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南紀白浜アドベンチャーワールド ゾウの「調教」虐待事件
アフリカゾウ「ピコ」の死について、アドベンチャーワールドに質問と要望
アフリカゾウ「ピコ」の死について、関係機関に要望しました

アフリカゾウ「ピコ」の死について、 関係機関に要望しました

さる2001年1月28日、テレビ朝日スクープ21で報道された、同動物園での象の虐待的な調教に対し、当会では以下のような要望書を関係各機関に送りました。



2001(平成13)年2月12日
環境大臣    川口順子 様
文部科学大臣 町村信孝 様
和歌山県知事 木村良樹 様
日本動物園水族館協会会長 池田隆政 様

動物園における飼育のあり方及び種の保存に関する要望

 当会らは、野生動物の保護と保全及び飼育下の動物の福祉に関わる全国規模の市民団体です。

 さる1月28日(日)のテレビ番組で、南紀白浜アドベンチャーワールドで飼育されていた、国際的に絶滅のおそれのあるとされるアフリカゾウ「ピコ」の飼育状況と死亡に関する報道が流されました。同園での1997年のシャチやパンダの死亡などについてもメディアで報じられていますが、これらの希少動物に対する取り扱いや飼育方針には、以下のような大きな問題があります。

1.アフリカゾウ「ピコ」の死

 テレビの報道で知る限りではピコが死に至る経過は、次のように報じられています。

[死に至る経過]
 1998年10月、長年の間ゾウの飼育係だった川野氏が部署の移動になり、1999年3月、タイ人調教師が雇用された。「ピコ」は野生のアフリカゾウで98年当時推定26歳の成獣。もともと後ろ足が悪い個体だったにもかかわらず、苛酷な「調教」が行われるようになった。

 同年、4月19日、調教師はゾウが慣れないという理由で、鎖で繋いだピコの足を先の尖った鉄のヤリでつつくなどの暴力を加えた。4月21日、歩行訓練と称するもののために4本の足を一度に短い鎖で繋ぎ(ベレ装着)、歩行の自由を奪ったため、転倒して立ち上がることも不可能な状態にさせた。同年6月11日、ヤリで突かれた後足が化膿し、傷口から出血して1時間も放置され止血されなかった。7月16日、後足からうみが出る状態になっていた。この頃、腹部(へそのあたり)に浮腫がが出た。極度なストレスのせいと思われる。10月には、餌も十分でなく痩せて骨が浮き上がる。12月24日死亡。しかし、死因の解明や解剖所見は公表されていない。

 ゾウは本来母系の仲間同士で群を作る社会性に富んだ動物です。それゆえに、他のゾウや飼育係との関係はたいへん重要ですが、そもそもアフリカゾウとアジアゾウは別の種であることが認識されなければなりません。ピコに対して行われたタイ人による従来とはまったく異質かつ苛酷な「調教」は、傷口の化膿と相俟って、その心身を病ませ、免疫の低下による衰弱死を招いたものと推定されます。動物園側はあくまでこれは調教であり虐待ではないとしていますが、それを判断するのは一般の社会であり、客観的に見てピコに加えられた行為は暴力であり虐待であると断じざるを得ません。

2.野生シャチの捕獲と死亡

 同園での動物に対する虐待的な飼育方法は、ゾウに限りません。

 同園は、1997年2月、和歌山県太地町で捕獲されたシャチ5頭のうち3頭(オス2、メス1)を、国内外の反対の声を押し切って購入しました。当時、同園ではすでにシャチを3頭飼育しており、飼育スペースにも限りがありながら、あえて3頭を導入しました。

 果たして、捕獲されたシャチは同年の6月14日、17日とあいついで死亡しました。このメスは捕獲時に妊娠していたと推定されていましたが、餌を受け付けず衰弱し、体重5500キログラムから、死亡時は3300キログラムまで落ちていたとのことです。また小さいオスは、野生個体が持つはずのないヒト・ヘルペス・ウイルスによる感染で死亡したとされています。

