本全国動物行政アンケート調査は、平成9(1997)年度より実施し、今回で13年目となります。
アンケートの対象は平成21度で動物行政を所轄する108自治体(都道府県、政令指定都市、中核市、保健所設置市)で、回答率は100%です。
■動物愛護管理法改正について
動物行政の根拠とする動物の愛護及び管理に関する法律が、平成11(1999)年、平成17(2000)年の2回にわたり改正され、次いで平成24(2012)年を目途として更なる改正が行われる予定です。環境省では、中央環境審議会動物愛護部会に動物の愛護管理のあり方検討小委員会を設け、次の法改正の課題を上げて検討を進めています。ここで上げられている改正課題がすべて前向きに実現されれば、日本の動物保護制度も相当充実し、先進国並みとなるでしょう。また、動物行政も施策を進めて行く上で大きなよりどころを得ることができます。
検討小委員会では、動物取扱業の適正化について最も多くの課題を上げ、検討の時間をさいていますが、その理由は、依然として動物取扱業者による飼育怠慢や飼育放棄、あるいは幼齢個体の販売や感染症・遺伝性疾患の広がりなど販売トラブルが多発していることによるものです。本アンケートでも動物取扱業に対する苦情の多さが見て取れます。
本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖巨大地震・大津波及びそれに伴って発生した福島原発事故は、ペットや家畜など幾多の飼育動物にも死をもたらし、また飼育困難な状態に至らしめています。とりわけこのような大災害はいつどこで起こるかわからないことを考えると、国や自治体が動物実験施設等について所在も実態の把握もしていないことは、今後の大きな課題となっています。
■全国動物行政の方向性
平成20年度より都道府県の動物愛護管理推進計画が動き出していますが、この中でほとんどの自治体が犬猫の引取り数の半減または殺処分数の半減を目標にしています。犬猫の殺処分数からみると、平成21(2009)年度は、前年度比約4.7万(前年度2.4万)匹の大幅減少となり、この部分については確実に効果が上がっていることが見て取れます。
行政の収容施設の改善も増えており、民間との協力により譲渡数も増加、処分施設から一時保護施設への転換へ向けての取り組みが進みつつあります。今後の更なる取り組みに期待したいと思います。
本報告集が、各地域で動物保護、愛護に関心を持つ皆様の活動の一助となり、また各都道府県、市町村の自治体の業務にもお役に立てれば幸いです。
本アンケートにご協力頂きました動物行政ご担当者の皆様に、御礼を申し上げます。
<目次>
はじめに 3
アンケート項目 4〜7
第1部 : 1.全国の犬猫収容・処分数の集計 8〜17
2.全国動物行政アンケート項目の集計 18〜43
第2部 : 全国犬猫処分数および動物行政アンケート結果まとめ 44〜64
1.全国自治体における犬猫の収容・処分数 44
・犬猫の殺処分数約23.9万匹に 45
・犬の殺処分数の減少 45
・猫の殺処分数の減少 45
[グラフ:犬猫の殺処分数の推移] 45
<犬について> 46
・犬の収容総数 46
・飼い主からの犬の引取り 46
・所有者不明の犬の引取り 46
・引取りにおける成犬・子犬の区別 46
・子犬の引取りゼロの自治体 47
・犬の捕獲と返還 47
・犬の返還率の地域格差 48
・犬の譲渡率 48
・成犬譲渡の拡大 48
・子犬の譲渡 48
・負傷犬 49
・犬の殺処分数 49
<猫について> 49
・猫の引取り総数 49
・猫の引取りの内訳 49
・負傷猫 50
・猫の返還率の低さ 50
・猫の譲渡 50
・獣医師への処分委託 50
・収容中の死亡 50
・猫の殺処分 51
<犬猫の殺処分について> 51
・犬猫殺処分数が1万匹以上の府県 51
・殺処分数のさらなる減少に向けて 51
・殺処分から救命へ 51
[グラフ:犬殺処分数、猫殺処分数 ワースト15] 52
[グラフ:犬猫合計殺処分数 ワースト15] 53
[グラフ:犬猫合計殺処分数 人口比率ワースト15] 53
2.引取りの場所 54
3.引取りの際の身元確認と業者からの引取り 54
4.飼い主からの引取りの有料化 55
5.所有者不明の犬の捕獲 55
6.猫の搬送・保管用具 56
7.休日の給餌給水 56
8.健康状態の確認等 56
9.譲渡時の実施事項 56
10.譲渡時のワクチン接種・不妊去勢手術 57
11.譲渡後の追跡調査 58
12.殺処分の方法 58
13.収容施設の改善 58
14.収容施設の公開 59
15.犬猫の引取り等業務の外部委託 59
16.動物愛護団体との連携 60
17.動物取扱業者への調査・指導 60
18.動物取扱業者登録名簿の公開 61
19.学校飼育動物 61
20.実験動物について行っていること 61
21.畜産動物について行っていること 62
22.動物愛護行政の予算額 63
23.行政に寄せられる苦情・相談 63
24.動物愛護担当職員の配置 64
25.動物愛護推進員の委嘱 65
26.「地域猫」活動について 65
27.殺処分を減らすための取り組み等 66