反毛皮キャンペーン【５】

イタリア　ＬＡＶ(動物実験反対協会）

■犬猫の毛皮輸入で国会尋問

　アジアの国々からの犬や猫の毛皮の輸入取引が、国会質疑の対象になった。

　提議したのはアンナマリア・プロカッチ議員とヴィトー・レッチェーゼ議員だ。製造業や手工業の猫の毛皮の利用をやめさせるよう厳しく監視することはもちろん、未加工のものも半製品も含めイタリアへの輸入を禁止する方策を採るべきだと言う声も挙がった。さらに、この問題へのＥＵの注意を喚起し、すべての加盟国においてこの忌むべき取引が禁止されるようにするべきだとの要求もあった。

　9月の国会で貿易大臣の補佐官は次のような手紙を読んで、質疑への答弁とした。

　国際法の観点からは、犬や猫の毛皮の輸入を禁止する規定は存在しない。

　ワシントン条約は絶滅の危機に瀕している動物のみを保護するものだ。動物の福祉と保護という面で言えば、ＥＵ協定36条とＧＡＴＴ20条が、動物と人間の健康と生命を守る方策を採ることを定めている。

　当然これらの方策は、国際紛争にもなりうる、商業への制約となってはならない。かつて鉄の落とし罠で捕獲された動物の毛皮取引について起こったように。

　現在質疑中のケースでは、もしも禁止すれば、治外法権として、またこの問題に対する反応の差異から、国際レベルでの訴訟にもなりかねない。また、わが国の領土内でのみ有効な対策をとったとしても何の意味もない。

　しかしながら、まずは商工省に対してのイタリア毛皮協会の申し立てを明らかにするべきだろう。彼らは、これは毛皮業界に対する動物保護キャンペーン活動だと主張している。

　毛皮業界は、アジア諸国で前代未聞の苦痛とともに殺された犬や猫の毛皮を輸入して使っていることで糾弾されている。

　イタリア毛皮協会は、商工省総局長宛てに送ったＦＡＸにこう書いている。「毛皮業界は野生のイヌ科・ネコ科動物の皮をアジア諸国、特に中国から輸入しているが、それらの動物の肉は現地の人々によって食糧として利用されているのだ。決してイエイヌやイエネコの毛皮ではない。」全国皮なめし産業連合はこの言葉を肯定したうえ、 ヨーロッパ、又はアジアからイタリアに輸入される皮は、動物関係当局による検査と認可を受けた出自のもので、しかるべき書類と共に輸入されていることを付け加えた。

　この手紙の中には、議論の的になる2つの面を呈している。まず、ワシントン条約が絶滅途上の動物しか保護しないのは確かだ。同時に、たとえ文化や伝統が大きく違っても、よその国におけるイヌやネコの利用法に対して恐怖を抱かずにはいられないのも事実だ。もしもこれらの動物のヨーロッパへの輸入になんの制限もされないのなら、諦めるのではなく、あらゆる法的手段を導入するべきだろう。

イタリアの現在の法律は、愛玩動物の保護を定めている国や州の法律や、これらの動物への国民感情に反して、今尚この血生臭い取引きに手を染めることを容認している。

　第2に、イタリア毛皮協会の野生動物の愛玩動物との区別には納得できない。彼らは、中国ほかアジア諸国では、野生動物のみを使っているとして、イエイヌ・イエネコの使用を否定している。

　しかしそれらの国々において殺される野良たちにしろ、飼育されているものにしろ、大抵が小型から中型の家庭で飼育される大きさの犬や猫たちであることは、ＨＳＵＳの調査員によって写真やビデオに記録されている。

　この血も凍るような行為は、しばしば家族全体の生計を支える唯一の収入源だ。

　親は子供たちがまだ小さいうちから教えるのだ。僅かのドルのために犬や猫を捕獲し、飼育し、殺し、皮をはぐことを。動物だけでなく子供達をも犠牲にして稼ぎを得ているのだ。

■毛皮だけではない。

　悲しい事にアジアの幾つかの国では、特にセントバーナードのような大型犬の、その柔らかく暖かい毛皮だけでなく、肉までが珍重される。我々はこのような食用目的で飼育される犬の救出を訴える国際キャンペーンに参加した。

　アメリカやオーストラリアやヨーロッパの幾つかの国も、アジア向けの動物の輸出に関わっているのだ。犬の肉を食べない国において、犬をミートボールにする国への犬の輸出が許されているとは容認できないことだ。

　スカニオ農業大臣は国連の食糧機構に対して、さもしい動物の輸出について断罪とすることと、現在アジアにいる犬が食用にされないよう対策を立てることを要求した。我々はこれを評価し支持している。