■日時:2004年3月7日(日)午後1時半~4時半
■場所:文京シビックセンター5階研修室
東京都文京区春日1-16-21
営団地下鉄・後楽園駅1分(丸の内線、南北線、大江戸線)
都営地下鉄・春日駅3分(三田線)
■主催:地球生物会議(ALIVE)
■資料代:500円
進化の歴史でヒトに最も近い種、ゴリラやチンパンジーは、今まさに絶滅寸前です。
アフリカの奥地で起こっている悲劇は、私たちと無関係のできごとではありません。
多くの心ある人々の声のみが、彼らを絶望の淵から助け出す唯一の希望です。
現場からの生の報告にどうか耳を傾けてください。
<報 告>
●カール・アマン氏(野生生物写真家、野生生物保護活動家)
スイス出身。アメリカのコーネル大学大学院でホテル経営学を専攻。卒業後、アフリカに渡り、インターコンチネンタル・ホテル、マウント・ケニア・サファリ・クラブなどに勤務し、アフリカ諸国を訪れる。1980年代後半、どれほど多くの大型類人猿がブッシュミート取引の犠牲になっているか気づいて以来、片時もカメラを手放さず、チンパンジーやゴリラが高価なブッシュミート用に殺されていく現場を撮影してきた。
アマン氏の写真とレポートに衝撃を受けた欧州議会とアフリカ20数ヶ国は、霊長類の屠殺に反対する声明に署名、カメルーン政府は違法ブッシュミート取引に関する会議を開催した。ブッシュミート取引について世界的に知られるようになった背景にはアマン氏の長年に渡る活動があり、その功績に対して、これまで数々の動物保護・野生生物保全関連の賞が送られている。
日本では初めての一般向け集会。スライドを用い現地の状況をリアルに報告される予定。
<コメンテーター>
●小原秀雄氏(女子栄養大学名誉教授)
動物学、人間学、環境科学の専門家。野生動物や保護活動に関する著作多数。
<開催の趣旨>
■ヒトの隣人といわれる大型類人猿(アフリカのチンパンジー、ボノボ、ゴリラ、アジアのオランウータン)は、過去数十年に渡る生息地の消滅、ブッシュミートの商業取引、ペット用個体売買のために個体数が激減し、このままでは、あと数十年で絶滅するおそれがあります。
■このような危機的状況において、2000年5月、UNEP(国連環境プログラム)はGRASP(大型類人猿生存計画)を立ち上げ、ジェーン・グドール博士、ラッセル・ミッターマイヤー博士(Conservation
International 会長)、京都大学の西田利貞教授が国連大型類人猿特使として、リチャード・リーキー博士が特別顧問として任命されました。現在、GRASPはUNEPとUNESCO(国際連合教育文化科学機関)の共同プロジェクトとして各方面からの支援を受け、昨年11月、パリのUNESCO本部で国連主催の大型類人猿に関する緊急会議を開催しました。ここには大型類人猿が生息しているアフリカ23ケ国とアジア2ケ国の代表が参加しています。
■国際霊長類学会も、激減する大型類人猿の状況に危惧感を抱き、2001年1月、大型類人猿をUNESCOの世界遺産種として登録することを目標に特別委員会を設立しました。
■アジア・アフリカの大型類人猿はゾウなどと同様、生態系の要となる種(umbrella
species)、そして象徴的な生物(flag species )のひとつであり、これらの種の生息に適した自然を守ることは、同時に現地の生態系とそこに暮らすすべての動物を守ることにもなります。アフリカやアジアで今まさに姿を消そうとしている「隣人」を救う為には国際的協力が不可欠だといわれています。
■私達の生活は大型類人猿の生息と一見、何の関連もないようですが、実は大きな影響力を持っています。ヨーロッパやアジアの企業による森林の無節操な伐採が類人猿の生息地を分断し、林道は密猟者が森林の奥深くまで入るための便利な通路となっています。また、コンピューターや携帯電話に使用されるコルタンという鉱物を採掘するためにゴリラなどの生息する保護区域に人間が入り、現地で調達できる食糧として彼らの命を奪っています。
■現在、ブッシュミートの商業取引は、アフリカにおいては生息地の消滅を越える脅威となり、大型類人猿の生息を脅かしています。この問題が世界中のメディアに取り上げられ、EUや国連が乗り出した背景にはひとりの写真家の存在がありました。この人、カール・アマン氏は元ブッシュミート・ハンターの協力で、現地の実態を調査し、そのレポートや映像を世界に発信し、CNN,
BBC, ニューヨーク・タイムズ紙、Discoveryなど、この問題に関心を持ったメディア関係者を現地へ案内し、世界に大型類人猿の危機を知らしめました。
■今回、カール・アマン氏をお招きする機会を得、大型類人猿の置かれている境遇、ブッシュミート取引や違法伐採の現状、絶滅の危機から彼らを救う為に私たちにできることについてお話をお聞きし、ごいっしょに考えたいと思います。