 その後、1頭残ったオスは、1981年にアイスランドで捕獲され1985年に同水族館に購入されたメスのルカと共にショーを演じさせられています。シャチの購入当時、同園は野生のシャチの捕獲はあくまで学術研究目的であり、水産庁および日本動物園水族館協会も「ショーには使用しない」と公約しながら、現在に至るまでこれをまったく無視しており、社会的信義にもとる行為と言わざるを得ません。

 このシャチのルカもまた、調教と称する虐待を受けて死亡した疑いがあります。ルカは、同園で各種の芸を仕込まれてきましたが、年を重ねるごとに言うことを聞かなくなり、しばしば、飼育係に反抗して噛み付くなどしてショーが成立しなくなり、水面を竹のムチで叩くなどして服従させようとしていたことが観客からも目撃されています。結局、ルカは2000年3月にショーの直後に死亡しました。死因は「ショック死」だとのことです。

3.パンダも死亡

 同園は、1994年9月に、中国からパンダのオス、メス各1頭を飼育繁殖共同研究の名目で借り入れています。同園は年中無休で、午後9時まで営業時間を延長するなど、パンダを長時間観客にさらし続けてきました。

 1997年7月にパンダのメスは死亡しましたが、死亡原因も不明であり、学術研究の報告書も明らかにされていません。

 このように、同園では「人気」のある希少野生動物を高価な費用で次々と買い入れ、その見返りを得るためか、調教によってショーや曲芸をさせて客寄せをしています。このような商業主義が、動物たちに過度の心身の負担を生じさせ、衰弱又は病気、死に至らしめている原因となっています。これは動物園の社会的使命の一つとも銘打たれている、絶滅のおそれのある野生動物の種の保存のあり方に、大きな疑念を生じさせています。

 上記の理由から、私たちは、関係各機関に、以下の要望をするものです。

1.環境省への要望

 環境省は、動物の愛護及び保管に関する法律に基づいて、動物園・水族館等、動物展示業等が守るべき基準の周知徹底を図っていただきたい。また動物展示業における実態調査を速やかに行い、「展示動物等の飼養及び保管に関する基準」(昭和51年総理府告示)の速やかな改正作業に着手し、少なくとも動物福祉に関する世界基準のレベルまで達するよう鋭意努力してしていただきたい。

 また、絶滅のおそれのある種の保存法においても、動物園が学術研目的である限りにおいて輸出入が許可されていながら、実態は単なる見せ物的な商業主義に基づいており、種の保存のためにいかなる貢献もなし得ていないことに対して、厳しく審査を行い、安易な動物輸出入を規制するようにしていただきたい。

2.文部省への要望

 日本には、動物園に関するいかなる法律も存在しない希有な先進国です。しかし、公式的には動物園は、博物館法に基づく社会教育施設として認知されており、そのために学芸員を配置し、学術研究や動物の習性生態や動物愛護に関する啓発普及活動を行うことが推奨されています。しかし、同園に見られるように見せ物的商業主義が主流であり、国際的な動物園の基準にはほど遠い有り様です。

 文部省は、博物館法を改正するかあるいは動物園法を制定し、動物園の理念と目的、運営のあり方を法的に定義する責務があると考えます。

3.和歌山県への要望

 和歌山県は、動物愛護法及び県の動物の保護及び管理に関する条例に基づき、同園に対する立ち入り調査を行うとともに、国の基準に即して、動物の生理・習性にかなった飼育がなされるように常時、監督を強化していただきたい。

 また、県の教育委員会は、このような動物園が誤った動物観や自然観を助長する恐れがあることから、社会教育施設としての動物園のあり方を再検討し、同園における動物虐待の実態が解明されるまでの当面の間、同園に対する子どもたちの見学を自粛するように各小中学校に勧告していただきたい。

4.日本動物園水族館協会への要望

 動物園協会は、同園が日動水加盟団体の名の元にシャチやパンダなどの希少動物を学術目的に購入している事実に基づき、同園が社会教育施設として協会の倫理規定に反していないかどうかを調査していだたきたい。
 また、今回の同園における虐待事例は、動物園業界全体に対するイメージダウンをもたらしているが、動物園の目的は、本来このような商業主義や虐待飼育と相反するものであることから、改善を勧告するとともに、それがなされない場合は協会からの除名も検討していただきたい。

以上

 


 
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