●犬猫の殺処分数36万匹に−動物行政の転換へ
平成17年度の犬猫殺処分数は363,935匹で、前年度より27,819匹減少しました。犬の殺処分数は132,238匹で前年度147,904匹から15,666匹の減少、猫の殺処分数は231,697匹で、前年度243,850匹より12,153匹の減少です。
平成9年度のアンケートでは、犬猫殺処分数は646,600匹でしたので、9年間で282,665匹減少したことになります。
従って、過去10年で殺処分数は半減してきたと言えるでしょう。環境省は昨年、10年間で犬猫の殺処分数を半減させる計画を打ち出しましたが、現実には過去10年間ですでに実現していたことになります。
国がこの半減計画を打ち出しことは、全国各地で多くの動物保護・愛護団体の活動が生まれ広がっていること、メディアがこの問題を積極的に取り上げ、市民の意識が変化したことなどにより、十分に達成可能だと判断したからだと思われます。また、平成17年度末をもって行政の施設からの犬猫の実験払い下げがすべて廃止になったことも、動物行政の転換を示す大きなできごとです。
一方、犬の繁殖業者や販売店が、売れ残りや販売に適さない「余剰」個体を処分している実態は明らかではなく、動物取扱業に対する監視がよりいっそう重要となってきています。実際、動物愛護管理法の2回にわたる改正(1999年、2005年)により、今後の動物行政は従来の犬猫の処分中心の業務から、動物取扱業の監督指導に転換することが方向づけられてきました。
新たに動物行政が取り組むべき課題は、感染症対策と災害時の対策です。鳥インフルエンザやサルモネラ汚染など、人や動物に感染する病気の対策は、公衆衛生の観点からも重要です。
さらに、いつどこで発生するか予測できない大規模災害にそなえて、動物取扱業、動物実験施設、畜産施設などの実態の確認をしておくことも重要です。今後は、社会的防衛の観点から、動物飼育施設(実験施設や畜産施設を含む)の実態把握をするとともに、そのような施設における動物福祉の向上について啓発普及を図っていく必要があると考えられます。
<アンケート調査項目>
●救命率は微増
●子犬・子猫の区別
●所有者不明の犬猫の引取り
●犬の捕獲と返還
●犬の殺処分と譲渡
●猫の殺処分数は微減
●所有者不明の猫の引取り
●猫の繁殖制限の必要性
●殺処分数が1万匹以上の地域
●殺処分数の減少に向けて
●引取り及び殺処分を減らすための施策
●引取り手数料について
●一般譲渡の際の不妊去勢手術について
●定時定点収集について
●引取りの際の指導について
●業者からの引取りの確認
●譲渡後の追跡調査
●抑留施設・運搬車両について
●殺処分の方法:ガス室
●殺処分の方法:注射
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●行政に寄せられる苦情・相談件数
●動物取扱業者に行なった対処件数
●動物愛護担当職員の設置
●動物愛護行政業務の人員数
●動物愛護行政予算額
●動物愛護管理協議会の設置
●動物愛護推進員の設置
●動物愛護推進員の活動内容
●民間との協力について
●ホームページでの収容・譲渡情報の掲載
●犬の登録・注射について
●地域防災計画への書き込み
●犬の鑑札の自由化について
●改正動物愛護管理法施行について
●平成18年、実験払い下げついに0に!
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<付録>
●動物行政:全国市町村アンケート(平成17年)
<参考>
⇒平成24年度 全国動物行政アンケート結果報告書
⇒平成23年度 全国動物行政アンケート結果報告書
⇒平成22年度 全国動物行政アンケート結果報告書
⇒平成21年度 全国動物行政アンケート結果報告書
⇒平成20年度 全国動物行政アンケート結果報告書
⇒平成19年度 全国動物行政アンケート結果報告書
⇒平成18年度 全国動物行政アンケート結果報告書
⇒平成17年度 全国動物行政アンケート結果報告書
⇒平成16年度 全国動物行政アンケート結果報告書