁殖し、現在も農業や生態系に大きな被害をもたらしている。
今後も、廃業する展示施設等は増える傾向にあると予想され、廃業時の動物の譲渡先や処分方法について、実態を把握しておくべきである。
以上
クマ牧場、特定動物の問題については、ぜひ、以下をご覧下さい。
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