■殺処分数は約3万頭減少
平成23年度の殺処分数は、犬が44,882頭、猫が138,559頭、合計183,441頭となっています。これは、前年度に比べ30,183頭の減少で、10年前からでは312,900頭も少なくなっています。
殺処分数のうち、幼齢個体の割合は、犬で17.2%(7,732頭)、猫で60.2%(83,356頭)と子猫の殺処分数が圧倒的に高くなっています。ただし、全110自治体のうち、12自治体は幼齢個体の区別をしていませんので、実際の子犬・子猫の殺処分数は、さらに多い数であることが考えられます。
また、都道府県別の犬猫殺処分数の上位・下位5位を表にまとめましたので併せてご参照ください。
■殺処分率による自治体の評価
自治体によって収容される犬猫の頭数は大きく異なります。例えば平成23年度では、最も多い自治体が北海道で10,275頭なのに対し、最も少ない自治体は富山県の1,083頭となっています。母数を考えることなく、単に殺処分数だけで動物行政の良し悪しを決めることは、危険なことと言えます。このことから、母数である収容数を加味することができる「殺処分率」を、都道府県別に上位・下位5位までを表にまとめましたのでご参照ください。
なお、平成23年度の殺処分率の全国平均は、犬で55.6%(前年度より4.8ポイント減)、猫で89.9%(前年度より2.5ポイント減)、合計で78.1%(前年度より3.5ポイント減)となっています。
■収容数のほとんどが野良猫由来
平成23年度における行政機関での犬猫収容数は234,825頭(犬:80,743頭、猫:154,082頭)であり、全体の65.6%を猫が占めています。また、猫の収容数のうち77%が所有者のわからない猫であり、さらに、その75%以上が子猫です。
■人口に占める犬猫の収容数
犬猫の収容数は、各自治体に住む人々の動物の飼育に対する意識の高低を示しているとも言えます。
これまでの当会の行政アンケート結果報告書では、人口あたりの殺処分数を掲載してきましたが、殺処分数は行政やボランティアの努力量により変動します。そのため、今回の行政アンケートでは、人口に占める収容数として算出しました。人口10万人当たりの犬猫収容数を、都道府県別に上位・下位5位までを表にまとめましたのでご参照ください。
■所有者からの引取り数
「所有者からの引取り」とは、一般家庭で飼養されていた犬猫もそうですが、それ以外に業者等からの引取りも含まれている可能性があります。
所有者からの引取り数は、年々顕著に減少してきており、平成23年度では、犬が17,522頭、猫が34,853頭、合計52,375頭となっています。
■所有者のわからない犬猫収容数
ここで言う「所有者のわからない犬猫」とは、所有者不明の引取り、捕獲、負傷動物を合わせたものを指します。これらは、逸走、野良状態、そして遺棄によって、野外で暮らすことを余儀なくされた犬猫のことです。
これらの犬猫の収容数は、やや減少または、ほぼ横ばい状態であり、犬で63,221頭、猫で119,229頭、合計で182,450頭となっています。また、所有者のわからない犬猫は、平成23年度では全収容数の78%を占めています。
■猫の譲渡拡充・地域猫関連事業の導入が大きな課題
平成23年度の譲渡数は31,482頭(犬:18,243頭、猫:13,239頭)と、前年度に比べて1,493頭の増加でした。譲渡率も年々高くなってきていますが十分とは言えず、自治体によっては、前年度よりも譲渡数が少なくなっているところも多くみられます。また、特に猫では収容数が犬よりも多いのに対し、譲渡数では猫の方が少ないのが大きな課題と言えます。ただし、前述のように収容される猫のほとんどが野良猫出産の子猫であり、それらを譲渡することは大変な労力が必要なことから、自治体はTNR、地域猫などの野良猫の繁殖を抑制し収容数を減少させていく事業に精力的に取り組んでいく必要があります。
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