本全国動物行政アンケート調査は、平成9(1997)年度より実施し、今回で15年目となります。
アンケートの対象は平成23年度(2011年4月1日〜2012年3月31日)の動物行政を所轄する110自治体(都道府県、政令指定都市、中核市、保健所設置市)で、回答率は100%です。
■動物愛護管理法改正について
動物行政の根拠とする「動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動愛法)」が、平成11(1999)年、平成17(2005)年の2回にわたり改正され、次いで平成24(2012)年に更なる改正が行われました。
今回の動愛法改正で最大の成果は、動物取扱業の規制強化が大きく前進したことです。犬猫等健康安全計画の策定義務、犬猫等の健康・安全を確保するための獣医師等との適切な連携、販売が困難となった犬猫等の終生飼養の確保、販売時の現物確認・対面販売の義務化、関連法違反による業の取消し等、きちんと法が運用されれば、ペット業界のレベルを大幅に向上させ、刷新させるものとなるでしょう。
また、そのほかにも、多頭飼育崩壊の予防措置や、行政による犬猫等の引取りについて拒否ができるようになるなど、ペット問題を解決に導くための基盤が大きく整備されたと言えます。
■全国動物行政の方向性
平成20年度より都道府県の動物愛護管理推進計画が動き出していますが、この中でほとんどの自治体が犬猫の引取り数の半減または殺処分数の半減を目標にしています。犬猫の殺処分数は毎年確実に減り続け、行政の収容施設の改善事例も増えており、民間との協力により譲渡数も増加、処分施設から一時保護施設への転換へ向けての取り組みが進みつつあります。しかしながら、収容施設の暑さ寒さの対策などはまだまだ改善が必要な自治体が多く、今後の更なる取り組みに期待したいと思います。
また、動愛法改正に伴い基本指針の改正も行われることから、各都道府県において動物愛護管理推進計画の見直し・改正も順次行われていくことと思います。これまでの推進計画で達成できなかった施策、特に実験動物・産業動物については、今回の動愛法改正においても置き去りにされた問題であり、都道府県においても推進計画の施策として取り入れておきながら未着手であるところが多いことからも、実効性のある計画の策定がなされることを願います。
本報告集が、各地域で動物保護、愛護に関心を持つ皆様の活動の一助となり、また各都道府県、市町村の自治体の業務にもお役に立てれば幸いです。
本アンケートにご協力頂きました動物行政ご担当者の皆様に、この場を借りて御礼を申し上げます。
<目次>
はじめに 3
アンケート項目 4〜8
第1部 :
1.全国の犬猫収容・処分数の集計 9〜19
2.全国動物行政アンケート項目の集計 20〜47
第2部 : 全国犬猫処分数および動物行政アンケート結果まとめ 48〜79
1.全国自治体における犬猫の収容・処分数 48
(1) 収容総数 49
(2) 収容数の内訳 53
(2)−1.所有者からの引取り数 53
(2)−2.所有者不明の引取り数 55
(2)−3.捕獲数 55
(2)−4.負傷収容数および返還数 55
(2)−5.所有者がわからない犬猫の収容数 56
(3) 返還数および返還率 58
(3)−1.犬の返還数および返還率 58
(3)−2.猫の返還数および返還率 59
(4) 譲渡数および譲渡率 60
(5) 殺処分および殺処分率 64
(6) 「1.全国自治体における犬猫の収容・処分数」のまとめ 68
2.引取りの場所と飼養環境について 69
3.引取りの際の身元確認と業者からの引取り 69
4.所有者不明の犬猫 71
5.譲渡対象の犬猫の選定について 71
6.譲渡時のワクチン接種・不妊去勢手術 72
7.譲渡後の追跡調査 72
8.殺処分の方法 73
9.収容動物の収容期間について 73
10.犬猫の引取り業務の外部委託 74
11.動物取扱業者への調査・指導 74
12.動物取扱業者登録名簿の公開 75
13.条例による多頭飼育の規制 75
14.動物愛護団体との連携 75
15.動物実験施設について 75
16.畜産動物施設について 76
17.動物愛護行政の予算額 77
18.行政に寄せられる苦情・相談 77
19.動物愛護推進員の委嘱 78
20.地域猫活動について 78
21.ふれあい活動について 79