平成24年度(2012年度)
■行政機関の犬猫収容総数
平成24年度の全国動物行政に収容された犬猫の合計数は、前年度より約1万頭減少の22万4274頭(犬:7万4250頭、猫:15万24頭)でした。収容総数は減少傾向にあるものの、年々下げ幅が鈍くなってきています。また、猫の収容数は犬の約2倍となっていますが、例年の傾向通り、そのうち72.8%が子猫となっています。さらに、猫の収容総数に占める所有者のわからない猫の割合は、子猫だけで59.4%となっています。
■所有者のわからない犬猫収容数
行政に収容される犬猫のうち、所有者のわからない犬猫(「所有者不明の引取り数」+「捕獲数」+「負傷収容数」)の数は、平成24年度で17万4951頭(犬:5万7440頭、猫:11万7511頭)でした。
このうち、所有者のわからない犬の収容数は年々減少傾向にありますが、猫の収容数はほぼ横ばいの状態になっています。 以上のように、依然として野良猫の問題が深刻であることが伺えます。しかし、自治体における野良猫対策として、不妊去勢助成金制度を設けている自治体、またはそれ以外の対策として予算立てをしている自治体は全体の30%程度に留まっているのが現状です。
現段階で殺処分数を減少させるためには、子猫の収容数を減少させることが急務であり、そのためには、地域猫活動やTNR等の対策を官民協同により、一層の強化を図ることが必要であると言えます。
■譲渡数
平成24年度の犬猫譲渡数は、前年度より約1千頭増加の3万2785頭(犬:1万7489頭、猫:1万5296頭)でした。譲渡数は年々増加傾向にあるものの、未だに猫の譲渡数がゼロの自治体もあります。
しかし、収容数の大半が子猫であり、おそらくそのほとんどが自活不能な乳飲み仔であると予想されることから、譲渡にいたるまで養育することは大変な労力が必要であると言えます。
その際に大きく貢献するのが一般ボランティア・団体等への譲渡です。現時点で63%の自治体がボランティア譲渡を行っており、自治体によっては、ほとんどの譲渡事業をボランティア等へ委託している場合もありますが、全国で見てみると、譲渡数のうちのボランティア譲渡の割合が、犬で28.2%、猫で31.1%となっています。
担当職員数の少ない自治体では譲渡には限界があるため、ボランティアとの協力の拡充が重要な課題であると考えられます。
■返還・譲渡率
返還・譲渡率は行政に収容された犬猫のうち、殺処分及び収容中死亡を除いたものであり、いわば生存率と言い換えることができます。
平成24年度の返還・譲渡率は全体で22.5%(犬:46.6%、猫:10.6%)でした。高いところで犬では90%、猫では40%なのに対し、低いところでは犬で8%、猫で0%となっており、自治体によって大きく開きが出ています。
■譲渡率
譲渡率は一般的に譲渡数を収容数で割ったもので計算されますが、行政やボランティアの努力量の評価をより厳密に行うため、ここでは収容数から返還数を引いた値を譲渡数で割ったものを採用しました。
平成24年度の譲渡率は、前年度より1.3ポイント高い15.8%(犬:30.4%、猫:10.2%)でした。
ここ数年、全国的に譲渡率は1~2ポイント上昇し続けています。
■殺処分数
平成24年度の殺処分数は、前年度より約1万頭減少の17万608頭(犬:4万9323頭、猫:12万1470頭)でした。殺処分数は、年度によって下げ幅は上下しているものの、行政やボランティアの努力によって、年々顕著に減少していると言えます。
しかし、収容数において子猫の頭数が圧倒的に多かったのと同様に、譲渡するまでの世話が困難で、返還される見込みがない(そもそも所有者がいない)であろう子猫が、猫全体の殺処分数(全体の77%)のうちの61%を占めています。
また地域別に殺処分数を見てみると、例年同様、北陸地方での殺処分は少なく、関西以西で高い傾向となっていました。
■殺処分率
平成24年度の殺処分率は、前年度より2ポイント低い76.1%(犬:52.8%、猫87.6%)でした。殺処分率も近年では毎年約2~3ポイント減少してきていますが、犬では譲渡されやすい子犬の収容が各地で大きく減少してきているためか、殺処分数の下げ幅が鈍くなり始めていることが伺えます(前年度比…平成23年度:4.8ポイント減少、平成24年度:2.7ポイント減少)。
一方、猫でも年々殺処分率は減少してきていますが、そもそもの殺処分率が犬に比べて圧倒的に高く、原因としては前述した養育の困難さや、成猫の譲渡需要の低さ等が大きいのではないかと考えられます。
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